落ち武者の麻生太郎総理、自民党の下克上

あの古舘伊知郎氏までが首を傾げる
 ぶれにぶれる麻生太郎総理に対してさすがの古舘伊知郎氏も「マスコミが先走りすぎて未決定な事柄も決定済みのように報道するから麻生太郎総理がぶれているように見えるのでしょうかねぇ」と自虐的に述べていたが、日本郵政西川社長事件から麻生太郎総理の「ぶれぶれ」は拡大してきたのは事実だろう。
 まわりにアドバルンを上げさせて反応を探るってのは為政者の常套手段だが形勢が悪くなると「俺は(直接は)言っていない」と全否定なのは非常に姑息な対応に見える。逆に言わされた周囲が麻生太郎総理の言動に不信感を持ってしまうだろう。
 麻生太郎総理の「ぶれぶれ」は前にも書いたが日本郵政の人事に手を染めたあたりから始まる。盟友だった鳩山邦夫元総務大臣が舞台裏を明かし、総理から日本郵政の社長人事予定者の一覧表を貰ったと暴露したあたりから麻生太郎総理の所在が定まらなくなった。つまり、麻生太郎総理は自民党の改革派を先の自民党総裁選挙で叩きつぶし、おらが天下が実現したと思っていたのだが、眠っていた自民党改革派を起こしてしまったのだ。
 小泉純一郎→安倍晋三→福田康夫→麻生太郎と、世代を渡ることにより自民党改革派は消滅したと信じた麻生太郎総理は大胆にも「私は郵政民営化に反対だった」「郵政民営化の担当は竹中大臣で私は責任者では無い」と国会で発言しながら一方では日本郵政の人事権を牛耳る行動に出たのだ。これが、麻生太郎政権の致命傷となり、麻生太郎総理は現在では落ち武者状態になった。
 そもそも、先の衆議院選挙で参議院の郵政民営化法案否決を受けて衆議院を解散しようとした小泉純一郎元総理に「郵政ごときで衆議院を解散するには反対だ」と述べて、最後に罷免をちらつかされてしぶしぶ署名したのが麻生太郎総理(当時は総務相)だ。最後まで衆議院解散に反対し辞表を提出した島村農水相に対し小泉純一郎総理は辞表を受理せず、閣議を中断して天皇の認証を得て島村農水相を罷免し自らが農水相を兼務して解散詔書を閣議決定した経緯がある。
 参議院の郵政民営化否決による衆議院の解散に反対した麻生太郎総理がその選挙結果の自民党の議席数に胡座をかいて2/3条項を使いながら政策推進を行っているのだから、自民党改革派には脚を向けて寝られない状況なはずなのだが。

ラストチャンスを捨ててしまう麻生太郎総理
 これ書いているのは6月30日だが、7月2日までに衆議院の解散が行われなければ麻生太郎総理は最後の「自らが熟慮して解散時期を決める」を失う。つまり、為政者としての求心力を発揮するラストチャンスは7月2日に迫っている。昔の中曽根康弘総理は「風見鶏」と揶揄されたが、それでも麻生太郎総理ほど流される人では無かった。 自分が決めることは様子を見ながら根回しして決めていた。大型間接税と消費税では詭弁を労しながらも乗り切った。しかし、今の麻生太郎総理には自民党内での求心力が欠如し、もやは自分で決めたことを実施すらさせてもらえない。その筆頭が衆議院の解散権である。
 静岡県知事選(この勝敗は微妙だが)、東京都議選の結果が出た時点では、麻生降ろしの大旋風が吹く。つまり、落ち武者麻生太郎状態が確定する。そして2方向に事態が展開する。自民党総裁選挙の前倒しか麻生太郎総理辞任だ。
後者は3度目の正直と言うか、歴史は再度繰り返すと言うか、自民党にとって最悪のシナリオになるが、自民党にとってとにかく麻生太郎総理の下での衆議院選挙を回避することはできる。
 7月2日を逃すと麻生太郎総理抜きの自民党の国盗り物語が始まる。全て麻生太郎総理が眠っていた(ふりをしている)自民党改革派の尻尾を踏み、起こしてしまっことに起因する。所詮、自民党的な発想からすれば互いの利権は相互不可侵で認め合っているが、急に相手が自らの利権に土足で踏みいったので決起してしまったのだ。
 首相の専権事項の衆議院解散を7月2日に断行しなければ、もはや麻生太郎総理の存在すら消えて無くなる。その危機感すら「ぶれぶれ」では麻生太郎総理の命運は尽きる。

自民党下克上のシナリオ
 もし落ち武者麻生太郎総理の事態が発生すると、事は自民党内のコップの中の嵐では済まないだろう。皆で天守閣に集まっても役者が出そろわないのだ。鳩山邦夫、由紀夫兄弟、橋下徹大阪府知事、東国原宮崎県知事、渡辺喜美元自民党議員、起死回生の国民新党の亀井静香、小泉純一郎元総理すらキャスティングされる。若手では小池百合子、石原伸晃、石破茂、一方からは前原誠司、岡田かつやの面々が登場してくる。(全て敬称略)
 まさに、戦国時代の開幕だ。
 今回の衆議院解散総選挙の結果がどう出るにせよ、国会戦国時代は来年の参議院選挙(実は衆議院とのダブル選挙の公算が高いのだが)まで決着しない。
 当然、現在の自民党、民主党の枠に国民新党を加えて、ウルトラCなら共産党も党名を変更して参戦してくるかもしれない。日本の戦国時代と違うのは自国領土の発展のための覇権主義的な侵略戦が繰り返されるのでは無く、理想的には新しい日本国像を求めて集合離散を繰り返しながらまさに55体制の終焉、55体制レジュームからの脱却の時代に入るだろう。
 平成の、大政奉還、江戸城空け渡しだ。
 その時代を仕切る坂本龍馬役が小沢一郎氏だと僕は見ている。歴史の示す所、坂本龍馬は明治維新を見ずに消えていくのだが。
 自民党下克上劇場、7月3日に開幕するだろうか。

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2009.06.30 Mint