米中貿易戦争はもはや終戦処理

中国の経済的な台頭は資本本位経済の脅威
 日本の戦後教育と言うか戦後マスコミの論調に「資本主義と共産主義の対立」って用語がある。これは完全に間違いな用語用法なのだがマスコミが使うので常套句になってしまった。
 実は資本主義にはイデオロギーでは無いが共産主義にはイデオロギーである。つまり両者の用語には政治的背景は無くて、前者は「経済の仕組み」で後者は政治制度つまり「統治制度」の仕組みなのだ。ま、異業種格闘技みたいな用語用法を日本は戦後70年も見直すこともなく使っていた訳だ。そのために世界の流れを理解する能力が失われたのが現状だろう。
 中国が「一国二制度」って言った瞬間に気が付くべきだったろう。中国の「一国二制度」ってのは政治と経済は土俵が違うので成り立つ論理で、それはまさに共産主義と資本本位制度の両立を指す。つまり、土俵が違うので両立可能な領域なのだ。
 言い方を替えてみよう。
 「共産主義」と「民主主義」は両立するだろうか。共に国家の統治制度で、比べるのはおかしいって意見も有ると思うが、ま、ロシアでは表面的に実現していたので共存できる概念との意見もあるだろう。
 実は、用語の表記問題ではなくて、国家の「統治機構」の問題が基本にあるのだ。
 中国は統治機構としては共産党一党独裁を選んだ(住民の意思では無いので「選んだ」は的確では無いが)。そこに広大な面積と人口を統治するには必然性があるとの解釈もあるだろう(後で議論するけど)。加えて経済発展を無視した旧ソ連のような「計画経済制度」は破綻する(本当は、共産主義は破綻するって学んで欲しかったのだが)って学んでいたので、経済は「資本本位主義」を選択した。
 実際には、その選択も破綻してるのだが、現行の政治制度の元では「前の奴が間違った」とは言えないので、資本本位経済を是認するしか無い。
 本来、共産主義的な統治機構では資本本位経済の実現は矛盾した構図なのだが、その矛盾が今になって明らかになってきてる。

資本本位経済の根幹は「知財」
 産業革命から経済は生産と思われてるが、それは過去の資本論。現実には社会は変化していて日本がかつて行っていた生産が市場を席巻するって時代は終わりを告げ、生産の基本を押さえるのが経済活動に変化している。
 実は日本も漫然と見ていた訳ではなくて、製品の生産が組み立ての結果だと理解したので部品製造にシフトしているのかここ数10年の動きだ。日本製品が世界に打って出てないと皮相的に捉える「演繹的な発想の文系」がマスコミに潜んでいるので日本の生産力が落ちているみたいに書くが、実は最終製品を作ら目に必要な部品工業が日本の工業製品の主役になって久しいのだ。
 笑い話として聞いて欲しいのだけれど、数年前にタイで大洪水が起きて、工場が水没した。その水没した工場にアクアラングを背負った不思議な集団が出没した。実は日本の金型を盗んでいたのだ。自分たちで作るには国際著作権の問題があるが、結局製造業ってのは金型を持っていれば製造可能ってことだ。例えば「ピカチュー」のキャラクター商品を中国に委託する。初期の段階では「ピカチュー」が何かは知らない中国の製造メーカだが、とりあえる金型を集めておきたいので「破損した」って追加の金型を送らせる。これまた、日本の企業は甘いので、生産が滞ってはと金型を送る。やがて「どうも、ピカチューって売れる商品らしいぞ」って気が付いて中国の企業は委託された製造以外に独自製造を開始する。
 このような「生産」普通な生産活動って理解が中国の感覚だ。
 「物つくり」は生産設備を持った者の行為ってことだ。
 最近では評価が低いがエジソンが「発明の父」と呼ばれていたのは今から120年も前に著作権って考え方に乗ってビジネスモデルを構築したことにはあまり触れられていない。エジソンの功績は「知財」って概念を利用したから存在した。
 それ以前に例えば石炭を暖房に使うってストーブを発明したジェファーソン、かれは雷が電気であるってことも証明して見せたけど一銭の金にもならなかった。
 エジソンは電気って世界で様々な特許を申請し、使用料を得た最初の「知財の男」だろう。
 その流れが100年続いたのに対して中国は知財の概念が無いのが今回の米中貿易戦争の基本にある。

知財保護は無理筋なのかも
 街で買った便利な商品、これを少し改造するともっと廉価で作れる。それを阻止するのが知財に代表される著作権だ。著作権法で一番稼いだのは「エジソン」と言われているがが、彼の時代には発想は自由、実現も自由な時代だった。だから「直流送電」なんて技術の特許も取得してる。
 今の時代は特許は公開されるので企業は広く知財を捉えている。ある意味で公開されないために特許を取得しないって方針もある。
 以下は都市伝説で各大学院で語られている話だが、真実に近いと思われる話だ。
-----------以下都市伝説----------
 10年も前なので実利関係は消滅してると思うが。
 ある企業が薄型テレビに「裏技」を仕込んだ。ま、パナソニックと言われている。それは「店頭標示モード」って複数のボタンを同時に押すと現れる画像表示モードで、本来、そのような表示は可能なのだが標示ディスプレーの寿命が短くなるので家電としては禁じ手な手法。これをパナソニックは「展示品用に」に特別に設定した。
 ま、ここまでは企業活動として許されるかどうかの話なんだけど、その研究開発に携わった人間が年末の同窓会の大学院の同窓会の飲み会で話してしまった。これを聞いたゼミの教授が「不当競争」と学会で書いてしまった。結果、パナソニックの薄型テレビの売り上げは下降線をたどる。
 この元学生は知財部局に呼ばれて「君の発言が当社に及ぼした経済的ダメージは24億円なんだなぁ」と言われた。
----------以上、都市伝説----------
 つまり、内情を公開しないって機能も知財保護にはある。
 「便利だから作ってみた」ってのは通用しない国際慣行に中国が規制を行わないのが今回の米中貿易戦争だ。で、多くの先進国は同調するだろう。何故なら「知識」は財産って感覚が生きているから。
 残念な事に中国にはそれが無いので、GDPが世界第二位になっても、本来の独創的生産性(つまり、知財だが)を得られる国家にはなってない。何故なら、「政治が共産主義なんで会社経営できへん!」と昔の阪神タイガースの江本投手が嘆いた事と同じで、1国2制度には限界があるのだから。
 知財を認めない国の工業は何時か破綻するだろうなぁ。

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2018/11/27
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