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地震の被害は想定不可能
今回の熊本地震で亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに被災された多くの方へお見舞い申し上げます。直接支援の手を差し伸べられませんが、今回の地震の様子を情報でお伝えしたいと思います。本記事に利用した図表は国土交通省・国土地理院の「最近の地殻変動情報」http://mekira.gsi.go.jp/project/f3/ja/index.htmlより引用・加工させていただいています。 前回の(1)では2度の大きな予震と本震の後1週間後の地表面の様子を分析したが、結論として予震と本震では今まで固着していたアスペリティが切れた事、その後続く余震では本格的に地面(前回の表現では豆腐部分)が動いている。 海洋でのプレート型地震でも本震の後にプレートと地殻の境目以外にも地殻内で割目(断層)が発達し境目以外にも地殻内断層による余震が発生しているのかもしれないが海底にGPS観測網が無いので震度計での観測で推測するしか無い。それでも海底面の移動は解らない。また、本震の震源地は陸地から遠く、地震波が減衰して観測網で把握されないかもしれない。 今回の熊本地震は陸上の直下で発生し、その余震も含めた震源地も浅く、またGPS観測網が整備されているので初めて地殻変動と断層と地震のデータが集められる地震かもしれない。たぶん、世界で初めてこのような事象の観測ができる例になるだろう。 震源の浅さは地震のMJ(マグニチュード)と実際の震度に現れている。通常MJ2.0程度では震度は1以下だが、今回の熊本地震の地震速報を見ても震度2もしくは3の場合もある。 地震による被害推定方法は各種あるが、古来からの方法は震源地を想定し、そこからの距離で震度を推測する「距離減衰法」であった。最近はコンピュータの発達と共に各地までの地層の変化を加味して推定深度が計算する方法がある。5年ほど前の状況だが苫小牧沖でMJ7.0の地震が起きたと想定して札幌市を500mメッシュで切ってそれぞれのセルの震度を計算すると高速なパソコンでも3日程かかる。しかも実地検証は過去のMJの少ない地震と比較するので精度は「距離減衰法」に勝るとは言いがたい。また、地面の深い所と地表との地震波の反射往復は実際に揺れの継続として東京の関東ローム層の上下で起きているのだが、ここまで計算し、実証するのは実際の地震の規模が小さく、研究の粋を出ていない。 さて、話を熊本地震の地震後2週間後に戻そう。 |