曇って何故空に浮いてるの?

昔は「雲は水蒸気」と習った
 もう中学校を卒業して半世紀もたつので、今の教育は知らないけど、当時は「雲は水蒸気」と理科の教科書に記載されていた。一方で同じ理科の教科書に「水蒸気は無色透明」っ記述もあって、なんで雲が白く見えるんだぁ?って疑問は社会人になっても残っていた。(その前に調べろようなぁの声はあるだろうけど)
 最近でも思慮が無い報道では「海面から昇った水蒸気が台風になるんですよね」とか言っていて、それが常識になっているようだ。
 非常に簡単な理科の仕組みなんだが、それを理解する教育を受けているのにも関わらず、世間では誤解が大手を振って闊歩し、池上彰氏とともに常識を絨毯爆撃して粉砕してる(笑い)。
 最初は「台風って何?」を書きたかったのだが、気象現象の説明には「雲」についての考察が必須なので、そこから始める事にする。もっとも、目に見える「雲」と目に見えない「気圧」とが気象の理解には必要なのだが、最近はその情報がネットで簡単に入手できるので、その情報に接するための予備知識として書いておくのが良いかなと思っている。
 雲が出来る仕組みは「大気中の水蒸気が水になるため」と簡単に言えるのだが、この「水」が即、雨だと勘違いしてはいけない。基本的に義務教育では「分子」って構造を学習するのだが、水も酸素と水素の原子が結合した分子だ。H2Oなんて書くのは水素の原子が2個と酸素の原子が1個で構成されてる分子が水ってことだ。
 ここで大切な知識
 物には原子と分子があって、原子は良く解らない「周期律表」に書かれている。分子はこの「周期律表」には掲載されてない。世の中に多く存在する物のほとんでは分子で構成されているのだが、あまりにも多岐に渡るので、これを表にするのは不可能だ、加えて「高分子」って重合体もあるので多くのマスコミ報道では詳細は放棄状態になる。
 で、まず水蒸気だが、これは酸素と水素の結合した分子だが、地球上では安定的に「水」って形態で存在する。天文学の土俵では水が液体として存在する星(惑星)は珍しいのかもしれないと語られるが、実際我々は水を液体と認識する惑星に生きている。つまり、水は液体って理解が常識なのだ。
 しかし、中学校の理科でも習う(はず)の事に、物質は「気体、液体、個体」と圧力や温度の違いによって形態を変えるってとこまでは教えている。

潜熱って考え方が大切
 物質は「個体、液体、気体」と形態を変えるってのは「水」で体験して解るのだが、実際は雪が降らない(個体の水が経験できない)地域もあるので、蝋燭(ローソク)で理解するのが体験的に解りやすいだろう。
 ローソクに火を着ける、正確にはローソクから伸びている「芯」に火を着けるのだが、この瞬間に「芯」は燃え始める(最初は芯が燃える)。
 この「燃える」現象は個体のローソク(蝋)が芯の燃焼熱によって融ける(個体から液体へ変化)して、その液体化したローソク(蝋)が芯に吸い込まれて高温で気体化して燃えるってのがローソクの原理だ(原理であって、様々な付帯研究があるが、ここでは単純化しておく)
 その物質が形態を変化させる時に、エネルギーを伴っている。
 良く知られているのが水が氷になるために放出しなければならないエネルギーが1g当たり80calって事だろう。逆に言えば氷を持ってくると周辺のエネルギー(大気が含んでいる温度で換算されるエネルギー)を吸収しながら溶けるので涼しく感じる。
 この水から氷(つまり、液体から個体への遷移)には自ら(「水から」と同じ音ですが)が持つエネルギー(これを通常のエネルギと勘違いしなように、内部の分子が運動してるエネルギーと言うのが妥当だろう)形態を個体から液体、液体から気体に変える時に必要なエネルギーを広く「潜熱」と呼ぶ。
 雲の話をしているので、まず水の「潜熱」を調べておこう。南方の海水が温められて放出する水蒸気だが、これは「気体の水」。これが「液体の水」に戻るには水1gに換算して540cal(カロリー)のエネルギーを周囲に捨てる必要がある。同じく、液体になった水を個体の氷にするには1g当たり80calを周囲い捨てる必要がある。
 そこで「あれ?cal(カロリー)って1gの水の温度を1℃上げる単位を1cal(カロリー)って定義されてるんじゃなのって感じた人はかなりの「理系頭」だ。同じ1℃の差でも気体から液体、液体から個体に変化するには0℃〜100℃の状態と違ったc(カロリー)が必要になる。それが「潜熱」と呼ばれる現象だ。
 さて、雲が出来る仕組みとその間に発生するcal(カロリー)、つまり熱の放出や吸収に的を絞ってみよう。

雲は水で出来ている
 最初に書いたけど「雲は水蒸気」って表現は微妙に当たっている。正確には雲は水蒸気から発生した水や氷ってのが正しい。では、何故空に浮いているのだろう。水になったら雨になって降ってきてもよさそうなのに空に浮いている。このあたりを「謎だ」と感じる人は「理系頭」かもしれない。
 実は我々が経験する水道の蛇口から流れてくる水だけが水の形態では無い。霧吹きを使って飛び出す水も水で水は先に書いた「分子」で、その分子がガッチリ集まったのが蛇口から出て来る水だ。ガッチリ集まってないのが霧吹きから出て来る霧(みたいな)状態だ。
 空ではもっとダイナミックな事が起きている。
 海水が温められて発生した水蒸気(先の「潜熱」の話の逆で多くのエネルギーを得て「気体」の水蒸気になる)は水の分子の気体の状態だ。これが、暖かいので周りの空気よりも比重が軽くなり大気の中を上昇する。いわゆる上昇気流になる。水蒸気を含んだ上昇気流なので透明で目には見えない。ところが大気の上空は温度が低いので水蒸気は先に書いた潜熱を奪われて水の分子になる(戻る)。水蒸気はまず水の「分子」に変化する所から始まる。その大きさは1個の分子なので数ミクロン(1mの1000分の1程度の大きさ)の水になる。
 我々が霧吹きで経験する霧には比べ物にならない程に小さい。この時に水蒸気から水に変化する潜熱を放出するのだが、これが1g当たり540cal(カロリー)になる。つまり、水蒸気は小さな水の分子になるのだが、この時に周りに熱を放出する。この話は次回の「台風って何?」で書くのでここでは省略する。
 ここで上昇気流の中で出来た水は極端に小さい水の分子の集まりだと理解しておこう。この小さい水の分子が空中を漂う時に、空気との抵抗で無風でも1時間に10cm程度しか落下しない(1気圧の場合)。もちろん上昇気流はその速度の何十倍もあり、しかも潜熱発散で更に温度が上がって体積が増えて比重が減るので、どんどん上昇していく。そして周りはどんどん寒くなる。やがて他の数個の分子と結合して太陽の光を反射するので雲は水と水蒸気の混ざったものなのだが我々が見上げると白い(光線によっては黒い場合もある)雲に見えるのだ。
 非常に細かい水が雲の正体で、小さな水滴なので大気中をさまよう状態になる。これが雨の水滴のように成長するには他の要因が必要で、取り合えずは空に浮かぶ霧よりも細かい水滴)が雲と思っていても良いだろう。
 では、その水の作用で台風が起きたり大雨が降ったりするのは何故か?
 それには「潜熱」って作用が関係するのだが、それは次回に説明する。まず、雲とは何かと水には「個体、液体、気体」の状況があって、これが地球の大気の中で目に見える特異現象(他の惑星と比べて)なのだってあたりを理解しておこう。

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2018/09/30
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