外国人参政権付与法案は民主党の迷走

参政権は国民に与えられるもの
 永住外国人は外国人であって、日本国民では無い。この日本国民では無い者に対して地方参政権を与えるってのが民主党が今回の臨時国会に議員立法を行って成立をはかりたい外国人参政権付与法案だ。
そもそも、日本国憲法 第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
とあり、日本国憲法 第93条は
1. 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2. 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
とある。民主党の憲法解釈では第93条の「住民」の解釈を文字通り「住んでいる人」と解釈して憲法違反にはならないとの解釈だ。
 これには無理があるだろう。一つには「有権者」の概念がこの第93条には明記されていない。「住んでいる人」の解釈では未成年者にも参政権が無ければならない。参政権は特に憲法では明記していない。こちらは法律としての公職選挙法で規定されている。
 今回の民主党の外国人参政権付与法案は公職選挙法の改正に向けたものだが、その上位法である憲法に反した法律は認められない。その意味で外国人参政権付与については独国や仏国で憲法違反とされ、両国は憲法を改正して対応した経緯がある。
 この事実を踏まえれば、民主党は外国人参政権付与法案は憲法改正が必要な事案だと気がつかないのが不思議だ。つまり、外国人参政権付与法案が目的では無く、その提出による利益を得たいための行動が裏にあるのと思われる。

韓国、中国への融和外交なのか
 現在の日本における永住外国人とはどんな層だろうか。実は在日韓国人は「特別永住者」と表現する。これに加えて法務大臣が認める「一般永住者」も民主党の法案には含まれている。現在の在日韓国人数は2008年12月時点で41万6300人、一方一般永住者としてカウントされる中国籍の永住外国人は14万2400人。両者は在日韓国人が3年で2万2600人の減少。中国籍は逆に3年で2万5100人増加している。
 つまり、韓国よりも中国に配慮した外国人参政権付与法案なのだ。
 そして、中国と韓国を語るときに避けて通れないのが尖閣諸島や魚釣り島の日本固有の領土問題、そして対馬に代表される外国資本の国境からの流入である。
 外国人参政権付与で地方参政権が付与されるのであれば、一端日本に入り永住外国人になり、尖閣諸島や対馬、はては沖ノ鳥島へ移住し地方参政権を行使して「実効支配」を合法化することができる。
 日本海での資源開発も外交の隙間をかいくぐって合法化することができる。
 ここまで考えると外国人参政権付与法案は韓国や中国に有利な外交カードとなり、特に懸案の領土問題の最終決着手段に利用される危険性が高い。
 新たにロシア系の永住外国人が増えれば北方領土は日本に返還されるが自治区って形態も可能になる。法的には日本だが経済的にはロシア支配の継続って北方領土問題の落としどころが出てくる。

外交における友愛はポーズ
 友愛政治がスローガンの鳩山由紀夫内閣だが、友愛の精神は同一文化の中でこそ理解が得られるが異文化では価値観の違いの壁があって自分が思っているほど受け入れられない。
 外交とは国益を代表する行為で右手で握手しながら左手でボディブローを打ち合うことなのだ。だから、右手で握手しながら左手で財布を持ち出すような友愛外交では国益は守れない。
 法律は表からだけ見るのでは無く、悪用の余地を裏から見ておく必要がある。日本国の参政権のありかたの問題のように見える外国人参政権付与法案だが、一方では現在既に問題が顕在化しているが政治が手を打てていない日本の領土問題の悪化を招く結果に繋がることも考えておく必要があるだろう。
 民主党は「地方主権」を掲げて、まず地方参政権から永住外国人に開放しようとしているが、そもそも「地方主権」の用語の用法に矛盾がある。
 「主権」とは独立国家について付与されるものだ。つまり、民主党の目指す日本国は地方が独立国家として存在し、連合国家として日本が存在する国家形態である。その考えが本物ならば選挙で日本像を明確にして訴えるべきであった。「地方主権」って言葉に隠すような方法では国民への背徳だろう。
 もちろん「大学院生の言葉知らず」だとは思うが。
 今回の外国人参政権付与法案を何故時間の限られる臨時国会に提出するのか、それは「政府転覆の恐ろしい陰謀を共に進めて行こうではないか」と東京都知事選で呼びかけた外山恒一氏と同じことをしているのだ。民主党左派は本当に国家転覆を考えているのかもしれない。

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2009.11.10 Mint