金融危機のカーテンに隠れた麻生太郎総理大臣
衆議院解散風が下火に
麻生太郎総理は国会で衆議院の解散を求められる度に「未曾有の金融危機に対処するのが肝心で衆議院を解散してる場合では無い」と答弁している。しかし、「対処」する知恵を持ち合わせているとは思えない。単に財政出動して税金をバラマキ景気浮揚策を講じているような行動を示すばかりだ。
アメリカがAIGのアメリカ国内だけを救済するのか、全世界を救済するのか。そもそもハイエナ・ファンドを野放しにしてきたアメリカ共和党の市場原理主義がどれだけ世界に迷惑をかけたのかとかの「対処」はまるでしない。
今衆議院解散総選挙を行ったら自民党が過半数を取れる確率は五分五分って党内の選挙結果予測に驚き解散先延ばしをしたいので「未曾有の金融危機」は格好の先延ばし材料になるわけだ。
いやいや、国民は騙されない。賞味期限切れの自民党にお引き取り願うのに早いに超したことは無い。そもそも「未曾有の金融危機に対処」するのは情報が必要で政府から各国に情報収集に向かわせたなんてアクションも取っていない。
今大切なことは金融危機パニックを防ぐことで、その意味で政治家は安心してもらえる情報を発信しなければならない。それを「あの日以上の金融危機」と麻生太郎総理は話しているが、あの日は1929年のブラック・チューズデイを指してるらしいが、実は最大の株の暴落はブラック・マンディの1987年10月19日だったのだ。
しかし、金融当局の適切な対応で1929年の再現とはならなかった。
実体経済と市場経済
先の小泉純一郎総理が総理に就任した時は日経平均株価1万4000円程だったっものが在任中に8000円を割り込んだことがある。その時に「株価の上下に一喜一憂しない」との名言を残している。株価なんてものは投機筋の切った張ったの博打だと言ったのは宮沢総理だったと記憶しているが、政治家は株価に一喜一憂すべきでは無い。このあたりはアメリカ共和党の野放しとは少し違えて「関心を持って見守っていく」くらいに留めれば良いのだ。
しかし、麻生太郎総理は大変だ大変だと金融パニックを煽っているのだから始末に悪い。
今、総理大臣がしなければならないのは円高に現れてるようにドルの価値が下がっている状況である。アメリカの国際は45%がアメリカ人以外が保有している。日本も600兆円(国の借金と同額に近い)のアメリカ国債に加えて100兆円の外貨準備金を保持している。これがドルの価値が失われて紙くずになってしまうのは簡単だ。中国がこの時期にアメリカ国債を投げ売りすれば世界はパニックに陥って実体経済が崩壊する。
そのためには日本からアメリカ支援の声を上げていかなければならない。そもそも金融資本主義が終わろうとしているのに、野村ホールディングスは、リーマン・ブラザーズのアジア太平洋部門、欧州・中東部門、情報部門の買収を数百億円で行った。
三菱UFJフィナンシャル・グループに至ってはモルガン・スタンレーの株の約20%を出資すると言う。1兆円も出すのだ。
このような自殺行為を代替的に日本はアメリカを支援すると政治メッセージ化するのが日本国総理大臣の金融パニック回避への責務ではないのか。
何故か税金かき集めて補正予算を再度組むことが責務と勘違いしている。結局、衆議院解散回避のために自演した金融危機のカーテンの陰に隠れたチキンな総理と国民は見通している。
実態経済にどれほど影響するか
ま、工学部出なので良くわからない(笑い)。
株価が下がって市場から数兆円が失われたってのは別に実体経済とは乖離した話ではあるが、実際には会計基準が時価方式になっているので企業の決算に影響する。
しかし、先に書いたように「ものづくり」で付加価値を売る産業に比べたら証券取引なんて正に宮沢喜一総理が言った「切った張ったの博打」である。実態経済が博打に負けるような国の構造に日本はなっていない(と、信じたい)。
一番の懸念はアメリカべったりになっている輸出産業部門だろう。既に通貨の価値と安定はユーロに移りつつあるので、ユーロ市場に輸出している所はあまり影響を受けないだろう。
中国が一番影響が大きいかもしれない。大国中国といえどアメリカ経済に左右される面は大きく、昨今の食品問題に端を発してドル安が追い打ちをかけ輸出が振るわなくなるだろう。中国の国内問題である格差問題が大きく中国を揺さぶるかもしれない。上海万博まで食いつなげれば良いのだけれど、急激にアメリカ経済を導入したツケが何時国民の不満となって爆発するかも知れない。
中国がおかしくなると日本も影響は大きい。しかし、日本の潜在力を考えるとアメリカを支えて金融パニックを押え、新たなリーダーシップを発揮できるかもしれない。
ま、ポスト麻生太郎総理を待つしかないけど。