もう一度、連合政権になるのか
民主党に執行部体制を再編成して出直す力を期待するのは無理がある。何故なら、現在の民主党はまだまだ大学院生で良い意味でも悪意味でも政治のプロは旧自民党田中派出身者にしか求められない。若手の原口一博氏ですら自民党公認で立候補して落選し、新政党から立候補して当選し、民主党に合流した経緯を持っている。
ここで考慮しなければならないのは、実は自民党と民主党って2大政党制に埋もれがちだが、先の良い意味でも悪い意味でも政治のプロがどちらにも属さないで存在していることだ。訳の解らない亀井静香氏は別としても渡辺よしみ氏や平沼赳夫氏である。田中康夫氏もある意味政治のプロかもしれない。
民主党が小沢一郎氏の豪腕で参議院選挙を乗り切って過半数を確保すれば、その反動で自民党は大きく議席を失う。少なくとも前述のいわゆる少数野党も数名の当選者を出してくるだろう。その議席差によっては野党は「今度の参議院選で再度」の夢は絶たれ完全野党になる。これが政界再編成の序章だろう。自民党は既に長老が多すぎて甲板より上が思い船舶になっている。少しの波風で容易に横転してしまう。
一方、民主党は船底に与党の求心力ってバラストを積んでいる。多少の波風では転覆しない。そのバラストが重すぎて船足を引っ張っているのに気がついていない。転覆しなければそれで良いって航海術では国民はながてそっぽを向いてしまうだろう。
ここは、実は産業界と似たところがあり、大きく遅い民主党は結局小さく早い少数野党にかき回される。今の執行部体制のまま進むのなら、まさに、巨大な恐竜であり、ほ乳類のすばしこい動きに翻弄される。ま、民主党が巨船でも恐竜でもどちらも揶揄なのだが。
奥の手は小沢一郎退陣カード
ヒョーロン家の一部はこのように騒いでいるが、時期を逸しているだろう。小沢一郎氏は師とあおぐ金丸信氏が議員辞職した後に検察の家宅捜索を受け脱税容疑で起訴されたことを忘れず、自ら検察の結論が出るまでは議員、しかも幹事長職に固執した。
「ここからは党の問題では無く小沢一郎個人の問題。そのけじめを付ける」と言えばカードを切った意味はあるが、恐怖心から議員の肩書きに隠れたのではカードの有効性は無くなった。
また、参議院選挙直前に辞任カードを切るとの見方あるが、政治の世界に2匹目のドジョウは居ない。前回の春の連休後のタイミングを計ったような党代表辞任劇が政権交代に繋がった要素は大きいが、今回は滑稽な行為とあざ笑われて参議院選挙では敗北するだろう。選挙担当幹事長なのだから、辞任するタイミングは選挙後しか無い。ただ、その場合は民主党が参議院選挙で負ける背景が無い限り無理だ。なんの脈絡もないただの辞任だから。
但し、健康問題で逃げる手はある。安倍晋三総理がやった手で、これまた政治の世界に2匹目のドジョウは居ないのだが。
民主党はトップ不在の状態に陥った場合、俺がやるって人材の現れない党だ。民主党結党の流れからも「誰と組むか」だけが民主党の政治家の発想だ。それ故に、トップ不在状態は少数野党の狩り場になる可能性もある。
小沢一郎氏が大好きな政局を自らの辞任で作るのか、鳩山由紀夫総理がトリガーを引くのか。土壇場で困窮するまでは民主党内部からは火の手は上がらないだろう。まして、自民党は自らの引力作りが出来ていない状態で敵対勢力に乗り込む力は無い。
つまり、全ての政党に可能性があり切り札を切れる政党が再編で結集する。つまり、細川政権のデジャブだ。また、政界は彷徨する。