道路特定財源の落としどころが見えない

一時は騒然となった延長法案だが
 国会審議拒否でまったく国会が空転するかと思われた「繋ぎ法案」を衆議院に上程寸前で取り下げた自民党。これには福田康夫首相が法案に不快感をあらわした為と言われている。法案を成立させるなと福田康夫首相が自ら指示したらしい。
 自民党と民主党の調停案は「議論を尽くそう」って一点で、年度内に成立とは民主党も約束していない。2月も中旬に入って両者の妥協案の詰めが始まっても良いのだが一向にその気配が見えない。対立のまま時間だけが過ぎて行く。
 その間に「麻生太郎氏、次期政権に意欲」の記事が配信されてきた。麻生太郎氏は本気で自民党総裁から総理大臣への階段を登ることを考えているのだろうか。
 どうも、道路特定財源や租税特別措置法の維持が一部の道路族の独断専行に自民党内で見えるようだ。だから、民主党と自民党の会談でも机の上では激しく議論をしているが、実は机の下では手を握り合っているのではと思われる行動が多々見られる。
 一番気になるのが福田康夫首相と小沢一郎代表との駆け引きだ。取引と呼んでもおかしくない。ネジレ現象で政策立案が困難になった時に福田康夫首相が選択したのは大連立のアドバルンを上げながら、実は是々非々の小沢一郎代表との取引だったのだろう。
 近々次期日本銀行総裁の人選があるが、民主党が公然と反対してる元財務次官の武藤敏郎副総裁の昇格を小沢一郎代表は養護している。党三役からは日銀の次期総裁人選には小沢一郎代表一任を取り付けている。これは、福田康夫首相との取引と言わずして何なのだろうか?
 自民党案を飲む代わりに民主党が手に入れるのつもりのものは何なのだろうか。


実は、政局が着々と動いている
 先に「麻生太郎氏は自民党総裁から総理大臣に登るつもりなのか」と書いたが、このままのネジレ国会は何処かで崩壊を起こすと思われる。そのタイミングにもよるが、総選挙による政権交代の目はなさそうだ。今の民主党にその力が無いのは小沢一郎代表も認めるところ。
 では、何が可能性があるかと言えば大連立は無理としても局地連立の可能性がある。新党の旗揚げだ。この新党の旗揚げの経験があるのは、現在の民主党の小沢一郎代表、同じく民主党の鳩山由紀夫幹事長の面々だ。どのように新党を立ち上げるのかの経験は誰にでも有る訳では無い。
 周知のように小沢一郎代表は必ずしも大連立論を捨てた訳では無い。逆に現在の民主党を利用できるだけ利用してやろうと考えている。辞任騒ぎの時に割って新党との考えもあったが数が集まらなかった。キャスティングボードとなるためには15〜6名を引き連れても無理がある。民主党に加えて福田康夫首相も利用できれば自民党からも引き抜いて局地連立政権を作ることができる。
 どうも、福田康夫首相が衆議院の解散を行わず任期満了まで衆議院を続けると腹を固めたようなので、選挙による変化よりも政界再編成による変化に小沢一郎代表は軸足を変えたようだ。

戦国時代の読みで対処すると
 非常に微妙なバランスの状況にあると思われる。道路特定財源は一部の分子に握られた既得権益であることは自民党内からも不満が出ている。特に若手の自民党国会議員には「この際民主党に歩み寄っても良いかも」って雰囲気がある。先に書いたもしれないがテレビタックルに出演した河野太郎氏や石原伸晃氏の言動にそれが見られた。
 たしかに2大政党同士でYesかNoかやていたのでは国民はソッポを向いてしまう。議論は言葉は悪いが「妥協点」を見いだすために行うもので、何時までも道路特定財源で官舎が建てられたとかテニスコートを作ったとかのスキャンダル議論ばかりやっていても国民生活には直結した政治にはならない。
 福田康夫首相政権には参議院で民主党陣という壁が立ちふさがる。この壁を味方に付けるのは大将を味方に付ける。そのためには多少の妥協も辞さない。これが福田康夫首相の戦術だろう。なんせ、味方と見えている自民党陣にも、あわよくば寝首を欠いてやろうって輩が居る。今、民主党陣を押さえているのは俺だ。俺が居なくなれば民主党陣は一気に攻めあがってくるぞとにおわすのも福田康夫首相は忘れない。
 敵として互いに陣を貼っているが所詮は同じ釜の飯を食った過去を持つ。社会党や社民党のようなイデオロギーに立脚した集団では無く、話せば解る間柄を堅持しておけば互いに攻め合う可能性も少ないと踏んでいる。
 お互い腹の探り合いを繰り返してるが、ここに風雲児が飛び込んできて一暴れすると両者のバランスは崩れる。その風雲児が麻生太郎氏だ。下手に政権取りに動き始めると福田康夫首相と小沢一郎代表のパワーバランスが崩れることになる。

button 福田クーデータか麻生クーデターか
button 政策ターゲットを変える戦術か民主党は