新型インフルエンザ感染対策は政府の「から騒ぎ」

新型インフルエンザは防ぐより治療
 パンデミックなんて耳慣れない言葉がマスコミを賑わしている。新種のウイルスによって人類が回復不能な症状を呈する事態を想定したものだ。今回の新型インフルエンザ感染対策として「水際作戦」と称して空港や港湾で症状チェックを行っているが、これって強毒性の鳥イフルエンザを想定した古いマニュアルを実施しているのであって、今回の新型インフルエンザでは方法論が違うのは明らかだろう。
 旧来のパンデミック対策は強毒性の鳥インフルエンザ対策として策定されたもので、「水際作戦」では既に発症して兆候が現われている者を対象にしている。今回の新型インフルエンザは弱毒性で潜伏期間中に症状が表面に現われるには個人差が大きく、サーモグラフィーや問診で自覚症状から新型インフルエンザ感染を選別(スクリーニング)するのは難しい。
つまり弱毒性故に「水際作戦」が難しいのが新型インフルエンザだ。
 このような弱毒性の新型インフルエンザへの対応としては「感染は防げない」の前提に立ち、感染者からの新型インフルエンザの蔓延を防ぐ方法に力点を置いた対策が効果的になる。日本で感染者を出さないって「水際作戦」は完全に敗北したわけで、ま、同じ厚生労働省所轄の年金事業団を持ち出すまでもなく政府の対応は常に後手後手にまわっているのだ。
 その尻馬に乗って政府発表を丸投げ報道するマスコミも「ヤレヤレな奴ら」なのだが、季節インフルエンザだけでも年間3,000名以上が死亡する現実を踏まえれば現在のマスコミの新型インフルエンザ報道は国民への危機を伝えるとは何かの視点が欠如した世論を誤誘導する「から騒ぎ」の騒ぎすぎ政府の片棒担ぎだ。
 不幸にして感染した患者の取るべき対応、感染拡大を防ぐために周囲が取るべき対応。そんな基本的な情報が流れず、やれ成田空港で発見されたとか、横浜で発見されたとか新型インフルエンザ防疫に「くその役にも立たない」情報を最優先でマスゴミがまき散らしている。これこそ「情報感染被害」の騒ぎすぎ現象だ。

死亡率は鳥インフルエンザより2桁低い
 季節インフルエンザは日本国内での感染・発病者数は9,000万人とも言われている(正確な統計は無いが1シーズン数回発症をカウントした延べ数での推測)。この中で他に要因が考えられない季節インフルエンザによる死亡が3,000名程発生する。この死亡率は0.00003、パーセント表記にしても0.003%であり、10万人当たり300人。
 罹患数の母数が圧倒的に大きいので死亡者数も大きな数字になるが、死亡率は他の疾病に比較して極端に低い。残念ながら100%完治では無いので死亡者数はゼロでは無い。
 しかし、体力的な弱者を除けば、適切な治療が行われれば死に至る病気では無いとの認識がまず大切だろう。パンデミックの言葉が一人歩きして映画などで最悪のシナリオが広まるとパニックに近い対応を国民がするとの意識が舛添要一厚生労働大臣をして深夜の記者会見に引っ張り出すのだとしたらそれは発表する側がパニックに陥っている逆上記者会見でしか無い。
つねに言われることだが「冷静な対応を」と言ってる人間がパニックに陥っていれば逆効果である。また、これに輪をかけたようにマスコミが騒ぐものだから薬局の店頭からマスクが消えたりする。
 新型インフルエンザ事件でパニックになるのは1999年夏の人類滅亡のノストラダムスの予言を受けて狼狽する程度に滑稽な事なのだと認識する必要がある。

強毒性に変異するか?
 博打めいた予言は控えたいので何とも言えないが、新型インフルエンザへの感染は常に起こっていた事象で今回初めての現象では無い。また、科学的裏付けは未知数だが、新型インフルエンザの型はN1H1型に分類される新型ウイルスであるが、新型インフルエンザはかねてからヒト・ヒト感染が確認されていた。このウイルスがヒト・ヒト感染を繰り返す内に強毒性のウイルスに変異する可能性はゼロでは無いが、その可能性は極めて低いと予想される。何故なら、鳥インフルエンザのようなN1H5型に変異するとは考えにくいからである。
 また、先に季節性インフルエンザと表記したように、冬場にインフルエンザ感染が多いのは空気の乾燥と無縁では無い。ウイルスは空気伝搬するが水分に弱く、空気が湿潤になる梅雨があるアジア地域ではこれからが下火のシーズンになる。アジア以外で猛威を振るう可能性は無いでは無いが、適切な医療体制が完備している国では発症後の治療が適切に行われて爆発的感染拡大は防げるだろう。
 予断だが今回の新型インフルエンザの「から騒ぎ」は陰で製薬メーカー関連が暗躍してるのではとゲスカンしたくなる。昔ならAホンコン風邪レベルのウイルスが情報化が発達したのが原因なのかウイルスよりも先に情報感染汚染が全世界に広まっている。品格の無い「お金儲けは悪いことですかぁ」の片棒を担がないように対応すべきだろう。
本件に関する備忘録
 インフルエンザウイルスは内部タンパク質の抗原性からA,B,Cの3つの形に分類され、、毎年流行するのがA型もしくはB型になる。その中で特にA型はヒトだけでは無く多くの動物に感染する。A型ウイルスの型はNxHxと称されるが、これはウイルスの形状(属性)分類で赤血球凝集素(hemagglutinin:HA)とノイラミニダーゼ(neuraminidase:NA)という抗原性を持つ2つの突起の分類でもある。。HAはH1からH15までの15種類に分類され、NAはN1からN9までの9種類に分類され、分析によりそれぞれのウイルス型番が決まる。
 「強毒性」と「弱毒性」の違いは、毒素の強弱では無く、肺以外の臓器でウイルスが繁殖するかどうかの違いである。全身でウイルスが増殖すると多くの臓器にダメージが発生する。肺は元来外気に触れている機関で耐性はは他の臓器よりも高いので便宜的に増殖する可能性を指して「弱毒性」とか「強毒性」とかネーミングしている。

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2009.05.01 Mint