「不都合な真実」は中国に原発を売るための洗脳映画
アルバート・ゴア氏の背景
アルバート・ゴア前アメリカ副大統領(以後、ゴア氏)が主演の映画「不都合な真実」が非常に巧みに経済活動の広報として原発推進が仕組まれているのは事実のようだ。多くのインタネ情報を総合するとタイトルのような結論に達する。
まず、ゴア氏の背景から書いておこう。ゴア氏は我々が知るようになったのはアメリカのクリントン大統領誕生の1993年頃に副大統領として「スーパー情報ハイウェイ構想」を発表した頃だろうか。
当時、流行していたアルビントフラーの「第三の波」を受け情報化社会の基盤インフラとしてネットワークの整備を国(アメリカ政府)が率先して行うべきとの提言だった。後に、ハイウェイは民間が整備し、政府は荷物(コンテンツ)を整備する方向に軌道修正されてインタネが爆発的に普及することとなる。
そして2006年アメリカ映画「不都合な真実」に主演して脚光を浴びる。そして、2007年にはノーベル平和賞を受賞する。
これは1974年に元総理の佐藤栄作氏がノーベル平和賞を受賞したと同じように、いやそれ以上に僕には違和感があった。何故なら、ゴア氏は平和運動の対局にある原子力(軍備&原発)利用の原材料であるイエローケーキを製造販売するアライド・ケミカル社を経営する一族の一員なのだから。
1955年以降の冷戦の時代に米ソ両国は核武装を進め、原爆や水爆の製造に、そしてその配備に多大な費用をかけた。ウランを利用した核兵器にはウラン鉱石から製錬されたイエローケーキが原材料として必要になる。このイエローケーキをアメリカにも当時のソ連にも供給したのが、このアライド・ケミカル社なのだ。ウランの精錬方法に「アライド・ケミカル法」なんてのがあるように、世界のウラン精錬を独占していたのがアライド・ケミカル社なのだ。
アメリカ政府がイエローケーキの輸出を禁止すればソ連は核兵器を製造出来なくなって冷戦解除の話し合いの土俵に付いただろうが、アメリカ政府は何故、禁輸品に指定しなかったのかとの素朴な疑問がわくが、それも巨大コンツェルンのしたたかな戦略があったからだ。独占経営が更に事業拡大するには市場が拡大してこないと困る。アメリカだけの需要よりも米ソ両国の需要があるほうが市場は拡大する。そのため政治的に働きかけてイエローケーキから核兵器が作られるのは自明なのにもかかわらず禁輸品の指定を免れた。
何故なら、それを仕切っていたのはロシア帝国崩壊時のロシアの最大の銀行を経営していたルービンシュタインがアメリカに亡命して作ったノーザントラスト銀行だった。その息子のロバート・ルービンはクリントン政権下で財務長官を務めている。
つまり、冷戦の時代を作り利用したのが政治的に対立する米ソであったが、一方では両者を包含し財を積み上げたアライド・ケミカル社やノーザントラスト銀行が経済行為として冷戦を巧みにコントロ−ルしていた面がある。これは五味川順平の「戦争と人間」に描かれてる「政治としての戦争と裏で政治に戦争を仕掛ける経済界」の構造とよく似ている。
「不都合な真実」の真実が見えた
「不都合な真実」が何を問いかけているか? 単細胞なら「地球温暖化の現況であるCO2の排出を減らさなければならない」と受け止めるかもしれない。もっと宗教的に「地球環境を保全しないとドエリァことになるぞ(名古屋以外でも)」と受け止める人も居るかもしれない。これも単細胞だ。
ゴア氏が何で地球温暖化防止に興味を持ったのか。何故「不都合な真実」をひっさげて世界中を行脚するのか。先の背景を知ったら別な見方が出来るのではないだろうか。
「不都合な真実」は全体の流れとして非常に説得力があるように見える。もちろんアメリカの副大統領にまでなった人だからゴア氏のスピーチ手法は説得力ある。しかし、一見、論理的で説得力があるように見えるが、その発言は皮相的で単細胞は騙されるかもしれないが抜け穴だらけなのはすぐ解る。これが、ゴア氏が政治家として長年積み重ねた(「罪重ねた」とも言える)話術なのだ。一方向の話術で説得するのは相手の感情を揺さぶれば良いので単純。しかし多くの反論に答え、尚かつ反論を否定してこそ初めて説得力に繋がるのだけれど、この手法は映画の中で「無視」の、いや、意図的に無視の方向で扱われいる。
ゴア氏の論調は「このままでは壊滅的打撃を地球は受ける」がベースにある。だから、負の面ばかり出して観衆を恫喝する。
一例を上げましょう。
2003年にヨーロッパを襲った熱波を上げて、これからは地球温暖化のせいで多くの人が亡くなるだろうと述べる。
実は、発展途上国では暑さで亡くなる人よりも寒さで亡くなる人が一桁多い。地球温暖化によってこれら一桁多い寒さで亡くなる人が減る。
また、ゴア氏は地球温暖化によってカトリーナ規模のハリケーンが増大し、被害は甚大になると言う。
実態は被害規模が大きかったのはカトリーナの規模が大きいからでは無く、人口密集により地理的に局地的でも集積度が高いと被害額が高くなるってこと。ある意味、一局集中的政策が招いた政策無策による被害額拡大だったのだが、そこんとこ無視かい!
アメリカで最大規模のハリケーンは1926年のグレート・マイアミで、これはカテゴリー4でした。カトリーナはカテゴリー3でこれより規模が小さかった。もちろん物価の差を考慮してもハリケーンが地球温暖化で大規模になる相関は科学的に無い。
何を目的に作られたのか
タイトルの「原発」に戻ることにしよう。
先にイエローケーキは核兵器の原料だと書いたが今の時代、核兵器を大量生産して軍拡に走る必要は無くなった。となるとイエローケーキを必要としてるのは原子力発電(原発)になる。日本の核燃料サイクルも完成には数十年、もしくは放棄する可能性を捨てきれない。すると原子力発電所の燃料としてウランの一方向的消費は必須になる。もちろんイエローケーキの需要も続く。
今後、エネルギー問題で一番の消費国は中国になる。中国のエネルギー需要が原油価格の上昇を招き、さらにはバイオ燃料の原材料として国際穀物市場の高騰も引き起こしている(これはアメリカのシンジケートによる謀略だが、改めて書くことにする)。
「地球温暖化で人類は滅亡の道を辿っている。だからCO2の排出を削減しないとならない」ってのが「不都合な真実」が民衆を誘導したい方向だが、この前半部分は科学的事実である。地球は原因は多々考えられるが温暖化の傾向にあるのは事実だ。
しかし、以降は説得力が無い。「人類は滅亡の道を辿っている」かどうかは温暖化だけの問題では無い。基地外がボタンを押せば核で人類が滅亡する状態は依然として続いている。まして、テロリストが核を利用する恐れは消えない。そのような背景で鼻毛を抜くような事象が心臓をナイフで突き刺す事象より「大変だ」とは思えない。
「だからCO2の排出を削減しなくては」に至っては、大動脈から一気に毛細血管に追いやられた閉塞感を感じる。「おまえ、そんな程度にしか受け止めてないんかい!」って虚脱感とでも言ったら解ってもらえるだろうか。
実は、原子力発電(原発)は稼働中はCO2を出さない。(その建設と、原材料製造と、使用済み燃料の処置、そして完全解体まで含めるとCO2収支は必ずしも有利では無いのだが)だから、CO2を出さないでエネルギーを入手できる唯一の手段だ。って三段論法を構築したくて「不都合な真実」は作られていると思う。
それは、日本が好都合に動いてくれた結果出来た「京都議定書」を利用して一儲け出来ないかと考えたアメリカの原発コンツェルンが考えたストーリー「中国にいかにして原発500基を作るか」のシナリオの一環をなしている。
中国の経済力だけでは難しいがCO2排出権の購入って手法を使えば世界各国が(ま、コンツェルンにとってアメリカが抜けてもかまわないのだが。ただ、世界で批准させるためにロシアには批准させている)中国のCO2排出権を買ってくれる(それも、それぞれの国民の税金で)手法を編み出せば良い。それには世論をプロバガンダすることだ。なんせ、ヒットラーだってプロバガンダによって選挙で選ばれたのだから、民主主義にだってバグ(瑕疵)はある。そこを突くのが最善だろう。なんて、会議が持たれたのだろう。
そして、21世紀のヒットラーばりのプロバガンダ「不都合な真実」は広められ、多くの国の国民を洗脳し、多くの国の国会議員を洗脳し、原発コンツエェルンの一人勝ちのシナリオは達成されつつある。多くの人民を踏み台にして。
人類を生んだのも環境
恐竜が何故滅びたか。諸説がるが惑星衝突説が割と合理的だ。ただ、一瞬に滅んだのでは無いことを説明できていない。この点は新しい科学的展開を待つしか無い。
人類が何故地球上で進化を遂げて現在のようにコンピュータとネットワークで結ばれるまでに成ったかも良く解っていない。ただ、確かなことは3億年も続いた恐竜の時代と同じように人類の時代が3億年続くかどうか解らないって事実。それが、ノストラダムスの予言のように一瞬で崩壊しないのは我々は経験済み(笑い)。
しかし、地球環境が誕生から45億年の間にいっさい変化しなかったとしたら、そもそも今でも地球は灼熱の岩石の溶けた天体だ。
仮に5億年前と推定される全凍結の氷河期が無かったら、アミノ酸主体の生物が地球に育ったかどうか。まして、大陸移動によって巨大な砂漠が雨の降る湿地帯に変化しなければ生物は海から陸へ上がれただろうか。
そして、最大のものはアフリカの乾燥化が無ければ地面を歩く猿(類人猿)が発生しただろうか。
もっと、身近な話をすれば、僕の住む北海道の東の斜里町。世界遺産の知床半島を有する町村だが、ここに、青森のネプタ祭りが行われてる。実は僅か150年程(地球45億年と比べると7桁もゼロが少ないのだ)前に国境警備として入植した弘前の部隊が寒さに耐えられず全滅に近い殉職者を出した慰霊碑がある。そして、年命日には法要があげられる。そして、夏にはネプタ祭りが歴史の継承として斜里町でもとりおこなわれる。
地球環境の変化が酸素が無くなる(ま、それすら対応方法があるのだが)ほどの劇的で無い限り人類は技術を利用して順応してきた。今では斜里町は13,000人の町だ。冬を越せないで全滅なんて時代では無い。
地球温暖化については前項でも書いたが、自然現象かもしれない。その自然現象を利用したビジネスモデルに騙されてはいけない。地球の回転を人類は止められないように、人類の力の及ぶ範囲は限られている。金さえ出せば何でも出来るってのは人類同士にあるかもしれない(僕は否定するが)が、地球相手では通用しない。
東洋的思想だが、我々は自然に生かされているのだ。だから、自然を変える努力はほどほどに自分が住みやすくなる程度に(ガイヤ理論の最小形)程度の自然観を持つ。アメリカ方式の「お金稼ぐのは悪いことですかぁ(c)村上ファンド」に踊らされてはいけない。
花鳥風月こそが今世界のエネルギー無駄遣いに向けて日本が発信できる優位性なのだ。アメリカ追従では無く。同じくmottainai(もったいない)も日本が世界をリードする貴重な文化風土。
地球が人類を生かしてくれないなら、滅びるのもまた自然。
恐怖をあおり立てて金儲けに成功するシンジケートを我々は「品格の欠如」と呼んで彼らより自分は高みにポジショニングしておきたい。
ゴア氏よ、あんた昔の日本の池田勇人総理があんたの国に行った時に「トランジスタのセールスマン」と呼ばれたことを知っているかい? いまのあんたは、原子力発電(原発)の営業マン、悪いことにヒトラーばりのプロバガンダで歴史に晩成を汚す行為を残してしまった。
ま、自宅の電気代が年間2000万円には触れませんがね。あんたが心配してるのは地球じゃなくて自分でしょう。それなら、そう言うべきでしょう。勉強不足のままで映画に出ただけってのなら...ま、いいわい。
ノーベル賞が経済界によってねじ曲げられた歴史は残る訳ですから。
地球温暖化に備えるのが人類の共通の施策。その一部としてエネルギーの無駄使いを抑制しCO2を減らす必要がある。しかし、人類が地球の自転を止められないのと同じで地球温暖化は自然現象だと認識し、それに備えるのが基本だろう。ドンキホーテ(量販店のことでは無い)を演じて一部のシンジケートの金儲けに荷担してはいけない。