氷河期は何故起こるかの最新の科学的エビデンス(1)

氷河期は何故起こるか
 中学生の時代だから今から40年以上も前の話だが、正直言って氷河期の原因には諸説有って決着は付いていない状態だった。小松左京氏の「日本沈没」に出てくるプレートテクトニクス理論も当時は知られてていなかった。その40年前の知識だけでは駄目だと思い返し、最近、最新の氷河期理論を調べている。そこで解ったのがプレートテクトニクス理論とカンブリア期以降の多細胞生物種の爆発と地球環境を左右するCO2循環の話が融合して全球凍結(スノー・ボール・アース)の氷河期の解明と上記の理論が新しい氷河期形成の理論にたどり着くのである。
 いやぁ、人間てのは考える葦である。本当にこの40年の間に科学的エビデンスによる理論構築が進展していたのだ。
 今回はいつもの時事問題では無く科学ネタなので一緒に考えるように読み進んでください。
 氷河期が始まる理由の説明には氷河期が終わる理由の説明と対になっていなくれはならない。何故ならば、氷河期は現代では終わっており、我々は氷河の痕跡を見て過去に氷河期が有ったことを知り得るだけで、現在は氷河期では無い。ならば、始まった原因と終わった原因が整合性を持って説明されなければ氷河期の原因と氷河期解消の説明にはならない。
 実は40年も前には「太陽系が銀河系を回るときに、銀河の円盤上を上下運動し、円盤を横切るときに星間物質を横切るので太陽の光が弱められて氷河期になる」って節が割と支持を得ていた。
 一方、前に書いたトンデモ本の「神々の指紋」では南極大陸に積み重なった氷の重量で地球の自転軸がぶれて大陸が赤道下になり熱帯になったり、極地域で氷河で覆われてたりして地球全体のエネルギー収支が変動し氷河期になったり温暖化したりするって論を紹介してる。アインシュタインも当時、この節を支持していたのも事実だ。アインシュタインが支持していた理由は大陸を移動させるエネルギーが何かを当時は改名できていなかったことにも起因する。
 他に山ほど理論があるのだが、さて、氷河期は何故起きるのだろうか。そして氷河期が何故に終わって地球が温暖化するのだろうか。そして、現在言われている地球温暖化とどのように関係するのだろう。
 そんな好奇心からネットを検索しながら調べてみた。

氷河期は極地拡大?それとも全地球的現象?
 実は先に書いたアインシュタインの生きた時代にはプレートテクトニクス理論は確立してなかった。プレートテクトニクス理論は1960年代後半に提唱されるようになった。大陸移動説はドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーが1912年に提唱したものだが、では何故大陸が移動するのかの科学的エビデンスは確立していなかった。
 つまり、大陸が移動したらしい証拠は手に入った。しかし、何故移動したかの科学的エビデンスが確立していなかった時代だ。だから、アインシュタインはそのエビデンスとして南極の氷が増大して地殻とマントルの間に滑りが生じたと考えたのだ。
 先のトンデモ本である「神々の指紋」は、それを氷河期の原因にアインシュタインがお墨付きをくれたみたいな書き方をしている。自身の論理の展開に他人の権威を使うのは今に始まったことでは無くて常習化し、しかもそれに騙される人も多い。
 一方、昔の地球気象の研究者は地球全体が氷に覆われることは無いと考えていた。何故ならば、地球全体が氷床で覆われると宇宙から見て地球は白い天体で、太陽の光の反射率が高くなり、太陽のエネルギーは宇宙に反射されて地球は吸収できなくなる。そして、ますます地球が冷えるから永久に氷河期から戻らなくなると考えた。実際には現代は氷河期から温暖期に戻っているので氷河期は地球の一部地域(両極周辺)の氷床が拡大したり縮小したりする現象だと思われていた。
 同じく温暖化もCO2が増えて温室効果が高くなるとますます地球の気温が上がり最後は金星のように灼熱地獄になると一部の「不都合な真実」を信じる不都合な人たちは述べるが地球が金星のようになるにはあまりにも条件が違いすぎると、そもそも、CO2が増えると非可逆的に地球が温暖化、灼熱地獄化するってのは、あまりにもためにする理論だ。
 まず、氷河期の原因を知るために全球凍結理論のエビデンスを追ってみよう。

大胆な全球凍結理論のエビデンス
 過去に地球上で全球凍結があったとの節は1992年に仮説として発表された。
 ここで、時間軸を野田佳彦総理の「近いうち」よりも更に長くして考えよう。そう1億年単位でしかも誤差は数億年ってくらいに。
 地球が誕生したのは45億年前頃と言われている。これは地球の存在する空間に隕石や岩石(隕岩)が集まりだした時期である。最初は宇宙空間の「ゆらぎ」で集まり始めたのだろう、。しかし集まるとその空間に重力が生じ他の空間の隕石や隕岩を集める。これらの衝突して集まるために、運動エネルギーが衝突時に熱エネルギーに変わり、最初の頃の地球は岩石の熔けた状態で誕生した。
この熔けた岩石の固まりが自らの熱エネルギーを宇宙空間に発散し、表面が固まった(現在も地球の内部は熔けた状態にある)のが38億年前頃と考えられている。現在見つかっている世界最古の岩石が38億年前と推定されるからだ。
 つまり38億年前に地球に陸地が出来たのだが、実は多細胞生物である三葉虫のような生物が地球上に現れたのは5億年ほど前である。では、38億年から5億年までの33億年、実に地球誕生からの73%以上の期間に地球上に生物は居なかったのか?
 実は、単細胞のバクテリアのような生物は38億年前の地層からも得られている。多細胞で器官(目とか口とか心臓とか肺とか)を持った生物は居なかったと考えられる。化石が出てこないのだ。これは古代生物学の謎である。一部の学者は化石は5億年以上保たないなんて理論まで真剣に考えた程だ。
 最近の研究では38億年前の太陽は現在の70%程度の出力しか無い。にも関わらず38億年前に既に地球上には水、それも液体の水が存在した。本来70%程度の太陽光では水は液体として存在できずに氷の状態にあるはすなのだが。
 また、岩石の分析から22億年前、7億年前、6億年前に地球が完全に氷に覆われる全球凍結が有った痕跡が見つかっている。つまり真っ白な氷に覆われた地球の時代が少なくとも過去3回あった。
 地球が出来た時代の大気は現在と比べるとCO2が多く(その推定値は0.1〜10気圧までまちまち)、それに加えて100倍以上の温室効果ガスであるメタンガスも多く存在した。
 さて、現在の地球の地表面気温は平均15度である。CO2濃度は0.03%であるが、このCO2の温室効果は気温上昇に換算して33度と計算される。現在のCO2濃度がゼロになり、CO2による温室効果が無くなると地球表面は-18度になる。つまり、水は液体で居られなく氷になる。氷になれば太陽光を反射し、ますます冷える。何か別な要因で暖かくならなければ氷河期は永遠に続く。では、24億年前の全球凍結からいかに立ち直ったのか。また、7億年前の全球凍結からいかに立ち直ったのか。
 一度で書ききれないのでつづく。


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2012.09.05 Mint