「伝家の宝刀」衆議院解散

党首会談がご破算になって
 結局対決路線で進むことになった民主党。このままでは国会は一歩も前に進まない。衆議院解散総選挙は時間の問題になってきた。双方アドバルーンを揚げて様子の探りあい段階だが、予算を成立させるためには1月〜3月の総選挙は日程的に難しく、タイムリミットは1月20日説(逢坂誠二衆議院議員説)が飛び交っている。これを過ぎたら予算の成立に間に合わない所から出た日取りだ。
 公示は1月8日の年明け早々になる。
国民生活に密着した議論も法案も投げ出して解散総選挙も無いと思うが、どちらにしても両者互いに敵失に見舞われて選挙の方向を読めない状況では無いだろうか。
また、準備も整っているとは言いがたい。
高度な政治判断では法案を協議して煮詰めるところは煮詰めて予算を成立させて解散総選挙が望ましいが、現状では衆議院を解散して選挙を行わなくては政治が前に進まないtってジレンマを抱えている。ならば、早いほうが良いとの判断を福田康夫総理が行う可能性は高い。
が、前回の選挙は郵政民営化選挙で小泉純一郎首相が勢いに乗って一気に議席を増やした選挙だった。だから、解散すれば自民党は確実に議席を減らすことになる。民主党が過半数を取るのは難しいだろうが、現在より議席は確実に増える。下手をすれば自民党は2/3の「数の倫理」を発揮出来ない場面に追い込まれる可能性がある。

給油法案成立で解散総選挙
 給油法案を参議院が否決すれば衆議院での2/3の賛成で成立する。しかし、可決も否決もしないでほっておくと60日で自動否決と扱われる。ここまで民主党は引っ張るだろうから、最低60日必要となる。1月10日前後に衆議院で強行採決して法案を成立させてから解散だと先の逢坂誠二説は難しくなる。
 これからは互いに「抜くぞ、抜くぞ」の威嚇合戦になるだろう。問題は相手に本気だと思わせる方法だ。自民党は追い詰めたら抜くと言ってるし、民主党はとにかく解散に持ち込むと言ってる割には是々非々の部分があって弱気だ。
 少なくとも自民党は小泉純一郎氏の置き土産の議席を減らすことはしたくないだろう。任期一杯使いたい所だ。どうせ消費税を上げたら選挙で議席が減るのだから、消費税と抱き合わせの自爆テロで任期いっぱい続けるのが基本路線だろう。
つまり、かなり民主党が追い込めないと衆議院解散総選挙は無いことになる。

公明党のお家の事情
 自民党と民主党が大連立となると公明党は行き場所が無くなる。そうでなくても一時の勢いが無い公明党にとって今回の話は肝を冷やしただろう。
2大政党制になって第三の政党は選挙では苦戦する。2大政党制の元では単独の存続が危ぶまれるので連立よりもさらに進んだ合併が必須となる。公明党も選挙のたびに議席数を減らしてジリ貧になるのだから、選挙を望まない。参議院のような比例区で生き残っていくしか選択肢は無いのだから。
 今更比例区の拡大なんかを願っても、二大政党制に完全に舵は取られている。

結局、政治の混迷への責任論
 党利党略では無くて日本の政治に責任を持つ姿勢が衆議院解散へのプロセスに必要だろう。民主党も政権奪取を前面に出すのでは無く、何故、政権交代が必要かを分かりやすく国民に説明する責任がある。
 官僚支配政治の実態を情報戦すべきだろう。今回の守屋元防衛省次官の問題は、この観点から攻めるべき課題なのだが、悪者作りに終始して構造的問題に踏み込めてない。国会の証人喚問でも悪者作りのスタンドプレーが目立つだけで週刊誌の記事と大差ない状況だ。
 やはり衆議院の解散には大義が必要だ。先の郵政民営化解散なんかは政治の手法として誤っている。自民党のコップの中の嵐を全国にばら撒いたのだから。その結果、小泉流の政治の王道では無い所で数の論理がまかり通り、安倍首相に引き継がれて数の論理の横暴さが先の参議院選挙で反自民党票として浮き上がって来た。
 民主党も敵失で得た議席なので、必ずしも支持が広がったとは言い切れない。ただ、良いのは参議院なので解散は無いことだ。一方の小泉チルドレンは解散総選挙があったら何人が赤じゅうたんに戻ってこられるだろう。
 党利党略で解散が必要な時に解散しない自民党、審議拒否で牛歩戦術で国会を混乱させる民主党。どちらのパターンになるかは別にして、国民不在の政治に審判が下るのが選挙だ。

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2007.11.11 Mint