パンダはチベットのもの、侵略外交に手を貸すな

パンダ借りてすべてうやむや
 ガス田問題も農薬ギョーザも、はてはチベット問題も何もかも口に出せない福田康夫総理の遣唐使的な中華崇拝にはあきれるが、この外交問題を伝えるべきマスコミがパンダが上野動物園に来るってはしゃいでいる。もっと他に伝える重要な情報があるだろう。
 そもそも、パンダが発見されたのは中国の四川省北西部。ここは地図の上ではチベット自治区では無く中国領に見えるが実は旧来のチベットは中国隣接地域で中国が「省」を標榜してる四川省、青海省そしてベトナムと隣接する雲南省あたりまでがチベット領だったのだ。中国共産党の北京政府は人民解放軍を送り込んでなしくずしてきにチベット領を自国とした。しかし、現在のチベット自治区には人民解放軍も到達できず(主に高所故の低酸素で活動が出来なかったらしい)ラサ周辺は残されたのだった。
 歴史的にチベット領であった四川省の北西部に生育するパンダは本来チベットの動物と言える。決して中国が外交に使えると胸を張って「中国のパンダ」と言えない歴史的背景がある。
 逆に言えばパンダは今後中国によるチベット同化政策を象徴するシンボルになる存在だ。チベット族の文化を侵略し、民族同化を進める中国は一足早くパンダは中国の象徴化していたのだ。他人の物を盗んで外交に使うってのは故買行為で、日本の法律では「古物商の認可」を受けた店には禁じられている行為だ。
 しかも、有償販売はワシントン条約の制限を受けるので研究目的のレンタルだってんだから、開いた口が塞がらない。結局、チベットから奪ったパンダで商売して金を稼ぐだけじゃないか。これを外交成果と勘違いしてる福田康夫総理は日本の恥さらしだ。国際的にも通用しない。結局、今回の胡錦涛国家主席の訪日はパンダ2頭にしか成果が無くなるのか。
 福田康夫総理の頭の中には国賓をもてなすホスト精神しか無く、国際情勢とか外交の毅然たる態度とかは最初から無いのだろう。

胡錦涛国家主席はチベット弾圧で中央に
 そもそも胡錦涛国家主席はチベットの反乱を力で抑えた功績で中央政界(ま、中国共産党の階段を昇った)に入った経歴の持ち主である。チベット弾圧は功績でこそあれ汚点では無いと考えているだろう。
 だが、国際社会では中国のチベット弾圧問題は国内問題ではなくて国際的な人権問題になっていることを解らせるのが真の友人では無いのか。国際社会で僧侶を無期懲役の刑に処するとかは思想信条の自由からも考えられない。オウム真理教とチベット仏教は同じだとでも言うのだろうか。共産主義だから宗教を求めないって唯物論が大手を振ってまかり通っているのだろうが、今の世界の常識は暴力的行為を行わない限り思想信条の自由を保証するのは政府が守らなければならない国民への約束である。
 だから、多少のいかがわしい宗教が出てきても弾圧なんか出来ない。後手後手に回るのは思想信条の自由を保障してる故なのだ。
 共産主義の欠点はシステマチックに物事を考える故に人間が本来持つ「情念」や「伝承文化」を否定することが「進歩」だと洗脳する事だ。人間社会は法律の条文や教条主義で成り立っているのでは無い。一人一人の「情」が社会を形成しているのだ。だから、国家の利益と国民の利益が相反する場面で政治も国民も悩む。
 日本の政治制度で「官僚支配」が何故責められるかと言えば、そこには上記の「情念」や「伝承文化」を尊重する姿勢が無くて、まるで共産主義同等な行政を行うからだ。まさに、中国共産党の行政機能と日本の官僚機構は同根なのだ。システマチックにすれば国民は幸せになるって誤解がその根底にある。
 チベットは難しい国だと思う。それは近代の政治制度では政教分離が原則だからだ。ダライ・ラマが非暴力を訴えても宗教に準じた暴力行為が止むとは思えない。そして、それは現在イスラム教が進めている方法と同じなのだ。それを回避するのは実は宗教の機能では無くて行政の、刑法の機能でしか無い。
 性善説に立脚する多くの宗教があるが、この一部が暴走を始めたときにそれを抑止するのは刑法だ。中国は共産主義国家ってことを別にしても法治国家たる行動を起こしたのだろう。ただ、国際世論はチベット弾圧と認識している。それはダライ・ラマが昔のインドのガンジーのように非暴力を唱えているからだ。
 非暴力を続ける限り中国はチベット弾圧の責任を国際社会で負わなければならないのだ。国家として非暴力程攻撃しにくい対象は無い。その意味で65年前に日本を追い詰めて開戦に踏み切らせたアメリカのシタタカナ外交はまさに孫悟空がお釈迦様の手のひらで飛んでいたような様相を感じる。アメリカに開戦せざるを得ない外交をされたのだから。
 パンダをレンタルする代わりにチベット問題には触れないってのは外交で大きく中国に負けているってことだ。

実は中国はチベットで蜂起した
 チベット暴動はチベット族に潜在的に存在する中国への攻撃意識を中国自身が火を付けた痕跡がある。群集心理を操るのはそう難しいことでは無い。現に長野市の聖火リレーでチベット旗を掲げながら「中国は帰れ!」と叫んでいた集団があった。
これは中国系の集団への明らかな挑発行為だが、チベット支援グループには受け入れられなかった。チベット支援グループのスローガンはあくまで「フリー・チベット(チベットに自由を)」だけである。
主義主張のデモンストレーションまでがダライ・ラマ14世のメッセージであり、相手を威嚇したり挑発する行為はチベットの主張とは違った物だ。相手集団に何かを要求するのは本来の行動では無い。相手にメッセージを伝えるのがチベット支援の行動でなくてはならない。
 実はこのようなチベット族に混じってアジテートして暴動に仕上げる中国の工作員が存在するらしい。一部のyou-tyubeの画像にあるが、中国解放軍の兵士がチベット族の服装に変装して市街地で暴動に参加している場面が複数ある。
 民衆を暴動へと扇動してるのがチベット族に変装した中国人民解放軍の特殊部隊の兵士らしいって画像だ。確かに学生運動が華やかだった1970年代にも公安のスパイがセクトに紛れ込んでワザと公務執行妨害を発生させた状況はあった。しかし、今の中国がチベット族撲滅のために密偵を送り込んで反乱分子の分裂と合法的殲滅(逮捕、留置、投獄)を行っているのだとしたら、報道機関を現地に入れない意味が見えてくる。
 100%近くフラストレーションの溜まった集団に暴動の火をつけて回る中国人民解放軍兵士が居るとすれば(あくまで、仮定だが)、中国は自らを晒してでもチベット族の殲滅にかかったってことで、国際社会は人権問題のみではなく、さらに大局的にチベット問題に対処しなくてはいけない。
 僕の感覚では中国主導でチベット族を扇動してダライ・ラマ14世や既存のチベット族を国際的に賛同を得られないグループに仕上げる謀議が仕掛けられている気がする。

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