ガソリン価格を元に戻せるか、福田康夫総理の正念場

世論をどう読むか
 ここに来て新聞各社の情報の扱いに違和感を覚える。「道路特定財源を一般予算化するのが良いのであって、暫定税率にこだわるべきでは無い」と各紙が民主党批判の歩調を合わせているのだ。しかし、暫定税率は結局廃止され店頭でのガソリン価格が下がった。
 新聞の論調に説得力が無いと思うのは「ガソリン価格を下げると消費が拡大され地球温暖化の原因であるCO2排出量が増える」って論調だ。無駄な消費が増えるとは思わない。必要な消費に絞っているにも関わらず価格が高値止まりしているのだから。同様な発言は国会議員の中にも散見されるが、基本的にガソリン価格を下げれば湯水のごとく使うと短絡的に考えるのは「上から目線」だろう。
 3分の2条項を使って4月29日以降に参議院で暫定税率延長を決議して元に戻す方針を福田康夫総理は選択したようだが、はたして自民党内をまとめ切れるだろうか。
 と言うのは世論の動向が不確かだから。3月28日の福田康夫総理の声明は自身は画期的と思ったようだが、反応が今ひとつなのだ。道路特定財源の一般財源化はそもそも小泉純一郎総理の時代の2006年に『経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006』(いわゆる「骨太の方針」)が経済財政諮問会議から提案され、閣議決定されている。この中に既に道路特定財源を一般財源化することが盛り込まれている。
 福田康夫総理は今回初めて英断を下したと見せたいのだろうが、国民の反応は「当然のこと」と受け止めている。そのため、一般財源化の表明だけでは暫定税率を維持するインパクトにはならない。この点で民主党は「大人の解決」を選ばずにあくまで暫定税率に絞った反対を貫いたのは世論を読む力があったと言えるだろう。

法案の再議決は可能性が低い
 現在提起されている法案は暫定税率の10年延長。この10年がネックになって再決議に支障をきたすのではと思う。既に3月28日に5年に短縮、09年度には一般財源化を声明した福田康夫総理の方針と矛盾する法案になってしまたのだ。
一度下がったガソリン価格を再度上げることへの国民感情も配慮すべきだろう。
 どのみち、道路特定財源法の法の趣旨と立法の時代背景を考えると、法の趣旨すら時代に合わないと考えられるのにそれを10年も延長するのは国民の理解を得られない。
法案を見直しするとすれば再提出で、衆議院での議決、参議院での議決の手順を踏まなければならないはず。しかも、道路特定財源以外の暫定税率はツナギ法案で6月末には切れる。時間を浪費してきたツケがまた福田康夫総理にのし掛かる。官僚の作文で国会を通そうとしたらますます支持率が低迷する。
 いちおう暫定税率阻止に成功した民主党は間違いなく「問責決議案」を参議院で可決するだろう。自民党としてそれを阻止するには首相自らの辞任しか無いだろう。
自民党は信任決議案を衆議院で可決すると言っているが、これでは泥試合で世論の支持を得られない。そもそも、福田康夫総理の支持率が低いのは国会への不満も含まれてのこと。リーダーシップを発揮しないと言うのは、国会運営が稚拙だって意味だ。だから、国会がゴタゴタすればするほど福田康夫総理の国民の支持率は低下する。
単に「ガソリン価格を再度上げればそれでいいんじゃない」って問題では無いのが解っているのだろうか。

暫定税率廃止を国民は支持している
 KYな福田康夫総理だが、今回は新聞各社がガソリン価格値下げよりも将来に向けて一般財源化をと煽ったけれども国民は無関心だった事実を受け止めるべきだ。予算委員会で道路特定財源のあるべき姿を議論せずに、「あれに使った」、「これに使った」のスキャンダルの暴き出しに終始した民主党の稚拙な議論手法が、実はここに来てボディブローのように効いてきた。国民は道路特定財源は税金の無駄使いの象徴と見ているのだ。これはマスコミも片棒を担いでいる。にも関わらず社説で一般財源化が実現すれば暫定税率は継続しても良いと叫ぶのだから趣旨が良く解らない。
 ガソリン価格が下がってしまった事実を踏まえれば、国会運営手法で法案を再決議によって成立させるのは自民党の命取りになる。つまり、国民の支持を得られなくなる。そのキワドイ選択肢が再議決なのだが、泥試合の喧嘩国会で頭に血が登り、本質的な所を見誤ると現政権はもたない事態に陥る可能性がある。

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