毒入り餃子、またも中国外交に配慮で国民不在
放置状態だった餃子事件
今年(2008)年の1月に発覚した中国製餃子による中毒事件。原因はメタミドホスによる中毒。このメタミドホスが何故食品に混入されたかが原因調査の要だが、製造工程で混入されたと思われるってのが捜査当局の結論。つまり、製造された中国で今夕された疑いが濃厚なのだ。
しかし中国側は流通過程で混入され中国での混入は無いとの見解で両者平行状態に陥り事件の解決を見ていない。日本では中国製品への不審が高まり中国製品の売上げは低下している。真実が明らかにならないので疑わしい食品は購入しない雰囲気が出来上がっている。
7月に入って問題の餃子を製造した天洋食品が日本での中毒事件の後に商品を回収したものが再度市場に出回り、これを食べた中国人にメタミドホスによる中毒症状を起こしたとの情報が伝えられる。この情報が伝えられたのは洞爺湖サミットの前。つまり、7月の上旬の早い時期となる。
中国で中毒事件が起きたのが6月ごろとの事で中国はいち早く情報を日本に伝えたことになる。にも関わらず日本で情報が開示されたのは新聞社のスクープによる8月5日になってからだ。
何故、日本政府は情報を隠し続けたのだろうか。公表された事由は「中国当局から公表を控えるように要請されたから」だ。北京オリンピックを控えて体裁を繕う中国の姿勢に同調したものだろうが、事は国民の食に対する安全に関わる事案だ。中国の体裁なんか関係ない。食品の問題は直接国民の生命に関わる問題だ。国民をないがしろにした外交的配慮をする政府なのだ、福田康夫内閣は。
無言が外交の基本か!
そもそも今回の毒入り餃子事件は歯切れが悪い。事件が起こったのが昨年の年末なのに単なる食中毒と片付け、農薬であるメタミドホスによる中毒事件なのだと認識されたのは1月の末になってからだった。しかし治療の現場ではいち早く農薬中毒と見抜き治療を行ったので命を取り留めた家族も居た。医療の現場が食中毒とは認識していなかったのに保健所を始め公的機関はまったくメタミドホス中毒を見逃していた。
重い腰を上げた政府も製造時混入まで突き止めたが中国当局に強い姿勢で捜査を要求するのでも無く、日本側の見解表明に止まっている。製造した天洋食品は操業を中止しているが、先に上げたように回収品を再度市場に出して中毒事件を起こしてる。一番大切なことは今回中国国内で中毒事件を起こした餃子の製造年月日だ。日本で中毒事件を起こした餃子と製造日が同一ならば明らかに意図的混入があったし、その日に製造に携わった従業員も絞り込まれる。
その情報まで伝わっていないのか、日本政府は新聞の情報に苦虫を噛みつぶしているだけだ。
そもそも、混入していたメタミドホスの純度分析を行って中国国内で流通してる重度であることを科学的突き止めているのに、中国への強い姿勢は取らない日本の外交はどこかおかしい。消費者である日本国が製造者である中国に何も言わないのなら、今度福田康夫内閣が作ろうとしてる消費者庁は張り子の虎、官僚の天下り利権の温床にしかならないだろう。
本当に機能する消費者庁に成らないことは、今回の事件で国民の知るところとなった。福田康夫内閣の支持率が何故下がるのか、それは主張しない福田康夫氏がリーダーシップが無いと思われているからだ。配慮して何も言わないのなら日本国を代表する総理大臣とは言えない。国民目線が無い政治屋が日本国政府を語る資格も無い。
アジアのリーダたるべき日本
対中国政策についても、先に書いた竹島そして尖閣諸島の領土問題についても積極的に解決を図ろうとの姿勢が見えない。加えて言うのならば、この先10年、20年を見越した日本のアジアでの外交が見えない。
経済大国として成り立ったアジアのリーダであった日本は工業生産では中国、韓国に並ばれ、政治では国連での発言力は中国より下で、アジア地域でのリーダーシップは失いつつある。にも関わらず何時までも中国にODA支出してるのも変な話だが。
経済大国の錦の御旗は既に中国に握られるのは明らかだ。日本は次の錦の御旗でアジアのリーダーシップを発揮しなければならない。それは、ずばりアジアの民主化への貢献だろう。韓国も軍事独裁政権を経て民主化の進展が図られている。経済発展の必要悪として軍事独裁政権があったとの歴史観が最近の韓国でも見直されている。やはり、軍事独裁によって行われた人権侵害は間違いだったって歴史観だ。
実はアジア最大の国家である中国は中国共産党一党独裁の状況にある。チベット地区やウイグル地区での人権侵害もはなはだしい。チベット地区での仏教弾圧と同じくウイグル地区ではイスラム教弾圧が行われている。中国共産教との宗教戦争の様相も呈している。
今後のアジアの課題は長期的に見て中国の民主化だろう。中国共産党に配慮して言うのなら中国の国内外に関係する人権侵害を止めさせることだろう。
その大きな錦の御旗に向かって日本はリーダーシップを執らなければならない。そのためには「たかが餃子、されど餃子」である。今回の中国側の情報に接し、安全な生産を監視する仕組みの指導とか、事件の全面解決に向けた捜査の手法だとか、日本的手法を中国に強く求める発言を行わなければいけない。
福田康夫首相のコメントは「ま、オリンピックが終わってから」。あきれてものが言えない。相手の都合に配慮して国民の知る権利、食品の安全問題は棚上げする内閣なのだ。これが組閣を終えた内閣が「安心実現内閣」なんて呼べる訳が無い。国民を中国に売った「売国奴内閣」だ。