鳩山由紀夫が消えたら小沢一郎が出てくる
真偽は明確では無いが、今の状態で鳩山由紀夫総理が辞任なんて選択をするはずがない。今まで積み重なってきた政治構造が崩れてしまうからだ。政治は微妙なバランスの上に成り立っている。春先の小沢一郎氏の辞任からの一連の流れは全て政権交代、そして鳩山由紀夫総理、自民党の野党化そして自民党の政治的弱体化に繋がっている。その意味で、小沢一郎氏を辞任に追い込んだ自民党は「試合で勝って勝負に負けた」感がある。
ここで自民党が鳩山由紀夫総理を身内の贈与税の脱税くらいで本気で辞任に追い込んだら、小沢一郎氏が民主党の前面に出てきて自民党との激突の場面に引き込まれる。小沢一郎氏が前面に出ても民主党が分裂するシナリオは無い。それは政権与党の引力が働くから。自民党はそれを経験を通して十分承知だろう。小沢一郎氏は盤石の民主党体制を作るために参議院に手を突っ込んでくるだろう。衆参ねじれ現象なんてのは二院制の弊害だと考えているだろうから、現在の参議院の自民党の弱体化、出来れば1院政にまで持ってこようと動く。そうすれば55体制の崩壊を狙った小沢一郎氏の社会党消滅に加えて自民党消滅でストーリーが完結する訳だ。
それをさせないのが鳩山由紀夫総理って重しなのだと、自民党も気がついているはずだ。
民主党内部も同じ事情だ。身内の贈与税問題くらいで鳩山由紀夫辞任なんて事態になれば次の代表選挙は混沌とする。下手すると党内にしこりが残る。それでは旧来の自民党の派閥政治の再来だ。結局、与党の引力が小沢一郎氏を登場させることになる。それでは、党主導の官僚政治からの脱却には着手出来ないし成就しない。細川政権時代の戦国時代に逆戻りだ。
最悪のシナリオを避けるために自民党も民主党もこの件は鳩山由紀夫総理が贈与税を納めて終わりにするシナリオが既に出来上がっているだろう。そのタイミングを確定申告の時期に行えば支持率には響かないって計算まで出来ているだろう。
結局、自民党的な部分はDNAなのか
一番不思議なのはそもそも鳩山由紀夫総理に真水の政治献金はいくらあったのだろうかって事。鳩山由紀夫首相の政治姿勢に政治資金を集めるのに熱心だった部分は少ない。利権の寝技には、まるっきり疎い人だし、私的憲法改正論なんてのが政治家としての使命だと公言していた時期もある。親(祖父)の七光りも弟の専売特許のようなものだし。まさに、宇宙人なのだ。
実際、会って会食しても「水素エネルギーの未来をどう思うか」とか「OR学会への勧誘」とか政治の話はほとんど出ない。
民主党を作るときに皆に500万円づつ貸してやって総額が2億円以上だったらしいけど、それは個人資産から出したと言っていた。
明治の時代の政治家には「井戸堀」って言葉がある。事業に成功してやがて政治家になったら、政治に熱心になるあまり気がついたら財産は全て無くなり、井戸と堀しか残っていなかったって、今では考えられない政治家の一面だ。
鳩山由紀夫氏は大学の先生から政治家になったのだから事業をやっていたのでも、事業で成功したのでも無い。ただ、「恵まれた家庭に生まれた」ってだけだ。そもそもの選挙区も自民党の調整で三枝三郎氏の地盤に落下傘降下してきた。日本の政治をどうにかしたいって思いも、小沢一郎氏ほど有るとは思えない。結局、鳩山家の血筋によって、ひょんな事から総理大臣にまでなってしまい、総理大臣たる準備不足がこんな事態を起こしたとしか思えない。
鳩山由紀夫氏が最初に衆議院議員になって師事した田中角栄氏が総理大臣になった時に田原総一郎氏のインタビューに答えて「総理大臣ってのは狙ってなれるものでは無い、天地人の微妙な風が後押ししてくれないとなれない」と語っている。
総理大臣を狙っていなかった節がある鳩山由紀夫総理だが、先の言葉を座右の銘として身辺整理しておくべきだったろう。
ここに来て弟の鳩山邦夫氏にも同様な贈与政治資金が発覚している。もはや、「鳩山家流」なのだから、これは「DNA由来の鳩山家政治資金導入システム」なんだろう。瑕疵は一点しか無い。贈与税の脱税である。それ以外の「細けぇ話はいいんだよ!(c)森田健作千葉県知事」。
ま、そんな総理大臣が一人くらい居ても良いのではないかと思う。
ネットで献金できるなら、1000円くらいは振り込んでおこうかと思うが。