道路特定財源を巡る官僚の綱引きでしかない
本当にKYな福田康夫総理
もう国民は気がついている。日銀総裁推薦のおりに民主党は「財務省(旧大蔵省)官僚は駄目」と宣言していたのに2度までも推薦して否決されている。福田康夫総理に空気が読めれば1度目で学習するだろう。財務省の官僚に言われるがまま推薦して2度までも否決されてしまった。
28日の声明も官僚主導でKY状態の内容だ。内容を良く読むと単に国土交通省の持っている「道路特定財源」を財務省が分捕るだけの話以外の何物でも無い。官僚の綱引きを代弁して、あたかも「英断」なんて自民党全体がKYなんじゃないのか。
道路特定財源が時代背景に合致しているのか、ましてや、暫定税率を掛ける価値があるのか。そのあたりの議論はスルーして「官僚のぶんどり合戦」だけの声明に首相としての力量に疑問を持たざるを得ない。
第二の道路特定財源を作るだけの今回の声明はまったく官僚主導で国民不在なのが読めないのだろうか。それで一国の総理大臣と言えるのだろうか。
まぁ、輪を掛けて民主党は小沢一郎氏の「3原則」なんかを声明の直前に広報してるが、これもKY。せめて頭に「国民の視点に立って」くらい付けてレトリックにする余裕もなのだろうか。
とにかく「官僚のぶんどり合戦に翻弄された福田康夫総理」と罵倒する知恵くらい持とうよ、民主党。
道路特定財源や暫定税率は既得権益
自民党のビジネスプランそのものが全面に出ている。一度手に入れた既得権益は官僚の力を借りて手放さない。そのため官僚に有形無形の既得権益のおこぼれを振りまく。防衛省の守屋事件もこのビジネスモデルの茶番劇の一こまだ。
道路特定財源を考えた頃は日本の国土の発展には交通網の整備が必須って高い理念に立脚していた。しかし、それは昭和20年代である。今から半世紀も前の日本の経済規模からしたら正しいものも、現在の日本の経済規模や経済背景を考えると的確に訂正されてしかるべきだろう。
当然、既得権益を持つ側は、既得権益を増やす訂正には熱心だが不要になったと減らす訂正には積極的では無い。
でも、それでは政治では無いビジネスだ。日本をこれからどうするって「戦略」が無い。戦略とは現行の資源の再配分である。現行「何が有って何が無いか」を見極め、無いものねだりをせずに、有るものを再配分してより上位にある「方針」を実現するのが戦略だ。
方針実現、そのために現有資源を見直し、現有資源を再配備する「戦略」、どのように再配備するかの「戦術」それらがPDCA(Plan Do Check Action)の繰り返しでマネージメントされるのが政治じゃないのか。
道路特定財源を一般財源化する「戦略」は暫定税率維持とは矛盾する。道路を作る予算って特別枠を廃止するなら、同じく早く道路を作るための暫定税率も廃止されないと論理が矛盾する。
一般財源化と暫定税率廃止はまさにリンケージしているのだ。
民主党の08年度に一般財源化は暴論
自然成立で2008年度の予算案が決まってしまうのに、その根底である税収基準を変えてしまう法律には無理がある。
福田康夫総理が明言しても実現は不可能だろう。その誰にでも実現不可能な事を交渉条件にするのはいただけない。駄々をこねてる以外の何物でも無いから。ここは現実路線に沿って上記のリンケージである「09年度の道路特定財源の一般財源化」の確約と「08年度での暫定税率の廃止」が妥協ギリギリの線だろう。実際に4月にガソリンが25円程安くなり、5月には元に戻るのは現実になるのだから、自ら望むと望まざるとに関わらず春の連休明け衆議院解散もありえるだろう。
主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)に日本の総理大臣が不在って珍現象すらあり得るカオスぶりが今の国会だから何があってもおかしくない。ただ、大切なことは論理破綻する発言や、国民を無視した奇異な行動をとらないことだ。選挙期間中にそのようなパフォーマンスは冷めてマイナスにしか作用しない。
民主党が小沢一郎代表と一緒になって論理破綻するような発言を繰り返すと、それでなくても求心力を失いつつある現執行部に離反して民主党自身が分裂する恐れもある。いや、多分に両政党の中の若手中道派が新会派立ち上げなんて可能性も否定できない。
それくらい「方針」も「戦略」も無い泥試合ばかり演じている国会に国民は嫌気がさしてる。それを肌で感じる感性が有る者が混乱の国会を泳ぎ切って次回の選挙に勝利するだろう。それは民主党の一部にも自民党の一部にも居る。