南北朝鮮の外交は国際社会に認知されるか

韓国の大統領は極右なんだなぁ
 南北朝鮮の首脳会談の演出を見ると、どう見ても朝鮮半島が核保有国を目指している感じがする。つまり、北朝鮮との統一国家の外交は「核保有による国際社会の一員」ってのを目指している。
 それ自体「国益を最大限にするのが外交」って基本には沿っていると思う。
 ただ、国際社会は20世紀的な発想を受け入れないだろう。核を保有すると1級の国家ってことで競争していた時代は過去の価値観になっている。冷戦の時代に軍事力のカードが外交の前面に出ていた時代だ。今の時代は経済が前面に出る外交の時代だろう。
 その意味で、北朝鮮は朝鮮戦争時代の古い価値観で国力を増強してきたのだが、経済制裁って新しい時代の外交に対して政策の方向転換を余儀なくされたのが現状だろう。
 外交の方向転換ってのは周辺国の「国益」を大きく左右する。その一番の国は韓国なのは当然だろう。北朝鮮の外交の主軸が変化しているのを受けて、どう対応するのかが問われているのが今の韓国政府だ。だが、実態には国際社会の一員って自意識が無いように見える。
 核を持つ国が外交カードとして核を利用できるってことを証明したのが今回の南北会談における韓国の対応だろう。
 核を持つ国を自国に取り込むてのが韓国の外交なのだと世界にアピールしたのだから、これからの対応は難しくなるだろう。
 韓国国内では「融和策」と見えているかもしれないが、文大統領の発想は韓国国民の感覚とは別な所にある。ま、それは韓国の定例行事である「大統領を辞めたらタイホォ!」で証明されてるのだが。
 朝鮮戦争が休戦状態の国(韓国と北朝鮮)のトップにとって、取り合えずは休戦状態の解除だろう。そのためには外交カード(すら持てない現状なのだが)を切るために、とりあえす「南北統一」を表明するのが段取りだろう。
 基本は「休戦」状態の解消なのだが、そもそも歴史を振り返ると仕掛けたのは北朝鮮、ほとんど成功した侵略が国連軍って名前のアメリカによって押し戻された。アメリカと戦うためにソ連(当時)から装備を得て、中国から「義勇軍」を得て国家の消滅を38度線まで戻したのが歴史の経緯だ。
 日本の右と韓国の右は真逆的に違う。
 韓国の右は思想でも何でもなくて「民族団結権」なのだ。その先端に居るのが文大統領なんだなぁ。

騙しやすい順番から攻める外交
 中国とのトップ会談は中国に利益が有るから中国が応じた経緯があるだろう。基本的にジャイアンをおさえるのはスネ夫の仕事なんだが、まさに、中国は金正恩氏の訪中を受け入れたのはスネ夫の論理だろう。
 中国自体は世界のGNPで2位の経済社会で世界経済を左右するほどの規模なんだが、先に書いたように「外交は経済」って時代に中国はその経済力を国際社会で生かすことが出来ていない。民主主義国家が世界の標準なのだが、国連でも唯一「共産党独裁国家」なのが中国だ。加えて人権の尊重って国際社会の常識にもチベット等で反した行動をしている。
 北朝鮮の統治機構では一番似てるのが中国だ。とりあえず中国を説得して反応を確かめるって戦略が始まったのだろう。その結果を受けて「行ける」と判断したの今回の朝鮮半島の南北会談なのだが、当然、ハードルは徐々に高くなる。
 取り合えず「南北会談」はハードルを越えたように見えるが、実は難問山積で北朝鮮に戻った金正恩氏ってのが現実だろう。
 世界の一流国家たるためには「人権」の尊重が重要な国策だ。
 核を持つことなんかは、それがアメリカの友達ならアメリカは認めてきた。過去の核保有国は、といあえずアメリカには楯突くことはしなかった。唯一、北朝鮮が朝鮮戦争のトラウマから「国連軍=アメリカ」を警戒しているのだが、そもそも祖父や親父の政策が正しかったのかぁと見直すと、なんとなく金正恩の行動は解るのだけれど、国家を指導する責務を自覚してるのなら、外交じゃなくて自国民に表明するべきだろうなぁ。
 対外的に二重舌なのは国家の常だけれど、そもそも、何をしたいのかすら解らない外交は解釈が難しいんだなぁ。

最後は騙されるアメリカ
 ま、グルメ番組と似ているのだけれど、最後は「権威」と言われる方のお墨付きが「美味い」ってことになる。で、出かけて行って食うと何だぁとなるくらいの味だ。
 今回の南北会談は米朝会談に向けた段取りで、そもそも中朝会談から仕組まれたシナリオによる予定調和だ。そのために韓国のマスコミを利用して世界に予定調和を発信するのが文大統領の方針だった。だから、躊躇なく北朝鮮領土に足を運んだ。これはサプライズでは無くて予定調和なんだが、マスコミはサプライズと伝える。
 一国の大統領が国境線を超える重大な事象はハプニングでは済まされない。越えた瞬間に銃殺されたのは数か月前の事象なのだから。
 中国が付けた知恵を入念に理解した金正恩氏が韓国と作った「演劇」が今回の南北会談だろう。それを北の国際性発揮なんて手のひらを返したような報道を韓国のマスコミは流している。一方で日本のマスコミは基本的に懐疑的な報道を行っている。
 問題は気まぐれトランプがドタキャンせずに金正恩氏と会談を持った時に「いい奴じゃないかぁ」と言った時だ。日本の立場は丸つぶれになる。
 そもそも、国家権力を使って兄を毒殺し、周辺人材を粛清の名のもとに殺害し、他国の人間を拉致した国家の代表が金正恩氏である。父や祖父の行ったことを否定し、謝罪する気持ちが個人的にあったとしても、今の北朝鮮の最高指導者としてそれを認めるのは国策に反する。
 その意味では過去の事件は「無かったこと」にして「未来志向なんだ」と言うしか無いだろう。でも、それを国際社会は許すだろうか。
 過去の清算無くして北朝鮮の国際社会へのデビューは無いのだ。
ただ、唯一のオールマイティなカードがある。それが、アメリカのトランプ大統領のエスコートによる国際社会へのデビューだ。
 世界を騙すグルメ評論家としてのアメリカのトランプ大統領の使い勝手は大きい。
 所詮、現在の北朝鮮は「基地外に刃物」である状況は変わりない。それを、忘れてはいけないぞ>トランプ大統領

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2018/04/28
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