政党助成金こそ事業仕分け対象にすべきだろう

政党助成金を作ったのは誰?
 1994年に政治改革四法が成立し政党助成金制度が発足した。国民一人当たり250円を算定の根拠にし、直近の国勢調査により予算額が決定される。直近の国勢調査は2005年で、この時の人口数によって319億4000万円に設定されている。
 国の予算90兆円から見れば少ない額だが、政党助成金の成立過程を調べると、国会議員が勝手に使える政党助成金って性格が鮮明になる。
 政党助成金は1月1日現在の国会議員数によって予算額の半分が分配される。これは「議員数割」と呼ばれる配分方法だ。残りの半分は直近の選挙での得票数で政党助成金を配分する。具体的には前回の衆議院選挙、前回・前々回の参議院議員選挙の小選挙区と比例区の政党の得票数を全体の票数で割り割合を決める。
 政党助成金の配分を受けるには1月1日時点で所属国会議員が5名以上必要だ。但し、国会議員数が1月1日時点で1名でも直近の選挙での得票率が2%を超えると政党助成金を配分する。これは、法律制定時にスポーツ平和党が政党助成金の分配を受けるためにゴリオシした結果と言われている。
 利権を確保するために企業・労働組合・団体からの政治献金を制限するには、その財源を政党助成金で補うって考え方が政党助成金の理論武装だ。がしかし、政党助成金が先行して当時からの企業・組合・団体からの政治献金はザル法のまま放置されているのが現状だ。
 つまり、政党助成金は政治家の「もらい得」以外の効果しか出ていない。法律が成立してしまえば、未来永劫に遵守される行政の「前例主義」が問題なのだって視点が国民が政権交代に期待した姿勢なのだが。だから、古い法律(日本国憲法すら含む)を見直し、時代に合わないものは改変する。その姿勢が「もらい得」で政治家の不作為で放置されるのは国民の意思が政治に反映されるにはほど遠い、つまり日本には民主主義は無いって証左なのではないか。

政党助成金使いの裏技
 建前から入るが、自分が納めた税金が自分が支持しない政党にも使われる政党助成金の矛盾をまず最初にあげておきたい。国民一人当たり250円が按分されているのだ。制度の精度を上げるには、国民に250円渡し、支持政党に献金させるべきだろう。無党派は250円を捨てれば良い。国民から集めた税金を「無条件で」配分する現行の政党助成金は政治家の小遣い帳の整備でしかない。国民から受け取ったって感覚すら無くなる今の制度は事業仕分けの対象にすべきだろう。
 政党の政治活動を制限しないためにその用途には制限が無いとの取り決めも国民から見たら「不透明」に見える。つまり、国民の血税を何に使っても良いってのは党大会の会議費やタクシー代や所有する街宣活動の車の自動車税にも使って良く、その配分は政党に任されている。つまり、政党の金庫番が勝手に配分できるのだ。政党活動の名目が立てば金庫番が特定の子分に政党助成金を渡しても問題ないって制度だ。
 濡れ手に粟の政党助成金を、その配分が政党のヒエラルヒを作る構造を新たな利権に結びつける政治家の嗅覚にはあきれかえるが、実際には国民の血税って感覚が欠如した政治家の政治家による政治家の金勘定ってのが政党助成金の実態だろう。
 国民はこの不透明な税金の使い方に疑問を感じないのだろうか。政党助成金は16年前に起きた政治家の新たな利権なのだ。それを隠しながら甘い汁を吸っていたのは与野党を問わず政治家の国民に対する背徳なのだと知るべきだろう。

制度の見直しすらされていない
 具体的な疑問をあげておこう。自由党が解党した時の政党助成金の問題だ。2003年に民主党との合併で自由党を解散したときに政党助成金を含む自由党の金庫には15億5000万円が現金であった。この現金は小沢一郎氏の政治団体への寄付で「消費」している。国民の税金から得られた金を個人の利権に振り替えているのだ。
 その前の新生党の時にも新進党に移行する時に9億2000万円が小沢一郎氏の政治団体に寄付されている。法律論で言えば合法である。しかし「法の精神」から見れば政党助成金ってのは国民が政党活動に補助する制度で、解散する政党は返納するの基本だろう。事実、法文には返還を義務付けているが、解党時に残金が無ければ(残金を使ってしまえば)無い袖は振れない。残金ゼロでは返還も出来ないのだ。
 政党助成金は、全額国民の血税である。国民の納めた税金の用途は政党助成金に関しては(他にもあるのだろうが)金が流れる間に何処かで不透明化される。それが政治手法だと言えば、政治は国民とほど遠い所で行われているってことだろう。
 つまり、小沢一郎氏の政党助成金に関する経理処理は日本の民主主義の根底を覆す政治家の国民への裏切りの象徴になる。政治に何も期待していない国民も居る。単に制度だから国会が有るのだと思う国民も居る。その国民に明確な政治主導の行政をアピールする気があるのなら、政党助成金は即刻廃止すべきだろう。金を集めるのに一生懸命な政治は、国民の支持を得られないってことだ。
 元自民党幹事長だった小沢一郎氏の政治手法が「昭和の時代の匂いだなぁ」と国民が感じる政治を出来なくては民主党は、鳩山由紀夫内閣は先の細川護煕政権の二の舞になるだろう。
 まず、憲法を変える前に、共産党が訴訟に持ち込んだ政党助成金の矛盾を感じるべきだろう>鳩山由起夫総理大臣!

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2010.01.11 Mint