国債発行残高は1400兆円まで大丈夫

現在の国債発行残高、450兆円
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 財務省の国債発行残高情報
 まずは国債発行残高カウンターを見て欲しい。
借金も見かけ経済を大きくするから経済活動って面ではプラスに作用するけど、それにしても国や地方公共団体は借金しすぎじゃないの。前にも書いたが「経済」は「富」とは違う。「経済」は価値(紙幣で良いが)の流通量で有り、「富」は価値の蓄積である。だから選挙公約などで「豊かな郷土を作る」ってのは、経済政策無策でただ心情的に訴えているだけだ。
 一方で「富」として蓄積された価値(貯金)を他方が借りて使えば経済は活性化する。価値の流通量が経済の規模なのだ。その意味でいまのデフレ傾向は借金が返済され再投資に回らなくなった状況に起因している。借金が「富」の逆になって価値(紙幣)の滞留が起こっているのだ。
 日本の国家予算はおよそ80兆円。そのうち毎年30兆円が国債(借金)である。国債発行残高が増えると、国債には償還が必要なので、自転車操業的に借り換えるための国債発行を余儀なくされる。国債発行残高の総額は、実に年収の5倍の借金を抱えているのだ。これに地方自治体の借金を加えると、およそ760兆円借入が今の国の台所事情だ。
 が、年収の5倍の借金って特別じゃない。サラリーマンがマイホームを購入するのは年収の3倍程度と言われているが都市部では5倍まで手を伸ばさないとならない(もっとも、貯蓄を頭金に回すから実際に借金は3倍程度かもしれないが)。サラリーマンは歳取って定年が有るから年齢に応じて返済能力も違う。
 国は歳取らないし、税収が無くなることは考えられないので、まだまだ借金できる。そして国債発行残高の上限は国民貯蓄総額と同額まで可能って試算があるのだ。
 それがタイトルの「国債発行残高は1400兆円まで大丈夫」って経済アナリストのコメントだ。
 最初の国債は1966年度から始まった「建設国債」。これは公共事業の財源になるのでサラリーマンが家を買う(インフラを整備する)ような借金とも言える。これは償還が60年と割と長期な返済となる。一方1975年からは歳入不足を補うために「赤字国債」を発行し続けている。これは建設国債と違いサラリーマンで言えば「食料品の購入」に該当する。ま、飯を食わなければ働けないが、サラリーマンと違うのは毎日キャビアを食っている点だろうか。これも最近は60年償還なんて長期なものになっている。でも何時か返済(償還)しなければならないのが国債発行残高なのだ。

償還財源が国家予算の2割!!
 !!マークが多いが、国債は償還によって返済する。1966年度から積み上がった様々な国債の償還が平成13年度(2001年度)で17兆円になる。この年に発行した国債30兆円の半分以上が借金の借り換えなのだ。真水(って言って良いのかどうか)の借金は13兆円しか無い。あとは、先祖から受け継いだ借金を子孫に回すキャッシュフロー分なのだ。これを何世紀も続けるつもりなのだろうか。
 で、借り換えてるだけなので残高は減らない、新たに13兆円増えている。これも何時か返さなくてはいけない。
 そもそも、国債は何処に問題が有るのだろうか。それは太平洋戦争中に軍費調達のために国債を発行し、国債による軍需中心経済を進展して来た。戦争終了、特に敗戦って結果から貨幣の価値が下落し、急激なインフレになった。この教訓から戦後の法律(財政法)では国債の発行を禁じたのだ。猛烈な戦後のインフレの中で「財産税」を新設し金持ちから徴収するとともに銀行を閉鎖し新円に切り替える荒療治をやった。これで国の借金(戦時国債発行残高)はチャラ同然になった。
 実は国の借金ってのは経済変動をコントロ−ルすることにより先延ばししておけば何時かチャラに出来るのだ。だから、タイトルのように1400兆円くらい国債を出しても日本経済は大丈夫って暴言になる。国債発行残高が1400兆円になったら、経済問題として考えれば良いのだって論法。
 増税なんて選挙で票に結びつかないことを考えるよりも経済をインフレに持っていけば良いのだ。しかも困ったことに国債発行残高の95%が国内からの借金なのだ。何時でも外圧無くチャラに出来てしまう。
 国の経済政策ってのはマクロに見ると「財政政策・金融政策・為替政策」のバランスなのだが、日本の場合、国債に関しては為替の影響をほとんど受けない。アメリカの国債なんかは日本を筆頭に外国が購入しているので、極端な為替政策によりその価値を下げると国際問題(ここは国債問題では無く国際問題)になりかねない。インフレでチャラにするのは難しい。そもそも日本がアメリアのたくらみに気が付いて国際市場でアメリカの国債を乱売すればアメリカの国際信用はがたおちになるのだ。
 外国から見て、日本が発展途上国より国債の信用が無いのは、5%の海外購入者には気兼ねせず国債発行残高をチャラにする余地が高いからだ。95%が国内(国民)からの借金ってのも恐ろしい話なのだ。

増税で返すか、チャラにするか
 「どうやって償還するか」って問題を語るには上記の二者択一しか無いと思われる。で、どちらも政権政党には黒星になる。だから、先送りしておくのが最善の方策になるのだ。借金の相手は難波の町金「萬田金融」では無いのだ、取り立て以前に法律で借り換えが保証されてる。引き受け手(借金相手)にも困らない。最後は日本銀行に渡せば良いのだ。日本銀行が札をジャンジャン刷ってインフレになれば適当な所で日銀総裁の首を切れば良い。
 先のカウンターで見ると解るが国民一人当たり400万円程国に貸しているのだ。返してもらうのは税金を沢山納めるしか無い。真水にはならないが100万円多く税金を納めれば400万円のうちから100万円戻ってくる。200万円税金を多く納めれば200万円戻ってくる。つまり、貸した金(国債)は自分(国民)が返済するのだ。
 自民党総裁選挙がはじまったが、旧来型の「国が借金しても民間を助けなければならない」式の口車に乗って応援すると大変な目にあう。結局、政治家の叫ぶ経済政策ってのは国民の税金って「他人の褌」で相撲をとっている。それが政治家の利権である。先に書いたように国民の義務教育をおざなりにして、借金は子孫に回したって日本の国際競争力は教育が壊れているのだから回復しない。ビートたけしの母親の「貧乏からの脱出には学問」これは明治維新からの日本の国是なのだ。それが壊れているのに借金してキャビア食ってる親は気が付いていない。
 国債発行残高に目を光らすのは、子孫に借金を背負わせない今の現役世代の責務なのだ。

button 国債発行残高の推移と日本の台所事情(2007年)


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2003.09.08 Mint