危機管理が可能か、民主党小沢代表の筆頭秘書逮捕

事件の概要と背景
 先に泥舟(自民党)浮いてるだけのマシの船(民主党)と書いたら、浮いているだけマシ(民主党)にも浸水個所が見つかったようだ。民主党代表小沢一郎氏の公設第一秘書が西松建設の関連政治団体からの寄付金を本来(東京地検主張)の企業献金を個人献金(の集合である政治団体献金)と虚偽の記載を行ったとして政治資金規正法違反で逮捕した(3/3)。
 実際には西松建設のOBが設立した「新政治問題研究会」(95年設立)と「未来産業研究会」(98年設立)を設立し、この団体の会費として西松建設の部課長以上が政治献金し、この金額と同等の金額を賞与として会社が部課長に払い戻ししていたらしい。
 形式上は政治資金規正法の抜け穴であり、受け取った小沢一郎民主党代表の政治資金管理団体「陸山会」が「帳簿に記載以上の事は知らなかった」と言い逃れれば立件は難しい事案だ。ただし、事前に知っていたとの証拠が出てくれば完全に黒でアウトとなるだろう。ま、どちらかと言うと西松建設側に非のある様相だが、ここは灰色で不透明な部分も存在する。
 西松建設のゼネコンとしての政治へのアプローチは自民党副総裁だった金丸信氏の時代にまで遡る。金丸信氏の次男が西松建設の元社長の娘と結婚しており、この時期から金丸信氏の後継者としての小沢一郎氏との西松建設の付き合いが始まった。
自民党を割って出て野党になっても政治献金は続いていた。
 しかし、西松建設社内では、東北で建設工事を行うには小沢一郎氏の息のかかった業者に優先権があるって役人の保身に付けいった「我が社の裏には小沢一郎氏が居る」との経営手法との意見と、それでも準ゼネコンに甘んじているのは期待ほど効果が無かった無駄な出費との両論があるようだ。
 どちらにして西松建設は傘下の政治団体の寄付をテコに小沢一郎氏(の、秘書)に取り入っただろうが、受け手の政治資金団体では、帳簿上は「政治団体よりの寄付」でしか無く、よほどのヘマをしない限り政治団体側の立件は難しい事案だ。あえて、そこに踏み込んだ東京地検特捜部の判断に政治的色彩を感じるのは毎度の事なのだが。

危機管理と安全管理
 佐々淳行氏の著書を読むと危機管理と安全管理の違いが良く解る。安全管理は予め想定される事象を想定し、対応策を事前に構築しておく行為で、危機管理は予測不可能な事態に対応する行為と分けて考えることができる。
 先日、大学の先生と話していた時に「駐車する時に頭から入れるか、バックで入れるか。これを危機管理からアプローチしたらどうなります?」と聞かれた。答は「頭から入れる」なのだが、その理由はこうだ。
 安全管理は事前に想定されるリスクを考える。そのため駐車場から出るときに視界を確保し安全に発進するためにはバックで駐車したほうが良い。しかし、危機管理の観点から考えると、危機管理の基本は今目の前にある危機を順番に片付けていくのが基本で、将来発進する場合のリスクまで考える必要は無い。まして、駐車した車が二度と使えない事態も想定されるのだから、バックで駐車して無駄に時間を費やすことは危機管理の観点からは好ましくない。とのことであった。
 さて、民主党にとって小沢一郎代表第一公設秘書の政治献金規制法違反による逮捕を受けて危機管理を発動すべきかどうか。実は、予めの安全管理に組込み済みでなければならないのだ。安全管理に組み込まれていない時に必然的に危機管理になる。
 逆に、危機管理になってしまうのでは民主党に政権を担う能力が本当にあるのか国民は疑心暗鬼になってしまうから、例え危機管理であっても安全管理のように対応する必要がある。国民に見えるその違いは民主党が全体として統一が取れた対応を出来るかどうかに掛かっている。
 統一が取れるなら、事前に想定していた事態と見える。バラバラだと各人が事態への対応を各人でセルフジャッジし対処してることになる。実際には危機管理状態に陥っているとは思うが。

本来想定しておかねばならない範囲
 仮に今回の事件が無くて、衆議院総選挙が行われて民主党政権が誕生したとして、首班指名で小沢一郎民主党代表が総理大臣に推されて就任したとする。この場合、順風満帆メデタシメデタシだと考えてる民主党議員が居たとしたらまったくノンキなものだ。
 当然、野党になった自民党から与党の民主党への攻撃の中に小沢一郎代表の政治資金問題が想定される。既に明確になっているものに政治資金での不動産の購入の是非がある。これに決着は付いていない。その他古くは歯科医師会1億円献金問題でも現場におり情報を知る立場にあった。およそ小沢一郎代表は総理大臣を目指し政治の階段を登ってきたのでは無いことが彼の経歴の中から読み取れる。
 この面での安全管理が選挙後、小沢一郎代表が健康問題を理由に首班指名には立たないシナリオがある。現実問題として選挙対策として「自分が総理大臣をやる」と公言することで「民主党政権は良いが小沢一郎首相は駄目だ」の意見が根強い。本来の選挙テクニックとしては民主党も代表を変えたほうが選挙戦を有利に戦えるのだが、自民党の「小沢は選挙だけの人間で総理は勤めない腰砕け」の攻撃をかわすために「俺が総理大臣をやる」と公言してるのだろう事は、民主党内部ではうすうす気がついているだろうが。
 であれば、今回の小沢一郎代表の第一秘書逮捕を良い方向に展開するには、もし、首班指名には出ないってストーリがあるのなら、それを前倒しすることだ。もちろん、安全管理の一環として執り行う必要がある。苦し紛れの危機管理では国民にはお里のが知れてしまう。それはとりもなおさず「民主党には政権を担う力が無い」の烙印を押されることになる。

新代表を立てる道筋
 まず、今回の小沢一郎代表公設第一秘書逮捕に関する動きの中に「民主党は被害者」って発言があるが封印すべきである。「官憲の政治的動き」なんてのは腹の中で思っても口に出さないのが危機管理の第一歩だ。「民主党は加害者」の立場にたって国民に説明責任を果たさなければいけない。この面で失格な民主党国会議員が多い。
 物事の真偽を議論している場面では無いのだ、あと一歩に迫った政権を取り逃がすような事にならない危機管理が必要だ。「官憲の政治的な動き」なんてのは後で論文書くときにでも使えば良い。今は自己主張よりも国民に受け止めてもらえる行動は何かを考える時だ。
 第一弾は早急に小沢一郎代表謹慎、複数の副代表による党運営と早急な代表戦の実施ってシナリオだろう。この全ても2週間以内に済ます必要がある。だらだらと灰色代表をいただいたままでは支持率を失うだけだ。
 また、一気に政界再編成に打って出る奇策もある。自民党が割れないなら民主党自らが割れて反麻生の流れを一気に取り込んで新民主党を旗揚げして選挙に挑むのだ。この場合「浮いているだけマシ」の民主党からエンジンの掛かった(何処に行くかは明確では無いが)集団として新民主党が旗揚げできる。上からの蓋の重い現在の民主党が世代交代し脱皮したものになるだろう。自民党の一部も取り込んだ新党になる可能性が高い。
 どちらにしても、現在の民主党の体質では安全管理も危機管理も無い、足の引っ張り合いで、最悪、泥舟(自民党)よりはマシ(民主党)の部分すら失いかねない。危機管理と認識し一致団結できなければ、いつもの「本丸にあと一歩で掘りにボチャンとはまる」(C.鴻池よしただ)繰り返しになってしまう。

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2009.03.04 Mint