小沢一郎求心力の衰退で検察の目的は達成済み

政局の場こそが小沢一郎氏の出番
 先に東京地検特捜部の狙いが解らないと書いたが、同様に小沢一郎氏の政治信条も良く解らない。選挙担当とは専門職で解りやすいが、政治家は国家を論じてこそ政治家の本領を発揮できるのであって選挙は手段でしか無い。その手段担当に甘んじるのは政治家の姿勢としては不可解だ。唯一考えられるのは政治資金(その大半が選挙対策だが)である政党助成金の配分権を選挙担当として仕切りたいってことだろうか。それは、政治とは何も関係ない事なのだが。
 国家を論ずる姿勢が政治家の魅力のはずなのだが、それが無い小沢一郎氏に何故人が付いていくのか、それは金でしか無いのか。非常に不可解な小沢一郎氏の「力」である。
 政治が乱れて政局になれば小沢一郎氏の出番になるのだが、本人が政局の震源地では対応の方策が無いだろう。現に民主党の支持率が下がっているのは反小沢の雰囲気が国民の間に浸透してきた訳で、この政局を治めるには自らの幹事長辞任しか無いだろう。
 意外と東京地検の目的はこの辺にあったのかもしれない。民主党内部でも小沢支配を快く思っていない議員は多い。しかし、表だって行動するには数の論理で負けてしまう。小沢一郎氏に逆らって冷や飯を食わされている民主党議員も多い。それを目にするにつけ、表だって反小沢の先鋒に立つの出来ない。しかし、東京地検の捜査対象になったことで世論が反小沢を後押ししてくれるかもしれない。この思惑が達成できれば東京地検のシナリオは完結するのではないだろうか。

単なる形式犯で済まそうとしてるが
 政治献金の記載ミスで片付けようとしているが、東京地検特捜部は過去に起きた様々な金銭のやりとりを全て対象にしている。その中には時効になったものも含まれる。法に照らして有罪となっても時効が成立している案件はよほどの関連性が無ければ調べないが、今回は20年も遡って小沢一郎氏の資金の流れを調べている。
 故金丸氏の時は最後は自宅の金庫に保管されていた金の延べ棒にまでたどり着いた東京地検特捜部だが、今回も小沢一郎氏の自宅の家宅捜索にまでたどり着けるだろうか。そこまで行かないで捜査終了と成れば、まさに東京地検特捜部の狙いは「風評被害」だったのかと思われてしまう。
 民主党を揺すってみるのが目的だとしたら、国民からは見えない。逆に徹底抗戦の雰囲気を民主党内部に作られいる。もっとも、小沢一郎氏にウケルようにポーズを取っている雰囲気にも見えるが。
 そもそも、東京地検特捜部は「小沢一郎氏本人に聞かなければ解らない」と情報をリークしているが、普通の捜査ならば全て回りを固めて、最後に任意で出頭させて逮捕に繋げるのだが、この情報戦のために、あくまで「本人に聞かなくては」のポーズを取っているようにも見える。
 実は外堀は全て埋め尽くしたって状況なのかも知れない。その裏を欠いての東京地検の情報操作を一番恐れているのは小沢一郎氏本人だろう。

いずれのシナリオも1月23日に決着する
 一つの大きな山と言うより決着の方向が決まるのが今週末の小沢一郎氏への事情聴取だろう。東京地検特捜部の手の内が明らかになってくる。マスコミは気がついていないようだが、東京地検特捜部は相当な情報戦を仕掛けている。当然、小沢一郎氏側流れることを前提に情報をリークしている。このリークにマスコミは良く食いつく。東京地検特捜部の狙い通り情報を報道してくれる。
 この情報戦により相手の出方が読めない小沢一郎氏は事情聴取が任意であることを理由に拒否してきた。しかし、ここにきて自らの説明責任を否定されないためにも事情聴取に応じた。そこに東京地検特捜部のどんな仕掛けが隠れているのか、今の段階は情報戦の真っ最中で知るよしも無い。
 ただ、国会開催中なので不逮捕状況の中で、あえて逮捕許諾申請まで持ち込んでとの行動は無いだろう。小沢一郎氏も国会開催までずれこめば逃げ切ったとの感覚かもしれないが、まさに、そんな形式論では無いだろう。
 石川氏の逮捕は証拠隠滅の恐れからだが、本人が自殺をほのめかした段階で東京地検特捜部としては身柄拘束に走らざるを得なかった。このあたりの情報は北海道の地元紙である北海道新聞の記事が詳しいが、基本的に本人の自殺防止のための逮捕ってのが本筋のようだ。罪の多寡では無く、あくまで法律的には証拠隠滅の恐れがあったってことだ。
 互いの腹の探り合いから相互の司法取引まで、1月23日が天王山であることは間違いない。

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2010.01.15 Mint