氷河期は何故起こるかの最新の科学的エビデンス(3)

人類の関与は微々たるもの
 長いレンジ(数千万年単位)での炭素循環が地球の気温を決めていたのは(1),(2)で書いたとおりである。また、地球が酸素に富む星になったのは生物の関与によるものだ。
 では、同じ生物である人類が、産業革命以降に大気中にCO2を放出し続けて地球を現在より温暖化させるのか。まず、その関与度合いを見てみよう。
 現在の地球が大気から吸収できるCO2の量は森林および森林土壌、そして海水が候補だが、人類が化石燃料を燃やしてCO2を排出する量が、地球が吸収できる量を上回っているので大気中のCO2が増え続け地球が温暖化するってのは温暖化論者の基本的スタンスだ。
 先に説明したように、CO2の増大により一度灼熱の星となったら金星のようになってしまうってのは過去の地球には無かった。何故、地球は金星のようにならないかと言うと、そもそも、地球上で気候変動に大きく関係するのは水蒸気でその影響度は全体の80〜90%である。つまり、地球は水の惑星故に灼熱の星にはならない。
 残りの20〜10%の中でさらに人間が産業活動を通して排出するCO2は3%程度である。3%もあると思う人も居るだろうが、水蒸気がちょっと変化すれば3%は無きに等しい。坂道を転げ落ちる1トンの岩を30kgの力で押しとどめようとしても無理なのだ。
 気温が上がれば水蒸気が増えて、雲が増えれば氷河期の氷床と同じように白さによって太陽熱を宇宙に反射して地球の受ける太陽エネルギーは減少する。青い地球が雲で覆われ白い地球になるのは全球凍結とエネルギー収支では同じになる。
 地球45億年の歴史の中で氷河期は平均気温-50度にも達したが、高温期は50度にも満たない。地球は凍りやすい星なのだ。
 でも、氷河期の開始にも終焉にもCO2が深く関係するじゃないかと思われるだろうが、それは全球凍結のような激しい氷河期についてであり、その後の氷河期と間氷期は太陽活動のブレ、移動する大陸の存在する緯度による氷床の形成の仕組み等が大きく影響する。
 極論すれば地球温暖化のIPCCの勧告は地球が温暖化している現状をCO2にのみ求めたリポートで、実際には地球は太陽活動の変化や火山活動で気温の上昇期にあるにも関わらず、それをCO2が原因と作文しただけと言われている。

温暖化、恐るるに足らず、寒冷化こそ問題
 生物の多様化が全球凍結の氷河期の終了とともに発生しているのは、全球凍結の氷河期を生き残るのがいかに難しいか。実際には全球凍結によって滅んだ生物の品種は多い。そしてその間に地球の各地の火山や熱水鉱床でコロニーのように生き残った生物はそれぞれのコロニー単位に独自の進化をとげ、これが氷河期の終了とともに全世界で交わることによりさらに多様化する。
 しかも、ほとんどの生物は海洋生物だったので氷河期終了時の高温気候に晒されることもなかった。地球は生物が陸上で生活するにはまだまだ過酷な気候であった。
 ただ、地球は酸素のある星としてその後多細胞な生物を育み、我々は5億年の時を経て人類として地球に君臨している。全てが偶然では無く、全てが必然だったのだ。人類の繁栄には酸素と肉食が貢献しているのはNHKのドキュメンタリーでも放映されていて知っている人も多いと思うが、基本的に地球に今君臨する人類は多酸素消費が可能になった現在の地球環境に適合した生物だから今の反映がある。
 液体である水が存在するには地球の大気が1度〜99度の温度にあるときだけだ。宇宙に存在する星の中で、この温度範囲はほとんど誤差範囲くらい狭い。太陽の表面温度は6000度、金星の表面温度は460度、火星は-55度、どこも水が液体では存在できない。
 しかも、地球が恵まれているのは0度以下になると雪となって白くなる。水蒸気は上空で細かな水滴になり白くなるって性質だ。どちらも太陽エネルギーを宇宙に反射する。過去全球凍結こそあっても気温が100度を超えて液体の水が全て空気中に移動したことは無い。
 地球上の生物にとって、怖いのは氷河期に代表される凍結による食糧難である。特に陸生植物が食料となっている時代では農作物や植物が食料の中心であり、氷河期が来れば食物エネルギーが枯渇する。
 実は、温暖化(これは、金星のような灼熱地獄にならないのは自明)よりも寒冷化こそが人類の脅威になるのだ。

地球温暖化対策でCO2削減を言っているのは日本だけ
 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)ってのがある。今年の10月から石油、石炭、天然ガスに炭素税が課税される。集めた金をCO2削減に使ったり、諸外国から排出権の購入に充てる。こんなバカなことをやっているのは日本だけだ。消費量抑制のための税金を実態のない排出権って紙切れに、それも外国に向けてばらまいている。
 このあたりの実情は桜井よしこ氏のリポートに詳しい。
 桜井よしこ氏は「CO2排出権に金を払うのは無駄」と言うが、私に言わせれば無駄を通り越してバカだ。地球温暖化のスローガンに思考停止になり、何も自ら考えることもなく付和雷同する。それを煽るマスコミ。
 科学的エビデンス無き政策決定。
 氷河期が何故起こるのかを考えてみると、現在の時代は好ましい状況にある。あえて暴言を吐かせてもらえば「CO2を減らして地球は全球凍結した歴史を持っている」。それに加担してどうする。人類を氷河期による餓死に追い込むために国民から税金を集めている日本は世界の大バカ者なのだ。
 感性的エビデンスで国策までも組み立てる。日本人は世界に類を見ない「考えない腐った葦」なのか。それを問いたい。


button  氷河期は何故起こるかの最新の科学的エビデンス(1)
button  氷河期は何故起こるかの最新の科学的エビデンス(2)

ツイッターはここ


2012.09.06 Mint