竹島問題で揺れる韓国政府の対応

外交的配慮で切り抜け
 教科書の教え方を定めた中学校の学習指導要領に「竹島は日本の固有の領土」と明記する問題で外交上の配慮から文言を修正し「我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ、北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である」との表現に抑えられた。
 そもそも、自由民主党は教育に「愛国心」を加えろと主張してにも関わらず、愛国の対象である自国そのものを明確に出来ないでいる。それも外交的配慮とのことだが、では、外務省のホームページにおける竹島問題は非公式な見解なのだろうか。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/
 これを受けて韓国側からは相次いで日韓交流行事のキャンセルを通告してきた。韓国政府は竹島を自国の領土と教えている国民に強硬な姿勢をアピールする狙いがあると思われる。そもそもBSE問題に端を発して韓国政府は国民から見放されつつある。今回の竹島問題で日本に強硬な姿勢を取ることで、その流れを変えようと目論んでいるのだろう。国内に不満がくすぶるときに海外にその矛先を向けるのは豊臣秀吉の時代から為政者の得意とする立て直し戦法だが、ここに来てその方策がほころび始めている。
 アメリカの政府系機関の地名委員会(BGN)が竹島の領有権を主権未確定と変更したのだ。変更前は韓国領扱いだったのだが、島の名称も「リアンクール岩礁」とし、俗名として日本側の呼称「竹島」と韓国がわの呼称「独島」を併記するに留めた。
この事を阻止出来なかった駐米大使を叱責するも、そもそも韓国政府の失態であり、国民からの反発は冗長されこそすれ、韓国政府支持率が上がるとも思えない。

一転、事態は失態に転じた
 アメリカの主張は表記の問題でどちらの領土であることを支持するものでは無いとのことで、表面的な変更としている。しかし、それほど表面的ならば旧来の韓国領でも良い訳で、変更に対して強く反対を唱えなかった韓国政府の責任が問われる結果となった。
 この事態が知れると韓国のマスコミは一斉に韓国政府の対応不足を書き立てて大騒ぎになっている。韓国では「竹島(独島)は、わが国固有のもので紛争の対象ではない」という建前と思い込みが教育を通じて浸透してるので、どこかの国(今回はアメリカ)が中立的態度で未決定とすると極度に反発する。
日本から奪還した竹島を軍備で守っている現実を、武装警察が治安維持してると読み替えて国民に理解させているのだから、当然、自治権の及ぶ自国領土と考えているのだろう。
 国民の論点が「日本がアメリカに頼んだ」なんて言っているうちは良いが、韓国政府の不手際だとの方向を向くとBSE問題から一連の失点の上塗りになる公算も高い。
 韓国国会も「独島守護・歴史歪曲対策特別委員会」(なんて、ネーミングなんだ(笑い))を設置し国会議員が集団で抗議の訪日をするらしい。それでは国際司法裁判所への提訴を日本政府は再度提案したら良い。
加えて7月29日には韓国の韓昇洙(ハン・スンス)首相が竹島に上陸して政府の対応をアピールするパフォーマンスを行う。アメリカへの抗議の意味も持たせている。30日には毎年2回行われている竹島防衛軍事訓練も実施される。
 失態を隠したいパフォーマンスが目白押しで有る。

韓国にあげちゃえば良いって若者
 一部のインタネに流れているが「たかじんのそこまで言って委員会」で俳優の山本太郎が「韓国にあげちゃえば良い」との発言をして物議を醸している。実際、若者の中には韓国と揉めるならあんな小さな島は手放しても良いとの意見が散見される。
 ここに戦後日本の教育の問題点がある。深く調べもせずに軽率に結論を出す。加藤 紘一氏が言う「浮遊する集団」の原因がここにある。知らないことは調べるのでは無くて心情的に判断する風潮だ。歴史的経緯を調べれば日本の国土を勝手に他国に委譲するようなことは出来ない。まして、国家として国民に担保しなければならない領土を簡単に扱ってはいけない。
 竹島問題では韓国の軍事政権であった朴大統領が「いっそ、島を爆破して無いものにしないか」と本気で考えていた時期があった。両国の国民が納得する方法として考え出したのだろう。喧嘩両成敗の発想だ。
 それも一つの考え方だが、現在の韓国の教育制度が改まらない限り、韓国国民は竹島を自国領土と勘違いし続けるし、国際司法裁判所に提訴する意味すら理解できないだろう。長年この問題を放置した日本国政府は、その期間分だけ解決に時間を要する事態にしてしまった。
 しかも、韓国のマスメディアは「日本は1990年代から竹島問題について強行に発言するようになった。これは日本の右翼化と時期を同じくしている」なんて書いている。違うな、韓国が日本海の資源に目覚めた時からなんだよ。
 また、竹島周辺の漁業協定も日本に不利に締結されていて、まず、この漁業協定も見直して両国平等にする必要がある。
 「竹島は日本固有の領土」のスタンスを崩すことなくこの問題に対処して行かねばならない。

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2008.07.02 Mint