北へ.........音威子府村

コース概要
 例年は9月はシーズンじゃないのだけれど、今年は遠隔地出動が増えてきたので、自転車での走行時間は多くとれない。往復中に日が暮れてもそれは車の中でのこと。自転車での走行時間が3時間から5時間なら9月になっても十分明るい時間は確保できる。
 先週、名寄市から美深(びふか)町を北上したので、この先へ自転車を進めることにする。
 先週美深町の道の駅にデポ地点を確保した。ここの少し名寄よりの手前に誰も使わない駐車スペースがある。15台くらい駐車可能だろうか、道の駅が出来る前に出来たのかも知れない。ここを出発点にするとして、やはりピストンルートしか無い。片道20km程だろうか。
 未踏破の中川町を考えると、次回の中川町訪問に向けてデポ地点を確保するのも必要になる。音威子府村訪問+中川町への足場確保、これが今回の目的になる。

輪行概要
 札幌を出発するのを5時とする。これより早いと帰りの道中で眠くなるし、遅いと現地到着が遅れ、走行時間がより短くなってしまう。9月も中旬を過ぎると5時ではまだ暗い。札幌市内を抜ける間はヘッドライト点灯となる。しかも、今日はガソリンがほとんでゼロ。
今日の行程では片道300km。往復600kmは無給油で走破可能なのだが(ちなみに、車は軽自動車なので、この距離を25リットル程度で走破できる)、速度によってはギリギリの給油が必要かもしれない。
 最近24時間営業のガソリンスタンドが有るのだけれど、地方に行けば行くほど希少価値。札幌で僕が知っているのは北一条の旧市民病院の近くのスタンド。ここで給油する。
 先週と同じく国道275号線を幌加内に向かう。途中、幌加内峠の全面追い越し禁止(例の黄色いセンターライン)場所で、前のトラックが左に寄って道を譲ったので追い越ししようとしたのだけれど、前の2台が追い越した時に道幅が狭くなりこちらは追い越しできなかった。と、地場で見張りが居るのですね、先の2台は「はみ出し禁止」で警察官に止められている。こちらは、止めた車が邪魔になるので警察官の誘導で先を急ぐ。途中、前のトラックが左ウインカーを上げて減速した時に追い越させてもらう。あー、もうけもの(笑い)。
 先週よりさらに国道275号線を先に進み、美深町で国道40号線に合流して北に向かい、森林公園前の駐車場に車をとめる。

いざ出発
 森林公園の手前の駐車スペースに車を駐める。時間は10時少し前。ここで自転車を組み立て出発。気温が低いので半袖のTシャツでは寒い。走っていても寒いのならウインドブレーカーを着るが、とりあえずこのままペダルを踏む。今日は、20km程先の音威子府村が目的だが、その先中川町へのデポ地点もねらっておく。
 とすると、片道40km程の往復になる。だったら、明日のシドニー・オリンピックの女子マラソンを考えて、自転車で42.195kmを走ったらどれくらい時間がかかるのか試したくなった。無休憩でとりあえず42.195kmを自転車で走ってみる。そのためには、音威子府村を抜けて中川町へのデポ地点(が、何処になるか解らないが)に向けて一気に走ることになる。
 天塩川に添って、本当に平坦な道が進む。たまに現れる丘も高さ20m程で前もって下りでスピードを出しておいて一気に越える。
 音威子府村を通過、帰りの道で訪問することにして、先へ進む。おっと、国道40号線と国道275号線の交差点と言うのに信号機が無い。国道同士の交差点で信号機が無いのははじめてみる。それくらい交通量が少ないのかなぁ。
 予定していたようにサイクル・メータはこの交差点近くで20kmを越えたがこれから先、中川町を目指してグングン進む。本当は中川町にまで行きたいのだが、今日はシドニー・オリンピックでのサッカーの決勝リーグがある。放送が始まるのは18時。この時間に自宅に戻るためには、車のデポ地点を14時には出発しなければならない。そのためには、中川町までは少し距離がある。手前で次回の車のデポ地点を見つけ折り返すことにする。
 途中、「北海道命名の地入り口」って看板がある。これって何だろう。右折して調べてみたいのだが、取りあえず復路の課題にしてさらに先に進む。天塩川に添って方向は西に向かって進む。JRの線路が河の向こうに見える。こっちの陸路は時々アクセントのようなアップダウンを繰り返しながら中川町に向かう。
 それにしても交通量が少ないなぁ。途中の駐車ポイント見つけても、ここに熊が出て車壊されないだろうか、なんてことを考えてしまう。それくらい、交通量は少ない。そろそろ戻らないとシドニー・オリンピックの日本サッカーに間に合わないぞ、ってあたりにトンネルがあった。「富和トンネル」。実はトンネルは最近通過していないので装備の再確認が必要。テールライトの電池が切れているみたいで灯かない。これを口実に折り返す。メーターは38km程。折り返しの途中で42.195km。ここでのタイムは1時間44分。

音威子府(おといねっぷ)村
 さっき通過した「音威子府村」戻る。「おさしま」の橋が見えてきて先ほどの「北海道命名の地入り口」を通り過ぎてしまったことに気がつく。ま、次回、中川町に来るときに再度調べてみよう(注:次週、地獄を見る事になる。「中川町」を参照のこと)。
 音威子府には道の駅がある。ここでスタンプを押して観察。昔ここを通った時に、たしか潰れたドライブインが有った場所だ。それにしても「道の駅」は最低限駐車場とトイレなのだが、僕が見た中で最悪のトイレだ。臭いし虫が飛び交っている。とても利用する気持ちにはならない。道南の大成町の「てっくいランド大成」に勝ったな。最低の道の駅に指定しておこう(笑い)。
 村の規模なので市街地そのものは小さい。ただ、JRの駅があるのでそれなりの「駅前商店街」がある。駅は重要な観光案内施設である。道の駅がひどいので駅で小休止する。切符売り場で記念入場券を発見。「鉄ちゃん」の血が騒ぐ。なんせ、先週「日本一の赤字線」で名を売った美深(びふか)町の駅で記念入場券も無いのに頭に来た(あ、最近の用語用法では「キレタ」かな)ので、ここで記念入場券とは言え硬券に巡り会うのは嬉しい。しかも音威子府駅と中川駅(天塩中川)の2種類を売っている。
「硬券の入場券ください」と駅員に言うと、このシト「硬券」の意味が解らないらしい。「どれですか?」とわざわざ販売窓口を離れ掲示してある券を見に来る。「あ、これですね」また販売窓口に戻る。引き出しを開けて、おぉぉ、硬券を昔のスロットに入れて引き出しに入れている。ここから中川駅と音威子府駅を取りだし輪転で日付を打ってくれる。感激ぃ。しかも、函館大沼駅のように『平成は1桁しか出ない』輪転ではなくてしっかり「12」と印刷されている。感激の320円(入場券は1枚160円)ゲット!。
 さっきから気になっていたのは蕎麦を食べる人が待合い所に居ること。ふと右を見るといわゆる「駅の立ち喰い蕎麦」の店がある。たしか北海道の駅蕎麦で最高位が音威子府駅って噂を聞いたことがある。天北線が廃止になる時に「あの駅蕎麦が喰えなくなる」と勘違いして音威子府を訪れた人の話しをなんかで読んだ記憶がある。
 早速、職人肌の蕎麦屋の親父(このあとまた登場する)に「月見1杯」。出てきた蕎麦はいわゆる「きそば」では無くて、蕎麦の実を全部使った通称「田舎蕎麦」。月見の卵は「海亀の卵かぃぃ!」と言いたくなる程小さい(笑い)。たれは関西人は見ただけで食べられない真っ黒。
うーん。これが評判の蕎麦? なんか記憶違いしてたかなぁって思いながらタレをすする。昔、新橋かどこかの東京の駅蕎麦で、最初にタレをすすったら「お客さん、取材かなんか」って声をかけれらたことがある(あ、名古屋駅だったかなぁ)。「何で?」って聞いたら「荷物は出張の3泊くらいかな。ここのビジネスマンでは無い。腹が空いているなら蕎麦を最初に喰う。でも、最初にタレの味を確認したよね。そういう人には店を紹介してくれるのかと思って声をかけてるんだ」って返事。いやいや僕のグルメ志向は「何を食べるか」では無くて「誰と食べるか」なんですよ。イワシの缶詰であっても分けあって食べる相手次第ではキャビヤよりうまい。
 で、蕎麦の油分を含んだ田舎蕎麦に良く合う濃いタレ、そして新鮮なネギとのハーモニィ。この所、網走駅の駅蕎麦で萎えた「駅蕎麦評論家(おいおい、何時、なったんだい)」の心が揺れる。これはうまい。タレまで含めて全ての面で駅蕎麦の範囲を越えている。もちろん「月見380円」で値段的に既に越えているのだけれど。
なんて蕎麦をたぐっている間に名物「トロッコ号」なんかが駅に入ってくる。駅蕎麦の親父は街の土建屋の親父みたいなシトと「親父サミット(笑い)」を始める。耳ダンボでその話しを聞く。
 どうも、村の政治に不満のようだ。「物作るのが役場の仕事で無いべ、雇用作らないのなら何やっても俺は反対だ!」(駅蕎麦の親父(僕としては、見た目70歳くらいの、この親父が後身に道を譲らないから雇用が無いような気もするのだけれど。まま、いいわ、その話しは))
 「今度下水道作るから、雇用は有るけど、地元の業者は孫受けだぁ」
(え! 下水道。食べた蕎麦が喉につかえた。北海道で町でも下水道事業はなかなか進まないのに、ここ音威子府村では下水道工事が始まってるのぉ。あの「道の駅」のトイレでぇ)
 で、この親父サミットの終わりを計ったようにして「お持ち帰り」の生蕎麦330円をゲット。家でもう一度味わおう。そして、音威子府村ってのは、どんな村なのか興味シンシン。
 途中経過を書くと、この音威子府レポートはピッチに打ち込みながら村の市街地を回った。レポートをピッチに打ち込んで、いざ通話圏内まで戻った時に「電池切れ」。で、馬鹿なサンヨー電気のピッチは未送信をバックアップしないソフトウェアなので全部未送信が消えた。よって、ここからは記憶で書いてる。
 まず、児童センター、これって託児所と幼稚園を兼ねている。小学校中学校、そして高校、ま、村に高校があっても良いと思うが、この高校には付属の寮がある。おきまりの山村都市交流センター(材木置き場になっていたなぁ)、高齢者生活支援センター。なんやかんやで「センター」と名が付く施設があちこちにある。なんか息が詰まりそうだなぁ。こんなんで良いのだろうか。これだけ「センター」が有ると、若い人は息苦しくて村を出たいと思うのじゃないかな。少なくとも若者を引きつける施設はコンビニのセイコーマートくらいか(笑い)。
 10分程で市街地を見て、最後に役場の前でお決まりの記念撮影。そろそろ車のデポ地点に戻る。役場を出るとすぐに男女ペアーのサイクリストに追いつく。「コンニチハ」返事が無い。おっと外国人かぁ。
「フェア カムフロム」、「ジャーマニー」
おお、ドイツからのサイクリストかぁ。「キャニュー スピーク イングリッシュ?」、「ア、リルル」、「アイキャンスピーク モア ア、リルル」。ネイティブで無いのが幸いして英語で話す(ネイティブだとマシンガンのように喋りまくられるので苦手だ)。
この男女ペアーは稚内から南に向かって日本を縦断するつもりらしい(走りながらなので聞き取り難いが、「サウスエンド オブ ジャパン」とか言っていた。)装備は前輪振り分けと後輪サドルバッグなのだが、かなりコンパクトなので驚く。北海道を回るいわゆるチャリダーの装備と比べて軽そうだ。世界にはサイクリングツアー用品でスグレモノがあるのかもしれない。
「グッド ラック アンド ハブ ア ナイス ツーリング」と手を先を急ぐ。こちらは前輪バッグだけなので、町の自転車野郎に見えたかなぁ。いちおう、「日本のサイクリストと交流した」と意識は持ってもらえてだろう(たぶん)。
 同じ道を南下しながら、時々見える道路標識が「歌登」とか「枝幸」とかを指しているのは、それだけ北に来たって感覚につながる。
 13時30分。美深の森林公園に到着。サッカーに間に合うかなぁ(笑い)と危惧しながら車を走らせる。
2000.09.23 本日の走行 80km

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