政治は学問では無く経験の蓄積
普天間問題は鳩山由紀夫総理が真剣に勉強する良い機会であった。それは「脱官僚」などとスローガン優先で「政治主導」を不勉強なまま進めて陥った無限ループ方程式に陥った問題を結局「官僚の知恵」で解いたってことだ。
話は逸れるが優秀なパイロットは「使える物はなんでも使う」って情報収集に対する柔軟さと「一点に集中しない分散思考」と言われている。沢山の計器から必要な情報を読み取り最適な判断を瞬時に行うには、多くの情報と多くの可能性を考える思考方法を身につける必要がある。パイロット用に発行された日本航空機操縦士協会が発行するパイロット手帳には国内の民放ラジオ局の周波数が明記されているのは最悪計器が故障した時も民放ラジオを受信して方位を決定する工夫をサポートしている。
話を戻すと、今までの鳩山由紀夫総理は不勉強で不適切な発言を繰り返し総理大臣の席に座ることで満足し、日本の顔としてのみ行動していた。首相官邸に韓流俳優を招いて妻の手料理でもてなすなんてのは、その発想を示している。
しかし普天間問題では日本の頭脳としての対処を迫られた。この場合、逃げ切る方策が無かったとは言えない。岡田かつや外相と北澤俊美防衛大臣に丸投げしておけば良い。しかしここで大学院生と言われる民主党らしさが出て両者とも普天間問題を背負うのを避けた。
追い込まれた鳩山由紀夫総理は結局自ら動くことで問題解決をはからなければならなかった。
その時に残された手段は官僚が蓄積した知識であった。さらに言えば祖父の鳩山一郎の政敵であった吉田茂が日米間で決着をはかった昭和27年のサンフランシスコ平和条約にまで歴史は遡る。当時、それを支えたのが日本に通産省を作った白洲次郎であったのは有名な話だ。吉田茂は官僚を巧みに使い政治の経験を積み重ねた。
それが「鳩山由紀夫総理も良い経験をしたね」ってことだ。
宇宙人が少し地球人に近づいたのかもしれない。
マッチポンプは「鳩山った」かな
好意的に見れば上記のようだが、基本、普天間問題は鳩山由紀夫総理のマッチポンプであった。その責任は大きい。但し、これまた日本の政治家全般に言えるのだが、普天間問題のダッチロールに手を差し出さなかった政治家は戦犯である。それは、政権交代以降、日本の政治を一から作り直す気概が無く、既得権益を自民党から引き継ぐだけの政治姿勢だ。
「平成の坂本龍馬になる」なんて言っていた政治家が陰も形も見せないのは笑止千万である。明治政府を作ったほどのエネルギーが求められている時代に、あまりにも政治家の器が小さい。
今回の普天間問題で一番坂本龍馬に近かったのは鳩山由紀夫総理そのものでは無かったのか。残念ながら日米合意を優先した結論ではあったが、これまた黒船に対抗する選択肢なのだから。
また、時代も鳩山由紀夫総理を後押しした。北朝鮮によると見られる韓国哨戒艦の魚雷攻撃である。この軍事的緊張が平和ぼけしていた眠りを覚ます蒸気船であった。福島社民党党首の罷免も軍事的緊張の前では当然と受け止められるだろう。
総理大臣が経験を積み重ねて育っていくのを見守る国民は不幸かもしれないが、自らが生きている時代が明治維新前夜と同じだと考えると、これもまた国民が甘受しなければならない歴史のひとこまかもしれない。