衆議院解散、総選挙は遠のくか

公明党を切り捨てる戦略
 どうも雲行きがよろしくない。10月3日などと言われていた早期の衆議院解散と総選挙は現実のものとならなかった。ま、1週間先延ばしのような論調もマスコミに散見されるが。
 今一度衆議院の解散と総選挙関連の情報を精査してみると、どうも麻生太郎総理周辺がお膳立てしてるだけで、麻生太郎総理本人は衆議院の解散を考えていないふしがある。考えていないと言うか、今現在衆議院の解散を予定していないって感じだ。
 公明党の都合でお膳立てされた衆議院の解散日程だがこれをご破算にしたようだ。となると任期満了まで衆議院を解散しないつもりか。
 麻生太郎総理の政治戦略がいまいち見えてこないのは衆議院の解散時期だけに限ったことでは無いのだが、公明党と袖を分かつつもりなのではと受け止められる。それでも衆議院では自民党だけでも2/3議席あるのだから新テロ特措法の延長は可能だ。
新テロ特措法の延長を決定するには現状の数の論理が必要で、それまで衆議院を解散しないつもりかもしれない。もちろん延長に反対の公明党を切っても再可決は可能だ。
公明党を切れば東京都議選なんてスケジュールに縛られないで衆議院を何時でも解散できる。もちろん任期満了まで続けても良い。
「衆議院解散は総理の専権事項だ」と公明党への国会答弁で答えるあたり、どうも、上記のような考え方をしてるように見えるのだが。
 衆議院の解散総選挙は事実上実施されない様相を呈してきた。

民主党の政権奪取の確率
 この場合二つの場面が想定できる。一つ目は民主党が衆議院の単独過半数の議席を占める確率。これは甘く見ても20%程だろう。現在の衆議院の議席を倍増以上に増やす必要があるのだから余程の敵失が無ければ無理だろう。
 衆議院第一党になる場合。これは一つ目よりもハードルが下がる。自民党の小泉チルドレン効果が効かないことを加味すれば確率は50%と見られる。
 そこで二つ目の場合だが、政策を進めるには何処かの政党と連立を組まなければいけない。獲得議席数にもよるが共産党との連立はまず無いだろう。残るは公明党しか無くなる。しかし、公明党は創価学会裁判問題を抱えているから自公合わせて過半数で無い場合以外は話に乗ってこないだろう。また、民主党の側からも公明党に触手を伸ばすことはしないだろう。
 では、どうすれば良いのか。選択肢はそう多くない。自民党との大連立か自民党を割るかだ。
 次回の衆議院解散総選挙では終戦が決まっているのに停戦ラインを何処にするかの最前線での戦いのように、数議席の差が大きく政局に影響する。
 そのような政治情勢の中で麻生太郎総理は公明党と一線を画す行動に出るのは何が影響しているのだろうか。『民主党を揺すぶれば一部は剥がれて自民党になびいてくる』と思っているのでは。実は小沢一郎民主党代表も同じことを考えている。
このあたりが実におもしろい。戦国時代と同じで敵の敵は味方の采配の振り方が国盗り物語になっている。

衆議院解散総選挙は何時か?
 少なくとも公明党の都合に合わせたスケジュールには成らないだろう。東京都議選前後も含めた来年秋までの全ての時期に可能性はある。逆に麻生太郎総理が何時衆議院を解散し総選挙に打って出るかによって意図が見えてくるだろう。
 当面は新テロ特措法の再可決までは解散は考えて無い気がする。しかし、臨時国会も含めて国会運営で窮地に立たされれば「一か八か解散」はあるだろう。
 少なくとも解散する予定を持っていない麻生太郎総理に解散を決断させるのは容易では無い。民主党が国会審議を止めて解散を迫っても選挙に不利に働く。自民党が国会運営を円滑に出来ないのは民主党のせいだとネガティブ・キャンペーンを行うだろうから。
 民主党にとっては何でも扱える予算委員会で正面から追及する方法しか無いだろう。何故か予算委員会だけは予算以外の事案でも審議できるルールがある。全ての事案が予算に関係するからだ。その予算委員会を2日で通すなんて確約しては駄目だ。あくまで、国会として恥ずかしくない議論を積み重ねると正攻法で行くべきだ。
 麻生太郎総理は新テロ特措法の延長までは衆議院を解散しないとの前提で次善の策を講じるのが良いだろう。

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2008.10.03 Mint