2010年の参議院選挙が最終決戦の場

政権交代の第二幕は組閣
 選挙の結果が民主党の政権交代となったが、これからのタイムテーブルは組閣、予算編成、通常国会と階段を上って2010年7月11日に予想される参議院選挙まで一連の流れを経て、政権交代の真価が問われる。つまり、次回参議院選挙で国民に政権交代の審をあおぐのであって、政権交代はゴールで無くスタートラインに立ったのだ。
 それにしても民主党が獲得した308議席は微妙な議席数だ。もちろん241議席(過半数)を越えて安定多数(全ての常任委員会で委員長を輩出)と言われる252議席を越え、、絶対安定多数(全ての委員会で議長を加えなくても過半数を獲得できる)の269議席を越え、尚、2/3条項を使える321議席にには及ばなかった。
 歴史にはifが無いのだが、万が一321議席を越えていたら、自民党の二の舞になる恐れがあった、308議席は最も選択肢の広がる議席数ではないだろうか。
 2/3条項が封印された民主党は、それなりに調整型で政治を進めざるを得ないが、実は政権に不慣れ故に失態を繰り返す事態を招かないためにも308議席は有効になる。民主党内部が議論山積な状態なのは既知のことだが、およそ防衛と外交、そして教育は民主党内の意見の調整が難しい部分だ。これこそが時の政府の政治命題なのだが、意見集約が出来ていない。民主党だけで決めなければならない局面に立たされたら常に内部分裂の火種になる。
 そのために、具体的には内閣組閣の時に防衛大臣、外務大臣、文部科学大臣については火薬庫に火が付かないように民間、もしくは連立政党から選ぶ配慮が必要だろう。特に文部科学大臣に日教組を後ろ盾にはい上がってきた神本美恵子氏や鉢呂 吉雄氏を据えたら国民の信頼を失うだろう。
 日教組が日本の教育を支配する構造は国民から見たらNoなのだ。そもそも、日教組の組織率を見れば明確なように、日教組自体が教員の団体代表ですら無い。この日教組の政治団体に加盟している横路孝弘氏、鉢呂吉雄氏、神本美恵子氏、輿石東氏、佐藤泰介氏、辻泰弘氏、那谷屋正義氏、水岡俊一氏の8氏は文部科学大臣から遠ざけておくべきだろう。
 内閣人事を経て鳩山内閣の方向が見えてくるだろう。そして2010年7月11日と予想される参議院選挙投票日に国民の審判が下る。それが、今後の政治日程だ。

防衛大臣には誰がふさわしいか
 文部科学大臣には民間登用が可能だが、防衛大臣に民間登用は難しい。何故ならば有事の際に総理大臣直轄で対応を迫られる防衛大臣には自衛隊を知り尽くした者が任に当る必要がある。まして、有事対応は危機管理であり、発生した課題を順次対応していく臨機応変な対応が求められる。対応が遅れれば次から次へと発生する事象への対応が滞ってしまい、後手後手よりさらに悪い無対応に陥るからだ。
 民主党が5月19日に発表した鳩山『次の内閣』閣僚名簿によれば、防衛大臣は直嶋 正行氏(兼務)である。兼務にして防衛大臣の役割を重視してないように見せるのが既に議論百出のテーマであることを認めている。ちなみに、直嶋正行氏は参議院議員であり、どちらかと言うと経済畑の人である。2010年の参議院選挙を見越した人事だと言ったら言いすぎだろうか?
 ここに国防族の前原誠司氏を持ってくることも難しいだろう。サプライズ人事で自民党から小池百合子氏か石破茂氏を連れてきたほうがまだ民主党内は落ち着くのではないだろうか。
 外務大臣は次の内閣では原口一博氏が任命されている。これは思い切った若手起用で原口一博氏を使ってみるのも手かもしれない。ただし、外交に明るい先輩議員や民間から副大臣を付ける必要があるだろう。
 民主党次の内閣http://www.dpj.or.jp/governance/gov/next_cabinet.htmlを作った時に、どの程度現在の政権交代を本気で考えていたのか。9月16日以降の組閣で実態があきらかになるだろう。また、鳩山由紀夫内閣が最初にツマヅクとしたら、組閣人事である。前回、民主党代表に就任しながら代表の座を空け渡さざるを得なかったのも人事によるツマヅキだったのは国民みんなが知っているのだから。

政権交代の最終戦争は参議院選挙
 衆議院は小選挙区比例制で白黒がはっきりする選挙結果になる。事実、オセロゲームのようにパタパタと盤面がひっくり返る。これを2大政党制の完成型と見るのははなはだ早計だ。今回の衆議院選挙で明らかになったのは51%対49%の構造による結果が308議席:116議席になるって小選挙区制度の特徴で、今後も衆議院選挙のたびに51%対49%の戦いが繰り返されるのなら日本の政治はポピュリズムを残したままになる。
 本当の二大政党制は時代の変化に対応できる政党が早急に政権を担うって所にある。そのためには何時の時代も51%対49%の戦いのままではいけない。時代に合致した政権が大きな流れの中で長期(数十年)安定的に国政を担うことだ。
 そのリトマス試験紙が来年2010年の参議院選挙だろう。民主党が参議院選挙でも過半数を超えれば長期政権になるし、惨敗すればまた政治の混乱の時代に逆戻りだ。その混乱の中で行われる参議院選挙は今回と同じく51%対49%の戦いに陥るだろう。いわゆる「ばらまき合戦」である。
 民主党は参議院選挙を自らに課せられた政権政党合格試験と認識し、所詮、選挙上手が政権を担うのでは無く、本当の意味での政策勝負の選挙戦を戦う準備を始めるべきだろう。その意味で2010年7月11日が有力視されている参議院選挙までの「おらが春」に浸るのか「臥薪嘗胆」で再度スタートを切れるのか、これは代表である鳩山由紀夫総理大臣のリーダーシップに掛かっている。
 いよいよ最終戦争が始まったって意識を持たなくては一過性の政権に陥ってしまう。

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2009.09.04 Mint