合併宣言の前に......鶴居村

コース概要
 1994年当時に計画した「212市町村完全制覇」の目標は平成の合併で市町村数が減るかもしれない。未訪問の市町村では釧路方面と中標津方面が危ない。特に釧路方面では12月に合併協議会(法定)が結論を出すので今シーズンに訪問しておかなければ「昔、鶴居村と呼ばれた釧路市の一地域」になってしまう。
ただ辛いのは340kmを超える遠出なので自転車で走行可能な時間が短いこと。釧路方面は一泊計画にしようかと思っているのだが、来年から資金的計画を含めて考えようと思っているので、とりあえず日帰り訪問を成し遂げておくことにする。
 阿寒町まで足を伸ばした時のデポ地点である大楽毛(おたのしけ)の海岸に車を駐める。ここから釧路市に向かい途中から道々53号線を北上する。途中に前に阿寒町訪問で見過ごした「釧路サイクリングロード」が有るので一度走っておきたい。
釧路湿原の西をかすめるルートなので展望台で景観を楽しめるかもしれない。
輪行概要
 日高樹海ロードを走って帯広市を抜け国道38号線を白糠町を抜け釧路市直前の場所で海岸に車を駐める。ここまで340km。時間にして5時間半。実は朝の目覚めに遅れ札幌を出発したのは5時半を過ぎていた。9月に入るとさすが北海道でも5時にならないと日の出にならない。6月だと4時には明るくなるのだが、そんなこんなで目が覚めたら5時だったのだ。
今年はオホーツク方面を訪問していたので、ここに立つのは2年ぶりだろうか。自転車を組み立てながら、とにかく鶴居村を押さえておかなければって意識ばかりが先行する。
 この先、根室市までは130km程ある。札幌から7時間走れば北海道東端の根室まで行けるのだ。ただ、往復900kmとすると車の走行時間で15時間。朝4時に札幌を出るとして同じ日に帰るためには4+15+5=24ってことで5時間自転車で走ると0時直前に札幌に戻ることになるのだ。なんとも根室は遠いと計算から感じた。
 とりあえず自転車を組み立て国道38号線を釧路市方面に出発する。
実はこの5日後に「平成15年十勝沖地震」が起きて車を駐めた海岸線は1m程の津波に襲われた。たぶん、砂地だったのでもし車を駐めた時に地震が起こっていれば車は砂地に潜り込んだのではないだろうか。
 地震にとって5日違いなんてのは誤差範囲だ。なんとも、サイクリング中に地震が起きなくて良かった。2年前にここの海岸線を見て、しかも昭和58年の釧路沖地震の記録碑を見て「危ない地域」と思ったのだが、それが現実に、しかも5日違いで起こるとは。
詳しくは合併に間に合った......白糠町、釧路町、釧路市に書いてあるが、この時訪問した釧路町役場の入り口シェードが地震によって崩れ落ちている。同じく見聞きした所では釧路市の港も被害が出ているようだ。なんとも地球の地殻変動の中で地震なんて日常茶飯事なのだろう。ただ、僕がサイクリング中に出会った大きな事件(実は携帯ラジオでサイクリング中もニュースは聞いている)は特に無い。たまたま幸運だったのか、今回のコースを今(9月27日)は訪れることは難しい。災害復旧の現場で「自転車の旅です」なんて言ったら袋叩きに会うだろう。

いざ出発
 大楽毛(おたのしけ)を出発して国道38号線を釧路市に向かう。当日はドピーカンの晴天。最近多いのだが、また今回も忘れ物をした。それは帽子。この地方では、めったに無い晴天のもとで直射日光を受けながら釧路市へ向かう歩道を辿る。
 国道を走っても良かったのだが、なんとなく晴天の中をポタリングしたくなったのだ。2年ぶりの釧路市でもある。ここから弟子屈に向かう国道240号線の起点の交差点にたどり着く。この道は過去に阿寒町にむかう時に走った。
その時は気がつかなかったのだが、ここが国道240号線の起点である。「まりも国道」ネーミングは的を射ている。阿寒湖に向かう道なのだから「まりも」が最適だろう。このあたりの市町村合併で新しい市町村名でもめているらしいが、「まりも市」とかベタな企画に落ち着くのだろうか。「釧路」ってネーミングが全国に広がったのにあえて名前を変えるコダワリが理解出来ない。
作った資産って考え方が周辺の住民に無いのなら、合併なんか辞めるべきだ。この地域は「釧路支庁」管内なのだ。だから、合併したら釧路地域なのだ、それを無視して「丹頂市」なんて意見もあるようだが、それは過去の歴史の否定ですらある。過去を清算したい人生をおくってきたのか、この地域の住民はと思われても良いのだろうか。
 国道の起点は何処にあるのか。利用する我々にはあまり関係ないがここが道東観光の入り口なのだって証でデジカメで撮影しておく。これから残った未訪問の市町村に向かうために拠点が釧路市なのか迷うところだ。地理的には釧路市がターミナルなのだが、弟子屈町は美幌町や足寄町からの接続もあるのだ。
 そんな事を考えながらさらに先に進み地図には無いのだが「釧路環状線」なるルートに左折する。この道は大きく東に湾曲しているようで途中から鶴居村方面へ左折して道々53号線との交差点で右折する。仁々志別川の橋を超えるとすぐに自転車道路の看板が見えるのだが、これは帰りの楽しみ、地図に従って道々53号を北上する。
 急に上り坂が始まる。サイクロメーターで見ると50m程を一気に昇る。釧路市湿原展望台が道路の右に有るが、これは帰りに寄ることにする。さらに2つの小規模な丘を超えると釧路カントリークラブへ左折する道に出る。ここに若干のドライブインが有る。これも帰りに利用出来るかもしれない。
 鶴見台を過ぎるあたりから鶴居村の市街地が遠くに望める。

鶴居村
緩いアップダウンを繰り返しながら北上を続けると最初に鶴居村役場が左に見えてくる。役場前でお決まりの記念写真と思ったら、帽子に加えて銀塩カメラも忘れていた。とりあえずデジカメで記念撮影。今までの役場訪問で初めて銀塩カメラの画像が無い。ま、ここに掲載しておけば証拠にはなるだろう。
 なんかなぁ「税金で築く我らの明日」(意訳)みたいな看板が多い。これって、市民主義では無いだろう。役人の論理を看板にして掲載している町って、やれやれな町だなぁ。
 市街地をポタリングしながら次回の車のデポ地点を探す。ここから釧路方面を更に東に進むためにはデポ地点をここ鶴居村にも確保しておきたい。
 この町の市街地は前に伊達市や訓子府町で見たように電線地中化を行っているらしい。規模的に小さな市街地の歩道が整備中で電線が地中化されている。ま、大規模災害対策として都市部でこそ電線の地中化が必要なのだが、国の税金ってのはこんな地方で行われ「実現率」にカウントされるのだろうか。
 市街地から見える範囲に赤いドームを持った建物がある。早速行ってみると中学校だ。とりあえず水道を借りて顔を洗う。ここまで2時間程走っている。その間にほどんど小学校や中学校を見なかった。北海道をサイクリングする時に給水の問題がある。通常日本国内のサイクリングでは500ccのボトルを持っていれば十分である。減ったら給水すれば良いのだから。
 その意味で給水が20km程度で繰り返すことが出来るのなら安心なのだが、最大100km程の区間で給水出来ない所もある。現在では渡島半島の松前から上ノ国に抜ける国道228号線が北海道で最大の無給水区間として残っている。
 で、このドームは文部科学省の地方学校の特徴ある建物と思っていたら、ここの横に工事看板があった。内容は「鶴居村中学校プラネタリュウム外観塗装工事」。
 おいおい、この赤いドームってプラネタリュウムかよぉ。なんで中学校にプラネタリュウムが有るんだ。誰が使うのか、何のために使うのか。昔、天文少年だった僕は切れそうになった。
 実態は解らないので的を外すかもしれないが、プラネタリュウムを持つためには「学芸員」が必要だと思う。加えて現在の天空(星空)を説明出来る知識が必要だ。義務教育の中学校でそれが出来るのか。多くの学校のパソコン教室も同じなのだが 好きで教えていた先生が移動したらガラクタって事例が多い。それとこの鶴居村の中学校のプラネタリュウムは違うのだろうか。
 ま、ここまで大気の状況が良い「田舎」では、肉眼で星座を見ることが中学校の義務教育だろう。プラネタリュウムを使う意味を僕は感じない。と言うか、使えてるのかと思う。プラネタリュウムの投影機はピアノの調律に匹敵する調整が必要で、それをしているなら税金の無駄使い。してないなら施設の放置。どちらも税金の無駄使いなのだ。

鶴居村ベッドタウン計画にやられたな
 最初はあまり良い印象ではなかったのだが、時間が丁度1時だったので中学校のスピーカーが時間を告げる。これが札幌では北5条西6丁目、札幌センタービルの前に有る鐘の音を出す時計と同じ音色の「恋は水色」。この曲って中学校で流れる曲かなぁ。我々の世代には解るが。それより「ばれないだろう」と、ここに同じ音を持ち込んだ業者が居るのだな。それを見抜けなかったのかな役場は。
次回のデポ地点を探すためにも市街地をポタリングしてみる。キャンプ場に併設したキャンプ場がある。ここに車を駐めることができそうだ。左手を見ると倉庫のようなトラックヤードがある。そこにこんな碑が建っていた。北海道から本州に生乳(牛乳そのものの状態)で輸送した基地がここなのだって石碑。なるほどなぁ。釧路港って流通が背景にあればここから牛乳を本州に送ることができるのだ。なにも札幌まで運べば本州って考え方は無いのだ。
 ここの野球場のスペースから橋を渡るとなにやら公園がある。ここを渡る橋で音楽が流れる。僕が自転車で渡った時はダークダックスが歌ってたと思う小学校でも習う「おお、牧場は緑」だった。ま、この選曲もなんか外している気がするのだが。
で、運動公園と言うのか前にも目にした地方の隠れた豊かさをここ目にした。ここの状況は北海道写真館正直言ってうらやましい。実はここ鶴居村は名前から解るように「村」なのだ。で、経済的に何を基幹産業にしているかと言えば酪農の牛乳なのだ。がしか、市町村合併を背景にここ鶴居村にはいわゆる都市を取り巻くドーナツ現象の住宅地としても環境は揃っているのだ。釧路市の住宅地としての準備をしたたかに進めた村って気がする。
 ここから釧路市までは20km以上あるのだが、途中の丘陵を越えたあたりからは釧路カントリークラブ、釧路風林カントリークラブのゴルフ場が開け平地にが始まる。ここから釧路市の住宅地としての開発が可能なのだ。しかも、ここには悪名高いグリーンピア計画で温泉付き保養ホテルもあるのだ。
 さしずめ、ここの公園と遊園地はベッドタウンとしての鶴居村を意識したときに重要な施設になるのではないだろうか。ただ、市町村合併の話が出る前に整備されたってのが気になるが。

釧路市湿原展望台
鶴居村を後にして出発点の釧路市大楽毛に戻る。途中来るときにはパスした「釧路市湿原展望台」に寄る。入館料380円らしい。実はトイレを使わせてもらおうと思ったのだが入館料を払わないものは表のトイレを使えってことらしい。トイレってのは公共施設で「入館料を払ったものだけ」みたいな措置はどうかと思う。すくなくとも50円程度の有料トイレにして入館料とは分けて考えるべきだろう。
で、とりあえずここまで来た記念にと380円を払ってにゅうかんしてみる。正直言って建物から眺望を売る時代ではないのではと思う。屋上から撮影した釧路湿原の風景は北海道写真館にあるが、遠くから見たら湿原だか平原だか解らない平野が広がっているだけの眺望だ。しかも特に海岸川には製紙工場の上げる煙が見えるのだ。
2階の「博物館的な」もたいした事は無い。これでは380円って中途半端な金額もさることながら「金返せ!」と言いたくもなる。ただ、380円の有料トイレだったと思えば良いのかもしれないが。
ここから坂を一気に下って仁々志別川の手前で釧路阿寒サイクリングロードに左折する。このサイクリングロードは平坦で狭いが整備はそれなりにされているようだ。ただ、利用する人が少ないのと途中に休憩所や給水所が無い。サイクリングロードと称したいなら一度は札幌の白石サイクリングロードを見学して欲しい。僕が考えるサイクリングロードは10km毎に休憩所と給水所が無ければならない。その意味で北海道で合格なのは白石サイクリングロードだけとなる。旭川サイクリングロードもぎりぎり合格だが他にサイクリングロードを標榜している所はみんな不合格だ。隣接する国道を走ったほうがセイコーマート等のコンビニで上記の条件をクリアできるのだから。
 次回この地域に来るのは来年(2004年)になるのか。高速道路が廉価で使えれば北海道全市町村日帰り訪問が可能なのだが、どうなるだろう。9月に入るとそろそろ北海道ではサイクリングシーズンは終わりになる。
2003.09.20 (C)Mint 本日の走行78km 走行時間4:27 (車:行き340km、往復680km)

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