稚内...結果として宗谷岬に王手をかける

コース概要
 未走破地域の最北端。稚内市クリアを目指す。前に宗谷地域を走ったのは1998年8月14日の夏休みを使っての走行。あれからオホーツク海岸の市町村は訪問したが、稚内市は残っていた。6年ぶりの国道40号線であり、豊富町になる。6年前に確認した車のデポ地点は豊頃町の運動公園。ま6年で無くなることは無いと思うが、ひさしぶりの訪問なので、かなり様子は変わっているかもしれない。
 結論から言うと、稚内市役所直前で断念、折り返しになったが、当日の体調とこれからの攻略を考えながらのサイクリングであった。 地図
輪行概要
 小樽市から日本海側を北上する海岸線に沿って伸びる国道を通称「オロロン・ライン」と呼ぶ。札幌市から稚内市に向かうには国道231号線を北上し、天塩町から国道40号線に合流して稚内へ、国道275号線を旭川市に向かい、ここから国道40号線を利用して稚内へ、国道12号線、国道40号線を繋いで稚内へ、と3通りのルートが考えられる。
 高速道路の利用を主眼とするなら国道12号線に添った道央高速道路が国道40号線に添った士別市まで伸びている。もっとも、時間的にはさほど短縮されない。
 今回は、札幌市から道々44号線で石狩市に抜けて、国道231号線を北上し、留萌市で国道232号線に接続し天塩大橋から国道40号線に合流して豊富町の運動公園を目指す。およそ長駆300kmとなる。
北の道ナビを利用して「時間優先」で検索するとこのルートが出てくる。319kmで6時間6分だそうな。実際は40km手前の豊富町までだが、余裕を見てこの時間より早く到達できるだろう(smile)。
 途中の景色は6年前とさほど変わらないが風力発電の風車がやたら増えている。増毛町あたりから数基の風車が回っている。留萌市、小平町、初山別村、苫前町と日本海に向かって風力発電の白い塔が何基も建っている。帰りの道は稚咲内からオロロンラインを南下したのだが、幌延町の海岸線には一直線に20基以上が海岸線に建っている。
 運動公園には福祉施設も併設されて駐車場が広くなっている。「自転車健康宣言都市」の豊富町なのだから、輪行の車を停めても良いだろう。もっとも、駐車スペースは1/5程度しか駐車していなかったが。

いざ出発
 駐車場で自転車を組み立てるも、前輪のブレーキの間にタイヤを巧くはめることができない。ブリジストン・アンカーのCA700のブレーキはシマノのVブレーキなのだが、これを開く方法が良く解ってない。昨日自転車を車に積むときにはグリグリと無理矢理前輪を外したのだけれど、今度は入らない。
結局、U字の溝の所でワイヤーを緩めて外すのに気が付いたのだけれど、結構手間取った。これは事前に調べておけば良いことだが、ささいな事でも初体験が発生する。
今回も途中の休憩を除いた走行時だけの平均速度を計測すべくサイクロメータのモードをATモードに設定する。
 フロントバッグに途中で買い込んだ弁当を詰めて運動公園を後にする。
豊富町の交差点が6年前のコースと交差する連続線の始まり。工事中で誘導してもらって抜ける。前回はここを豊富温泉に向かい幌延町を目指したのだ。
 交差点を右折し左に曲がる緩やかな登りを登ると左手遠方に利尻富士が見えてくる。道の駅「富士見」もそうだが、この地域では小さな橋にも「富士見橋」と名前が付けられたものが多い。みな利尻富士山の富士見なのだ。

出発早々足がつる
 前回の標茶町訪問の時の国際救助隊(宅急便のお兄ちゃん)による救護からトラウマなのだが、走れなくなったらどうしようって気持ちが常につきまとう。実は新しいブリジストン・アンカーのCA700でツーリングに出るのは初めてだ。札幌市内を100km程走り込んでいるが、自由に走れるポタリングと目的地を定めたツーリングでは雲泥の差がある。
一番大きいのは時間内に完走って点だろうか。ポタリングなら時間が来たらやめれば良い。ツーリングは目的地に到達し、折り返して時間内に車のデポ地点まで帰ってこなくてはいけない。そのために前回は自転車ごとヒッチハイクすることになってしまったのだが。
 ブリジストン・アンカのCA700のギア設定は走りを重視するのか前が50,40,30のスプロケット。後ろは計ってないが8段変速になっている。後ろのギア比は車軸から45度の角度で大きくなっている。前の自転車は前がたぶん45,40,35くらい、後ろは60度くらいの度合いで増えている。今度のギア比のほうが脚力を必要とする。ちなみに僕の足の回転数では今度は平地で40km/h程度、前回の自転車では35km/hが限界。
 で、出発して10km程で右足の太股、左足の向こう脛に違和感が生じる。自転車で足に違和感を感じると怖いのが、止まって休もうとして自転車を降りるときに足に無理が来て、立てなくなったり、激痛が走ることだ。今回も違和感を感じて直ぐに自転車を降りたが、そう簡単には回復しない。
 弱気と言うか安全策と言うか、ここで引き返しても良いとも考えた。また出直して来れば良い。稚内市は逃げる訳ではない。わずか10kmしか走っていないのにと驚きもあったのだあったのだが。
 せっかく来たのだから次回の車のデポ地点だけでも確保したい。国道添いの開発局のパーキングなら5kmおきくらいにあるから先に進みパーキングが見つかったら折り返そうと決める。しばらく休んだ後にゆっくりと走り始める。

「開源」ってなんだ
  途中、国道を覆ったシェルターが見えてくる。ここ宗谷地方の北部は冬に猛烈な吹雪になることが多く、国道は吹き溜まりか地吹雪で走行が困難になることがある。そんな時の一時待避所として国道を覆うかたちでシェルターがある。ここにはトイレと電話とAMラジオが常時受信できるようになっている。
 このシェルターは「開源パーキングシェルター」。「開源」って何だろう。開発局開発建設部でも無いし、開発局道路事務所でもないし。ここで一休みしながら考えるが何の略称なのか解らない。ま、ここを次回のデポ地点にするかとも思うのだけれど道路脇に車を停める感じなので、さらに先のパーキングを探すことにする。
 走りながらサイクロメータを平均速度に切り替えると28km/h。ああ、これだなと気づく。走り始めて最初の10kmをこの速度で走っては足がもつ訳が無い。ついついスピードが出るので足に負担を掛ける走りをしていたのだ。前の自転車よりタイヤが細い分、速度が出せるとして、僕の今の足では平均で25km/hを超えることは無理だろう。瞬間速度は別にして、札幌市内での試乗もそんな早い平均速度で走ってはいない。
 原因が分かると気が楽になるもので、30km/hを越えないようにゆっくりと進む。途中工事現場で誘導してもらいさらに先にすすみ、緩い丘の頂上あたりで稚内市に入る。サイクロメーターは出発点の豊富町運動公園から20kmの距離を示している。あと20kmで稚内市街地に入る。初回のツーリングで往復80kmはキツイなぁと感じていたので、そろそろUターンして戻ろうかと考える。
 しかし、ものは考えようで、ここまで稚内市に近くなるってことは、次回に宗谷岬も射程距離ではないか。市町村役場を訪問する旅だが、北方領土を除けば日本最北端の宗谷岬には立ってみたい。とすると少しでも北へ進んでおきたい。できれば稚内市直前に開発局のパーキングエリアは無いだろうか。
 道の右手には牧草地が広がり、丘の上では風力発電の風車がゆっくりと回っている。ウインドファームとは良く名付けたものだと思う。まさに牧場と風力発電がセットになったファームなのだ。

サラキトマナイのパーキング
  サイクロメータの距離が30kmを越える、これ以上前に進むと戻りが心配だ。と、その時に前方に青地に白で「P」のマークの道路標識が見える。広い駐車スペースで次回の車のデポ地点にも使えそうだ。サラキトマナイ地区と看板に表記されている。ここから宗谷岬まで31km。稚内市街地には10km。今回の目的地としては最高の場所に車のデポ地点を発見する。
 稚内市役所、北防波堤、稚内空港、宗谷岬これらを回るとして70km程度か。休み休み回れば回れないことは無い。今日の出発点に戻れば本日の走行66km程なのだから。
 満足してここで弁当を食べて小休止する。豊富町からここまでの間に飲料水の自動販売機2個所、小学校中学校は道添いに無く、給水は不可能。結構ハードな30kmだった。まっすぐ戻る途中で何か見るものは無いかと地図を広げるとさっきの疑問が解決した。
「開源パーキングシシェルター」とは、地区の名前が「開源」だったのだ。開発局とは何の関係もない「開」の文字だったのだ。途中に「宮の台展望台」がある。地図にもサロベツ原野が一望とある。ま、登りは難しいが押してでもこの展望台に登ってみよう。
 パーキングの看板に「ふゆトピア計画事業」の文字を見付けた。あれぇ、ふゆトピアって札幌だけじゃないんだ。ここ稚内では冬に強い西風が吹くと道路の真横から吹き抜けるので吹き溜まりや視界不良を招く。そこで先のシェルターのような施設で緊急避難する。ここのふゆトピア計画は壮大で30万本のエジマツやナラを植林して国道を覆う防風林を作ろうって計画だ。総事業費55億円。自然にやさしい冬対策とも言えるだろうか。10年後には防風林で守られた国道40号線が誕生するわけだ。
 次回を楽しみにパーキングの場所をしっかり地図に書き込んで出発点にもどるべくパーキングを離れる。

宮の台展望台
 戻りは利尻富士山を右手に見ながら今来た道を辿る。工事現場を抜けシェルターを抜け豊富市街地が始まるころ道路の左側に展望台への標識が見つかる。最初の100m程は自転車で走ったがあとの登りは押して登る。約900mで標高差は50m程か。高さ30m程の鉄塔展望台が建っている。
 自転車で走っていて一番辛いのが階段登り。3段目が展望台なのだが、2段目で眺望を楽しむ。少し高度による恐怖感もあったのだが。サロベツ原野が目の前に広がり遠く海を越えて利尻富士が見える。残念ながら太陽が左から射し利尻富士山は黒くシルエットのようにしか見えない。この写真は帰りに海岸線に出てさつえいしたもの。利尻富士を見るなら冬から春にかけての雪を抱いた風景だろう。でも、眼下に広がるサロベツ原野は去年見た釧路湿原に匹敵する広がりを見せてくれる。
 ここでパノラマ写真をとったのだけれど、ステッチする時に操作を間違って消してしまった。残念! 今度、朝日の時に再度撮るわぁ、斬り!
 案内板を見ると、ここの展望台は昔は徳満展望台と呼んでいたらしい。サロベツ原野の開発が始まる頃から通称サロベツ展望台と呼ばれるようになった。昭和38年7月14日に義宮(よしのみ)殿下(昭和天皇第2皇男子)が視察に訪れたのち、現在の「宮の台展望台」と呼ばれるようになったらしい。
東西8km、南北27kmのサロベツ原野が広がっている。ま、例として「山手線2個分」とはご愛敬で、大阪の人間か見たら怒るでぇ。なんで、他のものと比較するのか。「札幌市役所2杯分のビールを飲んだ」とか比較する対象がおかしいやろう。
 ここの水飲み場で本日始めて顔を洗うことができた。なんせ沿線に学校や公園が無いのだから。ただし、飲むのは難しいかもしれない。口をゆすぐだけにした。ここまで来れば運動公園に戻って冷たいジュースでも飲もう。
坂を下って運動公園に向かう途中で太股がつる。さっきの階段で限界だったんだ。今日は良い判断だった。もし、無理して稚内市役所までたどり着いても戻ってくるにはそうとう時間を要したかもしれない。
 運動公園で乾いた喉を潤そうと自販機に500円玉を入れると戻ってくる。ななんと、新500円硬貨に対応していない。市街地で自販機でコーラを買うまでおあずけになった。
 次回が楽しみな「利尻富士山麓」の旅であった。稚内直前まで全行程で利尻富士を見ることができる。
2004.08.28 (C)Mint 本日の走行68km 実走行時間3:01 (車:行き302Km 帰り305Km 合計607Km)

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