解散の選択肢も消滅した麻生内閣
各社の世論調査が出そろう
朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞社の世論調査の結果が出そろった。
毎日新聞では麻生太郎総理の支持率は21%で不支持率は68%。朝日新聞では支持が22%で不支持が64%に読売新聞は支持20.9%不支持66.7%と同じような数値を示している。
定額給付金についても評判が良くない。調査で60%の人が反対している。給付を受ける側が反対だと言っているのだから明らかに政策無策との判断をしている訳だ。
本来バラマキによって選挙を有利に進めようとの思惑から政策決定された定額交付金だが完全に裏目に出ている。ここに来て麻生太郎総理大臣は衆議院解散すら選択できない総理大臣になったと考えて良いだろう。
選挙を行えば確実に敗退し野党になってしまう。かと言って解散しないで国会を開会していても野党の攻撃が激化して国会運営もままならない。麻生太郎首相は手の打ちようが無い状況に追い込まれている。
この後の政治的選択肢は政界再編に向かって加速するだろう。自民党政権が3人もの首のすげ替えを行ったのは、自民党自身が選んだ総裁を自ら支えきれない結果だ。これが今回も繰り返されるとしても麻生太郎辞任、総裁選挙、首のすげ替えのシナリオではもう保たないだろう。
麻生太郎辞任なら小沢一郎代表が言うように超党派の連立選挙内閣もありうるが現実的では無い。それよりも下野しないように自民党を割って出て新党を作り麻生太郎総理に衆議院解散を迫るのが現実的だ。
今臨時国会でインド洋の給油法案を衆議院で2/3の賛成で可決するのは12/25頃と見られている。この時に現在の自民党から17名以上が割って出れば2/3条項は使えなくなる。もっとも、割って出てもインド洋の給油法案には賛成するかもしれないが。
問題は割って出るタイミング
1月1日現在政党(構成員5名以上)であれば政党交付金の需給対象になる。タイミングとしては年内に決起が一番都合が良い。ここにきて石原伸晃氏の動きが過激になっているのは自民党内で互いの腹の探り合いが始まっているからだろう。
麻生太郎総理は自民党で20名程度の零細派閥の長である。現在の自民党にはこれより大きな派閥は沢山ある。また、先の自民党総裁戦は次の総理を目指した顔ぶれも多く、この中から自民党を割って出る人間や派閥が発生するだろう。
20名で割って出れば現在の公明党のようにキャスティング・ボードを握ることができる。82名も居る小泉チルドレンは次の選挙では当選は難しいのだから自民党に頼るよりも新党の勢いで選挙を迎えた方が有利だって判断に傾くだろう。
不穏な動きは加藤紘一氏周辺で起きている。「新党結(ゆい)」構想が加藤紘一氏の案だ。ネジレ国会を調整するには自民党でも民主党でも駄目で新党が調整の役割を果たすって考え方だ。
今の麻生太郎総理大臣に20名程度の反乱を抑える求心力は無いだろう。新党構想は現実味を帯びて来る。それも年内(あと20日程しか無い)。
一方の民主党の出方は
積極的に民主党を割って出る動きは起きないだろう。目前に迫った政権を前に表面上は一致団結を装うのが得策だと皆考えている。どちらかと言うと自民党の自壊待ちの状況にある。いつもの事だが、城攻めの最終局面で下手に動いて墓穴を掘るのが民主党なのだ。ここは動かないのが得策だと思われる。
しかし政界再編の流れによっては民主党にも再編の嵐は起こる。自民党と同じように民主党の今の執行部の吸引力も決して強いとは言えない。
自民党の再編成と民主党の出方を考えると自民党を割って出た勢力と選挙協力レベルでは提携する可能性が高い。選挙後新党と民主党が連立を組む必要があるからだ。次回の衆議院選挙で民主党単独過半数はかなりハードルが高い。一方自民党+公明党で過半数もかなりハードルが高い。民主党が衆議院第一党になるのは間違い無いだろうがその数は過半数に10議席程足りないだろう。この10議席を国民新党だけで補完するのは難しい。しかし民主党が共産党や公明党と連立を組むのは現実的では無い。この時に自民党を割って新党を結成した勢力は民主党との連立によって与党として生き残れる。
民主党としても自民党と180度政策が違う訳では無いのだから十分旧自民党勢力と手を結ぶことが可能だ。そもそも民主党の執行部は旧自民党なのだから。