タバコの自販機購入にはタスポ・カードが必要

どんなものか申込書を入手
 「あたらし物好き」だが、正直言って申込書を見ただけで投げ捨ててしまった。ここまで個人情報を届けなければタスポ・カードが入手出来ないのならタスポ・カードが不要なコンビニでカートン買いすることにした。そのほうが自動販売機を利用するより便利なのだから。
 いかに未成年者の喫煙を防ぐかって知恵を絞ってこのタスポ・カードにたどり着いたってのはあまりにも知恵が無い。そもそも昔と違いコンビニが普及した現在、自動販売機でのタバコの発売額は減っているはずだとインタネを調べてみた。
なんとタバコの自動販売機は全国に60万台もある。そして総販売額は2兆円でタバコ販売総額の半分にもなる。そんなに自動販売機で買っていたかなぁと疑問がわく。
厚生労働省のタバコと健康のホームページhttp://www.health-net.or.jp/tobacco/front.htmlを見ると、2004年の調査で未成年者の喫煙が劇的に減少している。その理由は明らかでは無いがタバコの相次ぐ値上げが未成年者の喫煙予防に効果を上げている可能性が高い。
で、未成年者の喫煙の推定量だが、タバコ販売量全体の20%に登るとの推計値を「たばこ問題情報センター」代表の渡辺文学氏が発表してる。
未成年者の喫煙調査は高校生までだが、潜在的に大学生の中で未成年な者の喫煙率は高いと思われる。これも数に入れると先の20%説はあながち外れた数値では無いだろう。。
 逆な発想をすれば、未成年者の喫煙が防止できれば、現在のタバコマーケットが20%小さくなるってことなり、さらなる企業努力とタバコの値上げが行われるかもしれない。

2008年導入のタスポ・カードってどんなもの?
 未成年者の喫煙を防止するためにはタスポ・カードで自動販売機での販売を規制し、旧来からの対面販売では年齢の確認を強化するって方向で未成年者の自動販売機でのタバコの購入を抑止する方策を考え出して出た結論が「ICカードを大人と証明される人に発行して、自動販売機で使ってもらう」って結論だ。
 あまりにも安易なのだが、それは後で述べる。
タバコを自動販売機で買うには予め申し込んで発行されたICカード(これの名称がタスポ・(タバコ・パスポートの略らしい))をかざし(いちおう、非接触ICカードらしい)お金を投入して銘柄ボタンを選ぶって方法になる。
 未成年者は何も持たないから自動販売機では購入できない。成人はタスポ・カードがあれば自動販売機で購入できる。タスポ・カードを持たない成人は対面販売で購入することになる。
 そのタスポ・カードの申し込みに、氏名、生年月日、現住所(郵送のために必要)、電話番号、捺印(またはサイン)、に加えて、顔写真、本人確認書類(運転免許証、各種健康保険証、住民基本台帳カード、各種年金手帳)のコピーを添えて申し込む。
 これだけの個人情報を「社団法人 日本たばこ協会」に提出する必要がある。一部、本人確認書類として年金手帳等は顔写真が無いので本人確認としては適さないと思われるが、ま、高齢者の中には運転免許証や住民基本台帳カードを持たない人もいるだろうから苦肉の策かもしれない。
 で、この処理をインターネットでやってプリントアウトする方法もあるのだが、このホームページにある個人情報保護方針は通り一辺倒なものだ。
 で、「社団法人 日本だばこ協会」は一連の事務を外注してる。

タスポ・カードを巡る関係団体
 このタスポ・カードの仕組みを運営しているのは以下の企業になる。
ネットワークが関係しているのは、このタスポ・カードにプリペイド機能を付けているためセンターでの決済が必要なため。このプリペイド機能は不要ではないかと思うのだが、ここにも知恵の無さがにじみ出ている。
元請NTTデータ
ICカード製造NECトーキン
自販機ネットワークNTTドコモ
印刷大日本印刷
ICカード発行業務トッパンフォームズ
申込処理業務トランスコスモス
データセンターシステム構築日立製作所
問合せ対応業務ベルシステム24
これに関わる総費用は約900億円にものぼる。加えて年間の維持費用も発生する。
また、タバコ販売店でも自動販売機の改造や買い換えが必要になる。現在のタバコ自動販売機の内メーカー貸与自動販売機は43万台程。これはメーカーで対応する。残った17万台の多くは購入隅の自動販売機で改造するには1台7万円程度の費用を自己負担しなければならない。薄利なタバコ販売から余計に改造費を捻出できない販売店では改造を拒んでいる。
街角に1台でもタスポ・カード非対応の自動販売機が残れば未成年者が寄ってくるわけで、なんとしても改造してもらうために補助金を出すことになっている。
これでも改造しない場合を想定して業界団体は所轄団体である財務省に依頼し「2008年7月1日以降タスポ・カード対応自販機に切り替えないと営業停止処分」との行政指導まで引き出してしまった。
このためにタバコの自動販売機を撤去するタバコ販売店が続出している。
 消費者が何かを買うために誰かから許可を受けなければならない社会は異常だ。未成年者の喫煙は防がなければならないが、それはICカードによる購入許可では無くて、モラルの問題だ。学校教育の場で、家庭教育の場で教えることだろう。
 もっと、簡単な方法がある。自動販売機での販売に限りタバコの値段を上げることだ。自動販売機で購入するタバコは自動販売機利用料として5割増しにすれば良い。
 成人の自動販売機離れが進むだろうし、自然と自動販売機のうま味が薄れて街角から撤去されるだろう。
これには900億円もかからない。行政指導一発で済むのだから。
もしくは、北朝鮮あたりから安いタバコが密輸入されるかもしれない。

button 道路の税制についての歴史、経緯、未来の論議を
button 道路特定財源の本質論が消えて稚拙な国会運営