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住民が減って農産品が増える
このテーマは公にしたくない組織が多いと思うのだけれど、北海道の鉄路の用途は貨物輸送が原点で、旅客輸送は付けたしみたいなものだった。JR北海道が民営化されたときに廃止された路線の「深名線」は、朱鞠内湖にダムを作って電力を確保しようって戦時中の計画によって作られた貨物輸送の鉄路だ。だから、旅客なんて視点は皆無だった。その物資の輸送を目的とした本州と北海道の物流に欠くことが出来ないのが陸路流通、つまり青函トンネルだ。洞爺丸台風による犠牲者を悼んで、陸路で本州と北海道を結ぼうってのが青函トンネルの着工の意味だと書く関連資料が多いが、基本的には昭和30年初頭の物資輸送の王者である鉄道の発想から始まっている。 そもそも、青函トンネルは「鉄路」の発想しかない。世界的に見ればフランスとイギリスを結ぶユーロトンネルは車も通過可能なトンネルなのだが、そもそも青函トンネルは昔の鉄建公団が作ったので鉄路以外はご法度になっている。 時代と経済背景が変化して今は青函トンネルは農産品の輸送の要にシフトしてきた。特に青函トンネルが開通した1988年にJR貨物を中心にした物資輸送の地図が塗り替えられた。 長距離トラックを利用する北海道-本州間のフェリ輸送がJR貨物にシフトした。当時のJR北海道の関係者は自社の経営を省みずに「ウハウハのJR貨物」と話してくれた。とにかく青函トンネルはJR貨物のドル箱路線になったのだ。しかし、その現状をマスコミは伝えなかった。 青函トンネルによって陸路で北海道と本州が結ばれるってことの効果はJR貨物の経営にとって悲願だったのだ。だから、未だに青函トンネルの通過本数でJR貨物が本数的に(詳細後述)が多い編成で現れている。 そもそも、青函トンネルをどのように生かすかのテーマを考えると、これって、人を運ぶトンネルじゃないだろう。物資を運ぶトンネルなんだが、その観点がマスコミ報道からは伝わらない。 私は「新幹線の高速運転にJR貨物は邪魔」なんて意見に接して「馬鹿じゃないの」と思っている。 鉄道の優位性は「高速大量輸送」なんだが、それを実現するのは貨物輸送だ、だれもそこに焦点を当てない。 ネット社会で「出張」でコミュニケーション(情報交換)する機会は激減している。ま、「一回飲んでおこう」て企業のコミュニケーション費用もそのうち削減されるだろう。 そもそもJR貨物が青函トンネルの旅客輸送に対してどれくらいかのかを数値的にエビデンスを把握すべきだろう。 まずは通過する列車本数の話をしよう。 |