後付の熊本地震の予兆

不思議な地震が起きていた
 東日本大震災以来、ネットで収集できる地震情報(正確には有感地震情報)の速報値を集めて蓄積している。その情報はhttp://www2b.biglobe.ne.jp/~mint/eq/eastjapan/index.htmで公開している。実は東日本大震災も前日に予兆的な地震が起きていたのだが、この時の津波警戒警報が空振りだったことが翌日の避難が緩慢になった事に結びついた側面もあったと思う。
 地震予知なんて今の科学では出来ないってロバート・ゲラー東大教授の意見には賛成だが、いつもと違う兆候を知って備えるってのは必要だと思う。ゲラー教授の定義する「地震予知」は「1)何時、2)何処で、3)どんな規模で」を明確にすると定義されているが、さすが、そこまで現在の科学は地震予知できないと思う。しかし、何か何時もと違う兆候ってのは情報化社会なんだから捉えておくことができるはずだ。
 その意味で、有感地震の情報を集めておき、実際に起きた地震と緩いながらも相関関係を捕まえようてのが私が地震情報を集め始めたインセンティブだ。
 ナマズが暴れたとか、地震雲が出たとかの情報は事前予知として科学的かどうか問題があると思う。何故なら、何時もナマズを見ていて、普段と違う「暴れ」を観測したのなら解るが、たまたまナマズが暴れているのを見たのではエビデンスとして説得力無いだろう。
 地震雲も同じで、常に傍観天気予想を行ってる人が、たまたま普段と違う雲を見たのなら解るが、そんな経験もなく、たまたま空を見上げたら真っ直ぐな雲が見えたので「地震雲を見た!」なんて言われてもエビデンスにはならないと思う。
 その意味で、地震予知は科学とカルトの境目にあると先のロバート・ゲラー教授も考えているようだし、そもそも東海地震が地震予知されたら経済活動を制限するような発想は十分なエビデンスと国民合意が必要なのだが、なんで意味不明な研究に日本は税金を投じてきたのだろうか。経営の基本は「選択と集中」と言われている。日本の地震予知も既得権益で何十年も続ける意味があるのか。
 それを、今回の熊本地震で感じて居る。
 原子力ムラと同じ構造が「東海地震ムラ」なのではないだろうか。

不思議な地震を誰も気にしなかった

2015年の11月に今まで地震なんか起きていなかった九州南西の海底で地震が多発した。
海底地震のこともあり、陸地での震度は小さく、さほど着目されなかった。実際の地震情報は速報値で以下のとおりである。
日付時間場所マグニチュード
2015/11/1405:51薩摩半島西方沖7.0
2015/11/1406:17薩摩半島西方沖5.1
2015/11/1406:36薩摩半島西方沖4.3
2015/11/1410:12薩摩半島西方沖4.3
2015/11/1412:52薩摩半島西方沖4.6
2015/11/1414:26薩摩半島西方沖4.3
2015/11/1417:41薩摩半島西方沖4.6
2015/11/1504:20薩摩半島西方沖5.8
2015/11/1504:20薩摩半島西方沖5.8
2015/11/1505:34薩摩半島西方沖5
2015/11/1512:36薩摩半島西方沖4.3
2015/11/1616:31薩摩半島西方沖4.5
2015/11/1711:07薩摩半島西方沖4.1
2015/11/1813:39薩摩半島西方沖5.0
2015/11/1904:57薩摩半島西方沖4.2
2015/11/1923:42薩摩半島西方沖4.6
マグニチュードを見ると、必ずしも無視してよい程度では無く、当時「あれ?」って感覚はあったので、少しだが、気に留めておいた。


南海地震につながるのか
あれ、と思ったのは1月に入って、南海地震につながる地域の四国沖で同じく海底ではあるけれどマグニチュード5.4の地震が観察された事。
日付時間場所マグニチュード
2016/01/0511:21九州地方南東沖5.4

想定される南海地震の西端と言える場所で海底で地震が起きた。先の九州西方の地震が11月で今回が1月。正確には11月19日から1月5日だからその間、47日で、九州西方の地震による地殻の歪みが伝わったと考えることができる(もちろん、仮説である)。
 地殻は岩盤の感覚が一般的だが、それでも歪み(この場合は圧縮する縦波)が伝達するには時間を要すると思われる。押しくら饅頭で最初の人間が押されてから自分にその力が届くには時間差があると言った解り安い(逆に解りにくいか?)かもしれない。
 すると、先の九州西方の地震による歪は47日で九州地方南東沖まで届いたことになる。(以上は全て仮説であることに留意してもらいたい)
あれ、と思ったのが1月に入 「なるほどなぁ」と一人悦に入っていた。4月になって紀伊半島沖で割と強い地震が観測される。
日付時間場所マグニチュード
2016/04/0111:39三重県南東沖6.1

 87日掛かって南西地震の東端に歪は達したのだろうか。かなり距離があるが、一連の地震はプレート型と思われるので歪は南西地震の領域を過ぎ去ったんだな、やれやれ、と思っていた(繰り返しますが、全て仮説です)

歪の伝達は軟いと遅いのか?
そして、いわゆる「平成28年熊本地震」が起きる。先の九州西方の地震は海底の調査が出来ないので明確には言えないが、中央構造線の若干南方で起きている。ここから沖縄諸島を結ぶようにプレート活動に由来する地殻変動は伸びている。ある意味、沖縄諸島は地中に沈むプレートの軽い部分の地殻が地上(海上)に浮き上がって出来ている。
 もし、昨年の11月の九州西方の地震に端を発して一連の地震が起きたとすれば、熊本の地震は誤解を恐れずに表現すると「遅すぎる」。地殻の歪みの伝達は紀伊半島沖まで行っているのだから。
 そこで考えなければならないのが地殻の構造だろう。火山性の花崗岩中心の地殻とより深度の深い玄武岩中心の地殻では硬さが違う。別なページだが、深深度地震の情報を集めている。http://www2b.biglobe.ne.jp/~mint/eq/dindex.htm遠隔地で起きた地震が遠くの地域に揺れを起こす現象だ。これは地震波が硬い岩盤を伝って地表に届くって現象で説明できる。
 一般的な地震による災害予知には「距離減衰法」って計算式が使われる。何故なら、早く計算できるからで、実際に地殻構造を考慮すると計算が終わるのは地震発生後3日目なんてのが現状だ。だから、市町村の地震対策には想定震源地からの距離で被害を計算する。阪神大震災以降に国の予算で政令指定都市では地殻構造調査まで行っているが、その結果はコッソリと公表されている。ちなみに、札幌市のはここにある。正直言って札幌市の北東に住むのは考え物だ。そもそも、鬼門って北東方向なんだなぁ(ここも個人の感想です)
 さて、謎の九州西方沖の地震からの仮説の乱立をしていますが、過去に連動地震と言えるかどうか解りませんが「安芸」でも一連と思える地震が過去にありました。そして、中央構造線上には淡路島、阪神そして大阪があります。
 ゲラー教授と同じように私は地震予知には否定的です。だから、日本国中誰でもド素人なんで、ま、私の意見もありかなと自己満足しています。
 申し訳ない発言になりますが、今回の一連の地震が系統立つかもしれないのは安芸で地震が起きた時です。私の計算では今後60日前後。つまり、6月頃には結果が解るでしょう。
 外れることを願いますが、備えはしておいてください。
以上、個人の意見であることを承知おきください。

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2016/04/23
Mint