落とし所が見えないインド洋の給油延長策

肝心の自衛隊の情報統制がずさん
 あたらしい法律の正式名称がこれまた長い。「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案」
特措法であるのは期間限定だから当然だろうが「海上阻止活動」は限定されるだろうか。現に空母にも給油されている。空母は航空機を飛ばすプラットフォームだ。戦力としての航空機の活動を支援(補給)している事になる。「海上」に限定されないだろう。
法案の危うい部分は、民主党も主張してる「国会承認条項」を省略した点だろう。自民党の言い分は「特措法なので法律が成立したら国会承認が得られたことになる」との内容。これは、暗に参議院で否決されても衆議院で強行採決してしまおうって自民党の都合。本来のシビリアンコントロールを考えると「国会承認条項」が無い自衛隊の活動はいかがなものだろ。
そうで無くても参議院第一党になった民主党の国政調査権発動に恐れをいだいたのか、補給艦の航海日誌を意図的かどうか疑わしいが破棄していたとか、米補給艦に給油した量が20万ガロンから80万ガロンに訂正されたとか、情報が隠蔽される防衛省の現状を見ると、やはりシビリアンコントロールのタガがはまっている必要があるだろう。
しかも、80万ガロンについては、当時の外務省は80万ガロンの行き先ってことでアメリカとやりとりをしていた事実があり、自衛隊内部の情報統制の欠陥が露呈した格好になっている。

民主党も自民党も「世論」の探りあい
 今一度、世論の動きがはっきりしない。
 遠くで自衛隊がやっていることだから的な雰囲気が強いのか、はたまたマスコミが亀田一家ばっかり追っていて肝心の情報が入手できない為か、反応は鈍い。
民主党が世論を引き付けるために持ち出してきた課題は判りやすい。
1)給油した油は何に使われるのか
2)給油量や給油状況を情報公開されてない
3)航海日誌の破棄、給油量の不正確等情報管理不備
これに関しては政府がお詫びするって決着になっているが、1)については「何に使われるか特定困難」って返答で終わっている。それでは、米軍支援でアフガニスタンだかイラクだか、はたまたイランだか「そんなの、関係ねぇ!」と開き直りだ。
これに対して民主党は反撃を加えていない。
ただし、政権担当能力を問われる「対案」の提出は見送る公算が大きい。小沢一郎代表の国際治安支援部隊(ISAF)への参加がいまいち評判が悪いので、対案を出すと国民の反感を買う可能性があるからだろう。また、イラクへの自衛隊派遣に反対した民主党が自衛隊を丸ごと国連軍に預けてしまえば、憲法9条の「国権の発動たる武力」にはならないとは、詭弁を通り越して自己矛盾を感じさせる。これでは、民主党に逆風が吹く。だから、「対案」を提示出来ず、今回の新法に対する攻めの矛先が鈍っている。

日本の「国際平和貢献策」を議論すべき
 落としどころの探りあいも良いが、やはり「対案」を出せない民主党は大局に立って日本が行う国際平和への貢献活動を取りまとめるべきだろう。実は「給油」はヒントになる。武力の提供では無くロジステックの提供だから。これは国同士の戦争の場合と今回のような戦いでは若干意味合いが違うが、武力を行使しなくても平和活動に貢献できる。それはトラック等の輸送手段の提供だ。
 加えて、治安が安定した地域では社会インフラの整備。このあたりはゼネコンの得意中の得意ではないか。そして、治安が安定した地域は日本がインフラを整備して暮らしが良くなる実例を作り広めていく。多くのODAでの失敗を教訓に再度紛争地域での「ODA+平和活動」を練っておく必要がある。民間は平和政府樹立まで手が出せないが政府はその前段から支援が出来るはずだ。
 ただ、今回の紛争は宗教対立の面もあり、具体的な実行策を策定するには難しい面がある。しかし、少なくとも日本の方針は国際社会に明示すべきだろう。憲法9条があるので武力支援は出来ないが、こんなメニューは用意できると表明すべきだ。

いったい落としどころは何処
 法案の交換になるのではと興味深く見ている。民主党の「年金財源は年金支給にのみ使う」法案とバータで特措法を通すのではないだろうかって感じを持っている。
そもそも年金財源を事務費にあてるのは時の橋本総理の省庁合併時にドサクサにまぎれて行われた。それ以前のグリーピアなんかは論外だが、この制度変更によって社会保険庁の金の流れが益々不透明になった。税金を使わなくなったので会計検査院が踏み込むことも(ま、仲間内の検査が会計検査院ではあるが)出来なくなった。そのために表面に出ない不正がかなり発生してると言われている。
結局最後は税金ならば、税金の用途として透明性が確保される民主党案のほうがましである。とにかく社会保険庁は膨大な年金収入(納入金)があり、これを野放しにする改革は官僚的な発想で政治家が考える「国民本位」には程遠いものだろう。国の監査が行き届くように社会保険庁を縛っておくためには、事務費を税金で賄うほうが透明性が増すのだ。
 参議院の現状から民主党は立法の実績が欲しい。インド洋での給油は特措法で1年だから、1年経ったら政権とって廃案にすれば良い。そんな深慮遠謀があるか無いか。
世論に対しては「未だ政権を握ってないので、国民の為の法案成立のために、涙を呑んで政策協定を行いました」なんて鳩山由紀夫幹事長が涙目で言えば賛同は得られる。
福田康夫首相は柔軟路線なので立法バーターを飲む可能性も高いし。
どちらにしても直情型の小泉純一郎元首相のような行動は取らないから12月16日衆議院選挙も無い。当面政局が動かないとしたら、実を取る方向で民主党は舵取りしても良いのではないかと思う。

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2007.10.26 Mint