ギョーザの次はインゲン、食品テロなのか過失なのか

全国各地で農薬混入が起きていた
 最初に発覚したのは昨年の12月の冷凍ギョーザ事件。これは全国で多発的に起きていて千葉県では食中毒を疑う症状だったにも係わらず担当医師が薬物中毒と診断して的確な処置を行ったので一命を取り留めるキワドイ状況だった。
 この時に主犯格だった農薬がメタミドホス。このメタミドホスは日本国内では農薬として使用が許可されていない。日本国内で流通してないものが日本国内で混入することは考えにい。事実、分析により純度がきわめて中国産メタミドホスに似ていることまで突き止められていた。にも係わらず洞爺湖サミットまでは中国は日本国内で混入されたものとの態度を取っていた。このメタミドホスについては過失か故意かは別にして中国国内で混入したのは明らかだ。故意に日本への輸出食品にメタミドホスを混入させたとしたら中国から日本に向けた食品テロと呼んでも良いだろう。
 次が今回のインゲンでのジクロルボスだが、実はこちらは少し厄介だ。
これに先立ち昨年の11月に福島県の生協が発売した「COOP手作り餃子」から検出されたのだ。ジクロルボスは日本でも流通している。代表的なのはアース製薬のバポナだろう。ハエ取りもしくはハエを寄せ付けないように吊して使う。東京都では締め切った部屋での使用は健康被害の恐れがあると国に警告し、注意書きに「締め切った状態で使うな」と明記する行政指導も行われている。
 で、福島県の例はどうも日本国内で殺虫剤を撒いた時に付着したらしい。実はジクロルボスは浸透力が強く、袋の外に付着しても中まで浸透する。新聞記事では小さかったが店側の管理ミスの公算が高かったのだ。
 今回のインゲンの場合は中国混入の食品テロと必ずしも言えない側面がある。日本での慎重な捜査が必要な事案である。

ギョーザ捜査の無作為が遠因
 消費庁を作るだとか蜂の頭だとか言っているが、そもそも先の農薬冷凍ギョーザ事件ではラッキーな偶然が重なって国民の命が失われなかっただけで、非常に危険な状況であった。食べて嘔吐となると多くの医師は食中毒を疑う。しかし、今回は医師の的確な処置で薬物飲用と診断され一命を取り留めた。
 薬物飲用の場合、犯罪性も疑われるので十分な原因究明と再発防止をはからないとならないのに、そもそも届け出を受けた保健所の放置等情報管理に欠陥があった。このあたりは原因究明には直接関係無いが再発防止の危機管理を周知するには無視できない情報伝達の欠陥があったのだ。
 メタミドホスの純度まで突き止めながら中国捜査当局に強く迫らなかったのは何故か。当時の総理大臣が「相手のいやがることはしない」ってポリシーだったからなのか。それでは国民の生命や財産を守るのは誰の仕事なのだ。正直税金泥棒と古風な言葉も使いたくなる。行政の故意による無作為で食の安全が保てなくなっているのだ。
「中国が自分の所じゃ無いって言ってるのだから、捜査は進展しない」なんてのは理屈になっていない。日本は買う側の顧客なのだから方策は山ほどあるだろう。不買って最終決定権は顧客側にあるのだから。それとも本当に食品テロで政治問題化することを嫌ったのか。
 死者が出てからでは遅い。本当の原因が何であるかによっては全面的な中国食品の輸入禁止措置も取らなければならない。そのような政治判断を裏付ける意味でも原因究明はないがしろに出来ない。

どうも包装資材が汚染されている気がする
 今回のインゲンについては原因究明が待たれるが、前回の冷凍ギョーザで捜査が進展しないのは工場での故意の混入による食品テロに力点を置き過ぎているからでは無いだろうか。
 段ボール肉まんに代表されるように、中国の国民は生産者と消費者なんて関係はあまり重要視しない。作る人と売る人そして買う人の関係で、特に作る人は買う人のほうを向いていない。だから、偽塩で何百人も亡くなったり、プラスチック原料であるメラミンを牛乳に混ぜて水で薄めて出荷したりする。
 我々日本人に誤解があるのは「中国人は何をやっても儲かれば良いのだ」って誤解。実は中国には「手を抜いて良いのなら手を抜いて働かない」って文化がある。「一生懸命品質を向上して他社を差別化する」なんて日本の常識は無いと考えた方が無難である。ユニクロが中国製品を扱って傾いたのに、再建できたのはこれに気がつき、中国現地での生産現場に立ち会い、製品製作の段階から品質管理を徹底したためだ。製品に対する思い入れが中国には全然無いと言っても過言ではない。
作る人は仕入れてくれる人のほうしか目が行かない国民性なのだ。
 すると一番疑わしいのは工場では無くて工場に包装資材を納入する業者になる。衛生管理が厳しい工場だから製造機械は殺菌のために農薬でガンガン消毒してから使うって発想になる。自分たちの作っているものが何に使われるのかは二の次だ。
 製品全体が汚染されるのでは無く、ピンポイントで個別商品が汚染されるのは製造工程で汚染するよりは包装資材作成段階で付着したと考えるのが合理的だ。包装段階で混入させるのは自動梱包機械に割って入らなければならず複数製品を汚染するなら可能だが、個別商品に行うのは不可能だろう。
 冷凍ギョーザが複数の製造日に跨っているのも不自然だ。その他の日には発生しないのなら製造過程で故意に間を空けて混入すれば工員を割り出されて個人が特定されるのだから。
 やっていると思うが、今回も含めて包装資材の調査を徹底的にやるべきだ。
食品テロの容疑からのアプローチでは問題は解決しない。

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2008.10.15 Mint