柳田稔法務大臣は辞める必要があったのか?

議会を軽視したと言うけれど
 11月22日に辞任した柳田稔法務大臣の辞任の原因は「議会を軽視した」責任をとったとのこと。実質更迭だから菅直人総理大臣も同様の趣旨で責任を重視したのだろう。
そもそも、補正予算参議院通過とのバータだったとの意見もあるが、これを意識したとしたら民主党は本当に政治音痴の集団である。この部分は本題では語らない。
 後援会での発言で法務大臣の国会答弁では以下の2つの常套句で十分と話した。
1)個別の事案については、お答えを差し控えさせていただきます
2)法と証拠に基づいて、適切にやっております
の2つ。
 これをタチの悪いジョークと見るか、国会軽視と見るか、もしくは「国家機密の漏洩」と見るかは各自の判断だろう。実際に国会での対応は野党の自民党が「国会軽視の発言」と責め立てた。ま、ここは「タチの悪いジョークでドンビキ」としておくが。
 では、国会は真摯に議論をする本来の機能を果たしているのか。それが国民は一番知りたがっている。国会中継は時間があれば見たりラジオで聞いているが、とても議論をしてるように見えない。学級委員会なら先生に「議論になっていない。まじめに答えなさい」と口を挟まれるレベルだ。
 これを衆参のホームページではストリームで公開しているが、内容の無さでとても時間を費やしてまで見る気がしない。はっきり言って税金の無駄使いだ。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
国民から預託されている立法府の責任を果たしているだろうか。実際には事前に質問書を出し、官僚が答弁書を作成し、それを読み上げるだけの儀式と化しているのは国会議員自らも周知のことではないのか。

「守秘義務違反」が実態だろう
 法務大臣は初任の大臣ポストと言われている。過去の組閣を見ても初めて大臣になるのに法務大臣の頻度が高い。また、必ずしも適任とは言えないが法律の専門家である弁護士出身の国会議員が就任することも少ない。法律は明文化され誰でも遵守が容易なので新任の大臣ポストでも良いと考えられているのだろう。
 実際に法務大臣が国会で質問される機会も少ない。しかし、立法府の機能として作った法律の執行に係わる部署で法律の知識も無い議員が官僚任せで勤めるのは無責任だ。死刑執行の最終責任者でもあり、行為と結果に責任を持つ心構えが必要なポストなのだ。
 過去の答弁も見ても上記の2点は常用されている。それは法務大臣に必須の答弁手法でもあるからだ。国会は立法府である。法の執行状況を国会議員が正すのは本来の機能と違う。そもそも今の国会の議論がスキャンダル暴き合戦になってしまうのは、予算委員会の質問は「何でもあり」のルールがあるからで、本来の予算の組み立て方の議論は予算委員会に全然出てこない。
 法務大臣に向けられた「適切性を欠く質問」には上記の2答弁で対処するって法務省の国家機密を柳田稔法務大臣は公開してしまったって罪が正しいのではないか。そして「法務大臣は楽なもんです」とこれまた国家機密を公開してしまった。
 そもそも、ソ連では「エリツィンはバカだ」と言っただけで重大な国家機密漏洩で逮捕されるのだから。
 その意味では民主党の言う「国民の知る権利」に柳田稔法務大臣は真摯に対応してくれたと言えるだろう。

軽視されてる国会が根本問題
 そもそも、国会は政策を議論する場だがそれがなされてない現状では軽視されて当然だろう。小泉純一郎総理のあたりから国会は議論をしなくなった。理路整然と相手を追い詰める論調に欠ける。テレビのワイドショーよろしくフリップを用いるのも小泉純一郎総理時代から始まったパフォーマンスで感心しない。
 言論を戦わせるのはテレビの政治バラエティで「たけしのテレビタッックル」とか「たかじんのそこまで言って委員会」に土俵を移してる。これでますます国会は軽視されることになる。
 その国会を軽視した責任で柳田稔法務大臣を更迭する菅直人総理大臣も仙谷由人官房長官も、議論を交わすだけの国会軽視の答弁に終始してるから同罪のA級戦犯だ。そのA級戦犯は残り、真実を「機密漏洩」した者が更迭されるのでは国民は納得しない。国会が自助努力を失い党首討論も行わず、議論も官僚の作った答弁書のやりとりなら電子メールで十分だろう。公開性を考えるとツイッターでも事足りる。
 国会は軽視されるべく軽視された。その責任は与野党問わず全国会議員が責めを負う問題だろう。トカゲのシッポ切りでその問題を封印してしまう国会には自らの責任を自らに問う力も無く、まったく国民の信託に応えていない。  補正予算の国会通過のために法務大臣の首を差し出したとしたら、これは国民をなめている。党利党略優先で合理的な説明に欠ける行為だ。結局、本音がこれだとしたら菅直人内閣はもうもたないだろう。

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2010.11.26 Mint