任期満了まで衆議院解散は無いのか

衆議院を解散出来ない事情
 9月末の自民党が独自で行った衆議院選挙結果の調査では10月時点で選挙を戦えば自民党は過半数割れに陥るとの調査結果が出たらしい。急遽、衆議院の解散総選挙を取りやめ政策論争で麻生太郎総理の実績を作ってから選挙に挑む戦法に方針を変更したらしい。
 この自民党が行った調査結果は極秘だがマスコミの一部からは漏れ出てきている。北海道の地方紙である北海道新聞がスクープとして報じた以外は大手の新聞社でも取り上げている新聞社は少ない。
毎日新聞が10月6日になって触れている程度だ。何時までも残っていないと思うが
 9月28日昼、自民党の古賀誠選対委員長は北海道中標津町で講演し、「麻生首相が腹をくくった(選挙)日程がある」と述べ、10月上旬衆議院の解散、11月2日投票を強く示唆した。ところが、同日夜の講演(釧路)では「11月衆議院総選挙が独り歩きしている。政策を積み上げるまで解散を待つのが政治だ。政権を失ってはならない」と一転してトーンを変えた。
毎日新聞より引用
 この古賀誠選対委員長は北海道で話しているので北海道新聞が記事にしやすかった。この毎日新聞の記事はそれを受けて書かれたものだろう。
 自民党の独自調査の結果は衆議院での自民党の当選数は堅く見積もって220議席がせいぜい。480議席の半分にも達しない。もっと厳しい見方をすると200議席を割り込む可能性もある。
 この事態を受けて衆議院の解散は時期尚早に自民党は舵を切って解散風はぴたりと止んでしまった。

先送りに好材料は無い
 衆議院の選挙を先送りしても獲得議席数が増える保証は無い。唯一解散時期を先延ばしにして民主党の候補者の資金力が底をつくのを待つことくらいだろう。先の2005年の郵政解散の時に落選した民主党の候補者はその後、新人に世代交代したり、再挑戦で軍資金は潤沢では無い。衆議院解散の臨戦態勢(やるぞ、やるぞ状態)が長期化すれば選挙資金が底をつき、借金を重ねるしか無くなってくる。
 非常に厄介なのは今回は7条解散なので衆議院の解散権は麻生太郎総理側にあり、現在の衆議院の勢力地図から69条解散(内閣不信任案)は不可能なことだ。
 民主党がいかに政府を追い込んでも、みすみす負ける選挙を麻生太郎総理は選択しないだろう。となると、ずるずると任期満了まで衆議院の解散は無いことになる。任期満了の2009年9月10日まで引っ張ることになる。
 衆議院選挙の洗礼を受けない総理大臣が3代続いたことになる。安倍晋三氏、福田康夫氏、麻生太郎氏、しかも全部二世議員や三世議員だ。国民の代表としての国会議員、その代表の総理大臣なのだから、国会議員だけの都合(自民党の都合)だけで首をすげ替えてきたことは国民の民意の裏付けが無い内閣になる。
 失言の多い麻生太郎総理だから今後時間が経てば経つほど民意からの乖離の危険は増す。まして、今度失言辞任なんかやったら確実に自民党は政権を失う。
 選挙が怖くて衆議院の解散を行わないなら、国民不在の政治と言える。民主党はお家の事情も解るが、主権在民に則り、衆議院の解散総選挙に追い込む姿勢が必要である。もはや自民党は話し合い解散のカードを捨ててしまったのだから。

解散に追い込む方策
 選挙制度は小選挙区制による二大政党政治の方向にある。この場合、死に票が多く出るので民主主義の原則からは良い選挙制度とも思わないが、結果として、より政権交代が可能な選挙制度になっている。この選挙制度で戦うには与党や野党の区別が無い。政権政党たらんとしなければ選挙を戦えない。何でも反対の方法論では政権政党にはなれない。だから、政策論争の選挙になる利点はある。
 衆議院での麻生太郎総理の所信表明演説と小沢一郎代表の質問ではどちらが野党か解らない状態だったが基本的に民主党は小沢一郎代表が表明した「所信」を前面に出してあらゆる場で自民党を揺さぶることだろう。
 二大政党時代には与党も野党も極端な違いは無いはずだ。政権党として前政権と180度違う政策は打てない。180度違ったら国際的にも国がもたない。今回の民主党のマニフェストでは支持母体である公務員にまで切り込んでいる。もちろん政権党たらんとするのだから特定の団体の利益ばかり配慮するわけには行かない。
 年金問題、特別会計の埋蔵金、後期高齢者制度等々民主党の自民党への攻撃のネタは山ほどある。しかし、敵失を責めるのでは無く対案を国民に明示して時間が経てば経つほど政権をやらしてみようかなと国民に思わせる工夫が必要だ。
 選挙結果が怖くて解散も出来ない自民党に国民は何も期待していない。

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2008.10.03 Mint