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税金の動く所に利権あり
新国立競技場をめぐる一連の情報は、沖縄の普天基地移設と同じような国策と地方自治の戦いと言っても良いだろう。ただ、前者は東京五輪2020に向けた行動で、沖縄の運動とは根本的に出発点が違うが。情報化社会を迎えて政策の透明性を担保するための情報伝達の手段は増えたが、そこは玉石混合で「耳障りな真実」よりも「心地よい偽情報」に陥る人は多い。 本来、是非の判断は情報がエビデンスとして公開され伝達されて人々の理解と判断を経て決まるのが筋であるが、いわゆるプロバガンダを目的にした情報が蔓延しているのも事実である。 ただ「判断」とは不思議なもので、共通認識として受け入れられる前に「他の人はどう考えるの」って感情が働く。その意味でマスコミ報道は個人をプロバガンダしやすい事に責任感や使命感を感じ、事実と評論を分けて貰いたい。実際の情報伝達ではコメンテータと称する輩が「解りやすく説明すると」と言いながら事実をねじ曲げてしまう例が多い。 飲みやすくオブラートに包んだり糖衣錠にしたために、すんなり受け入れらるのだが結局良く解っていないことが繰り返される。 池上彰氏の番組を見ていると複雑な国際問題を「解りやすく」説明しているように見えるが、実態は複雑な事を「ひとことで言えば」と置き換えて単純化するので「解りやすい」かもしれないが本質は理解できない。だから、番組が終わった後で、何が解ったのだろうかとメモに書き出してみると単なる時間の浪費だったことが解る。つまり、あれはテレビ番組であって知識を得る「学び」とは一線を画すものなのだ。 さて、新国立競技場を巡る問題点は一方の当事者である東京都(実際には東京都は事業主体では無い)の桝添都知事本人がネットで情報提供しているのでエビデンスの入手は容易だ。東京都が当事者な部分は「東京五輪2020のメイン会場として使えるのか」と「そのために500億円を出すのはおかしい」の2点である。 新国立競技場の名前のとおり、施設は国立で国が建設するものである。実際には日本スポーツ振興センター(JSC)である。このJSCへの監督責任が文科省にはあるが、東京都は発注者としての接点は無い。 そんな中で「外の人」である東京都に、当事者である文科省が500億円出せと言ったことから迷走が始まった。(ま、建築工法上の問題点とか、完成納期とか、完成までの費用とか、沢山迷走しているのだが、今回は500億円とその周辺に話題をとどめる)。 |