激動が予想される2008(平成20)年の幕が開けた
問題の解決策を先送りしてきた
一番の課題は長期的課題である「地球温暖化」だろう。
中国の経済発展により消費エネルギーが地球規模で拡大している。加えて、地球温暖化ガスであるCO2やメタンの地球大気への発散をいかに抑えるかの政治的決断が経済界の圧力で指導力を発揮できてない。
地球の大気が人類の持っている自然の中でいかに少量であるかの認識が人類に出来ていないのがその根源にあると思う。地球で人間が生存可能な高度は世界最高峰のエベレスト(チョモランマ)よりも低い。エベレストの標高は8874メートルだから、人間は地上から10km上に登ると十分な酸素が得られなくて生存に耐えられないのだ。10kmと言えば水平なら歩いて2時間程の距離だ。ちょっとしたビルの屋上から見える先を垂直に伸ばすとそこは酸素の欠乏した死の世界なのだ。
それくらい大気ってのは薄い。地球を直径1メートルの球体とすると、大気はその球体を包むサランラップ程の厚みしか無い。その人類が生存可能な薄い層を守ろうとしなければ地球上で人類は生存を続けられない。その事実が伝わっていない。
一方、地球から掘り出した化石燃料を燃焼させて、その薄い大気層にCO2を増加させ続けている。地中の化石燃料は太古の時代から積み重なったもので、それは地球が灼熱の火球から冷えて生物が繁殖しCO2を蓄積した化石燃料だ。これを再度大気に戻して仕舞えば地球大気が温暖化するのは当たり前。
そのために「痛みに耐えて改革する」努力を怠ってきた。産業革命以来、エネルギーを利用して生産する工業化社会を見直さなければならないのだが、巨額投資を中国に行っているアメリカ資本は、現在の中国の急速な工業化の発展が自らの利益に繋げるために、工業化社会を容認する政策を国際的に採択してる。
資本本位経済(巷では資本主義と呼ぶが、しょせん、これはイデオロギーでは無く経済の形態なので「資本本位経済」と僕は呼ぶ)でのエネルギー利用は地球環境面から限界に達してるのだから、対策が必要なのだが、モラトリアムに先送りされ続けてきた。
アメリカ追従で発展できる時代は過ぎた
子供が学会の発表のためにスイスに行ったのだが、その物価の高さに驚いて帰ってきた。ユーロ経済圏では日本円に換算して昼食で1000円、夕食で3000円の出費を余儀なくされた。コーラを買っても日本円で300円近い。
実はユーロは世界通貨の中で一番成長した通貨になった。EU加盟条件を審査する時にいいかげんな財政運営を行っている国は排除するので優良な外貨がユーロに乗り換えてくる。そのユーロが日本円に対して為替レートが高いので、最近の日本国内の外国からの観光客は7000万人に迫っている。これは国土交通省の「ビジットジャパン」キャンペーンの成果では無い。日本の円が相対的にEUのユーロから見たら格安感があるからだ。つまり、世界一物価が高い日本の東京ってイメージが格安感のある東京。まして、地域格差で更に安い地方ではユーロで旅行するには格安の日本旅行になってしまったのだ。
世界の通貨と言われるアメリカのドルが弱くなっている。アメリカ経済が一握りのアメリカ人以外の資本に牛耳られている実態。そのアメリカ経済が経済界の動きやすいように政策を策定してきた結果、実はアメリカ国内の資本が国際的になり、アメリカ自体は富める国でもなんでも無い状況になっている。多くのドルはユーロに化けてしまった。そしてドルはアメリカの国債として世界各国が保有してる。
ドル経済が衰退したら、アメリカの国債は世界市場で暴落する。まずは様子を見なければならないのが中国の北京オリンピック後だろう。現在の中国のバブルがはじけた時に、中国は保有するアメリカの国債を市場に流してバブルを食い止めようとするだろう。共産党1党独裁の国家だってことを世界はその時再度知るだろう。
結局、国内問題をコントロールするために、国際協調なんてのは念頭に無く、アメリカがどうなろうと知ったこっちゃないってのが中国の外交政策になるだろう。
ドル圏の日本ではドル急落がもたらす国際状況の中で輸出産業の失速が起こるだろう。北京オリンピック以降の世界の通貨情勢は非常に日本に悪い影響を与える材料になるだろう。
エネルギー枯渇への対応を誤っている
日本は食料を輸入に頼っていると言われるが、本当は不必要な食料を格安のエアカーゴで輸入してるのが実態だ。日本の国際収支は輸出で成り立っている。当然、輸出の手段の帰り便は空では困るので食料品を積んで戻ってくる。この不必要な輸入もカウントされるので食料自給率が40%を切ったなんて事態になる。
僕は実際の食料自給率は70%程度はあると考えている。それは、膨大な捨てられる食料を調整すれば実現する数値だと思う。
賞味期限問題が世間を賑わしてるが、賞味期限を越えた食品を食べて食中毒になった例は先の雪印食品以外に無い。安全策を取ると食べ物を賞味期限切れとして廃棄する。これはmottainaiのだ。その分を考慮すると日本の食料自給率はそれほど極端に低いとは思えない。
ただ、自国の農業生産が自国民を賄っていないのは事実だ。
この政策が破綻するのは世界の食糧がエネルギーとして工業製品かされてる流れだ。エタノールを作るためにトウモロコシを使う。そのためにトウモロコシの生産者価格が上がり、アメリカでは大豆を作るより収入が大きいので転作してしまう。実は世界で大豆を必要としてる国は日本なので醤油、味噌の原材料が品薄で国際価格が急騰してる。せめて、大豆の自給率を上げる農業政策を取れば良いのだが、現在の日本の政権はアメリカに給油スタンドを作るのに熱心で無策だ。
もっとも、食料自立は国策であるべきで、国の安全保障とも深く関わっている。
米以外に目立った農業政策が無い今までは良かった。集票に向けた農業政策で誰も被害者にならなかった。しかし、化石燃料で富を築いたアメリカ経済がバイオ燃料もコントロールしようとしてる現実を見れば、農業政策は国民の食って観点からモラトリアムには出来ない課題だろう。
食べ物を工業製品にして、飢餓や食料高騰を招かない政策。これもモラトリアムにされてきた。
2008年は政治の「空白の20年」(細川政権からズーット政治は無策だった)を解消する年にしないと政治の無策が国を滅ぼす元年になってしまう。