氷河期は極地拡大?それとも全地球的現象?
実は先に書いたアインシュタインの生きた時代にはプレートテクトニクス理論は確立してなかった。プレートテクトニクス理論は1960年代後半に提唱されるようになった。大陸移動説はドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーが1912年に提唱したものだが、では何故大陸が移動するのかの科学的エビデンスは確立していなかった。
つまり、大陸が移動したらしい証拠は手に入った。しかし、何故移動したかの科学的エビデンスが確立していなかった時代だ。だから、アインシュタインはそのエビデンスとして南極の氷が増大して地殻とマントルの間に滑りが生じたと考えたのだ。
先のトンデモ本である「神々の指紋」は、それを氷河期の原因にアインシュタインがお墨付きをくれたみたいな書き方をしている。自身の論理の展開に他人の権威を使うのは今に始まったことでは無くて常習化し、しかもそれに騙される人も多い。
一方、昔の地球気象の研究者は地球全体が氷に覆われることは無いと考えていた。何故ならば、地球全体が氷床で覆われると宇宙から見て地球は白い天体で、太陽の光の反射率が高くなり、太陽のエネルギーは宇宙に反射されて地球は吸収できなくなる。そして、ますます地球が冷えるから永久に氷河期から戻らなくなると考えた。実際には現代は氷河期から温暖期に戻っているので氷河期は地球の一部地域(両極周辺)の氷床が拡大したり縮小したりする現象だと思われていた。
同じく温暖化もCO2が増えて温室効果が高くなるとますます地球の気温が上がり最後は金星のように灼熱地獄になると一部の「不都合な真実」を信じる不都合な人たちは述べるが地球が金星のようになるにはあまりにも条件が違いすぎると、そもそも、CO2が増えると非可逆的に地球が温暖化、灼熱地獄化するってのは、あまりにもためにする理論だ。
まず、氷河期の原因を知るために全球凍結理論のエビデンスを追ってみよう。
大胆な全球凍結理論のエビデンス
過去に地球上で全球凍結があったとの節は1992年に仮説として発表された。
ここで、時間軸を野田佳彦総理の「近いうち」よりも更に長くして考えよう。そう1億年単位でしかも誤差は数億年ってくらいに。
地球が誕生したのは45億年前頃と言われている。これは地球の存在する空間に隕石や岩石(隕岩)が集まりだした時期である。最初は宇宙空間の「ゆらぎ」で集まり始めたのだろう、。しかし集まるとその空間に重力が生じ他の空間の隕石や隕岩を集める。これらの衝突して集まるために、運動エネルギーが衝突時に熱エネルギーに変わり、最初の頃の地球は岩石の熔けた状態で誕生した。
この熔けた岩石の固まりが自らの熱エネルギーを宇宙空間に発散し、表面が固まった(現在も地球の内部は熔けた状態にある)のが38億年前頃と考えられている。現在見つかっている世界最古の岩石が38億年前と推定されるからだ。
つまり38億年前に地球に陸地が出来たのだが、実は多細胞生物である三葉虫のような生物が地球上に現れたのは5億年ほど前である。では、38億年から5億年までの33億年、実に地球誕生からの73%以上の期間に地球上に生物は居なかったのか?
実は、単細胞のバクテリアのような生物は38億年前の地層からも得られている。多細胞で器官(目とか口とか心臓とか肺とか)を持った生物は居なかったと考えられる。化石が出てこないのだ。これは古代生物学の謎である。一部の学者は化石は5億年以上保たないなんて理論まで真剣に考えた程だ。
最近の研究では38億年前の太陽は現在の70%程度の出力しか無い。にも関わらず38億年前に既に地球上には水、それも液体の水が存在した。本来70%程度の太陽光では水は液体として存在できずに氷の状態にあるはすなのだが。
また、岩石の分析から22億年前、7億年前、6億年前に地球が完全に氷に覆われる全球凍結が有った痕跡が見つかっている。つまり真っ白な氷に覆われた地球の時代が少なくとも過去3回あった。
地球が出来た時代の大気は現在と比べるとCO2が多く(その推定値は0.1〜10気圧までまちまち)、それに加えて100倍以上の温室効果ガスであるメタンガスも多く存在した。
さて、現在の地球の地表面気温は平均15度である。CO2濃度は0.03%であるが、このCO2の温室効果は気温上昇に換算して33度と計算される。現在のCO2濃度がゼロになり、CO2による温室効果が無くなると地球表面は-18度になる。つまり、水は液体で居られなく氷になる。氷になれば太陽光を反射し、ますます冷える。何か別な要因で暖かくならなければ氷河期は永遠に続く。では、24億年前の全球凍結からいかに立ち直ったのか。また、7億年前の全球凍結からいかに立ち直ったのか。
一度で書ききれないのでつづく。