自民党に居るなら10年の臥薪嘗胆が必要
諸外国の評価では自民党は「砕け散り状態」と踏みつけられた煎餅のように表現されているが、決して的を外していない表現だ。いままで草加煎餅のように堅く一枚岩のようだった自民党が、まさに「砕け散り状態」になっている。
その大きな理由は「健全な野党」つまり次期政権を狙う野党になりきれて無い現状がある。つまり、「万年野党」にすら達していない。次期政権を狙うにはリーダが必要になる。残念ながら今の谷垣禎一総裁にはその力量が無い。良いも悪いもやはりリーダにはカリスマ性が求められ、乱において能力を発揮するタイプが適任である。谷垣禎一総裁は調整型の人間で、旧日本軍の欠点である逐次投入型戦術しか持ち合わせていな。
これは民主党にも言えて、政権交代が手段にも係わらず万年野党の長老達は政権交代を目的とし、目的達成で我が世の春を満喫しているだけだ。予算編成の忙しさに隠れて肝心の政策がまったく出てこない。これは自民党より深刻で、国民に対する引力が弱まっている。最悪、今度は国民が、平沼赳夫氏、与謝野馨氏の新党結成のように民主党の引力圏を離れて浮遊することになるかもしれない。
政権交代には10年の年月を前提に作戦を練らなければならない。何故なら、その間に3回の衆議院選挙、2回の参議院選挙があるから。1回の選挙で大逆転するような政党はヒトラーと同じで危なくてしょうがない。
この10年を確実に狙っているのが舛添要一氏だろう。だからうかつに動かない。自民党の宇宙塵が星屑となって出て行って、新たな若手が台頭して来たときに舛添要一氏は動く。それまでは臥薪嘗胆と腹をくくっているのだろう。
政界再編は結局人身一新に行きつく
過去の自民党政権の末期から学べることは、二世議員や三世議員の議員屋には総理大臣が務まらないってこと。安倍、福田、麻生とこの「悪の連鎖」は続いた。今の民主党の鳩山由紀夫総理も世襲議員では無いが議員生活が長くて政治屋になってしまった。そもそも民主党や自民党の若手と言われる松下政経塾出身者も、発言を聞くと政治屋のにおいがする。
政治が官僚に操られているのは政治家が官僚をうまく利用してると勘違いして、実は官僚が政治家をコントロールしているシビリアン・コントロールならぬガバメント・コントロールが国会で蔓延しているからだ。その政治の実態に首までドップリ漬かった政治屋が明治維新から連綿と続く官僚機構と対峙できる訳がない。
現在の民主党の引力の無さも、結局は人材は旧自民党田中派の流れであり、やってることも自民党的な「政治と金と色」の世界に陥って何も変わっていない。そもそも、小沢一郎氏は自民党の幹事長だった時代があり、政権交代と言うけれど自民党の派閥争いの縮図でしか無いのかもしれない。
今回の政権交代は細川護煕総理の怨念の祟りじゃないかと思っている。一連の政局はやはり55体制の崩壊と言われた1993年7月の自民党政権の崩壊から変動は始まっていた。
小泉純一郎氏ってのはカンフル剤であるのと同時に強心剤で、薬が利いている間は元気だが薬が切れると前に増して重体に陥る。そして、栄養剤がぶ飲みの3総理大臣が自民党の息の根を止めてしまった。
長老の流れ星を追うよりも、地面に足を張った若手がしっかりと引力を形成していくのが今後の政界再編だろう。若手を引き連れて戦場に登場するのは舛添要一氏が最右翼だろう。民主党には見あたらない。それは、10年先を見据えた政治感覚を持った中堅議員が育っていないからだ。まさに、老害は万年野党病をはびこらしてしまった。
10年後に舛添要一氏に対抗する戦士を育てていけるか。民主党の大切な長期戦略である。