地球温暖化を風速から検証する
アメダスのデータが入手できる
国土環境株式会社のダウンロードサービスのモニターに応募したら試用期間中に登録された。早速、札幌の1976年からの風速、積雪、気温のデータをダウンロードする。モニターポイント1000点がこれで消えてしまった(笑い)。ようがないので、追加ポイント発行をお願いしてさらに2000ポイント追加してもらったのだが。
1976年1月1日からの24時間ごとの気温、風速は10,400レコードもある。これがcsv形式でダウンロードできる。早速ダウンロードしたデータをaccessに取り込んで月ごとの平均気温を求める。
前にも書いたが地球温暖化は気温が上がる事で検証できるものでは無い。それを国会で愚にも質問した大橋巨泉氏とそれに答弁した小泉純一郎首相のやりとりは滑稽なものだった。
地球温暖化は災害増加を参照。
その結果、月々の気温は若干上がっている程度である。最初が2月の気温の変動。それに5次元の近似曲線を書いてみるがかなり上下しながら若干の右上がりの傾向を読みとれる。しかし、厳寒期の2月で、しかも都市部の札幌では暖房による人工的な気温の上昇が考えられ、これだけで温暖化と言うのは少し早計のような気がする。
下が7月の気温の変動。これからは右上がりの傾向は読みとれない。気温の変動は非常に緩やかで、たかだか27年の月の平均気温から推測するには誤差が大きすぎる。もっとも、誤差を誤差とせずに地球は温暖化していると主張するのは勝手だが説得力が無い。
大気のダイナミックスの増大を検証する
自転車で各地を走っていて「風が強いなぁ」と最近感じるようになった。普段の生活でも無風状態をあまり感じなくなった。強い弱いを別にして常に風が吹いている気がする。2004年の冬には北海道で交通機関が壊滅的打撃を受ける雪による通行止めが2回もあった。このような規模の雪害は通常数年に1回だった。
そこで入手したアメダスのデータの中の風速データを分析して、大気のダイナミックスの増加を推測してみる。ビル風なんてのが有るが、基本的に都市部であっても気温ほど人工の影響を受けないのが風速だろう。はたして風速はこの27年でどのように変化しているのか。
この棒グラフに5次元の近似曲線を引くと左の図になる。特に、ここ60ヶ月(5年)は急激に観測される風速が大きくなっている。逆に最初の190ヶ月(1976年〜1991年)では増加の傾向は読みとれない。
これだけ明確に出てくるとは思わなかった。
先に書いたように「地球温暖化は大気のダイナミックスの増加」。故に、気象が昔よりダイナミックに変動し、特に日本では風水害の自然災害が増大する。との仮説は風速のデータから実証できると思われる。
現に、新潟・福島豪雨、福井豪雨がつい数週間前に起きている。ヒートアイランド現象もあるが昨日(2004.07.20)の東京都心の気温は39.5度を記録した。
風速から読めること
再度、グラフに戻って数値を見てもらいたい。1980年代平均風速は1.75m/s程度で横這いになっている。210ヶ月過ぎたあたりから2.0m/sを越え、310ヶ月(2000年)ころには2.5m/sを越えている。この時点で風速は42%増しになっている。速度は質量の二乗に比例するので札幌に吹く風のエネルギーは2倍近く増えたことにある。これは大変な増加量と言える。
風水害対策が過去にも増して必要なのはこのデータからも読みとれる。
それにしても大気のエネルギーが2倍になっているってのは、かなりアヤシイ。札幌に何か特異な点が無いのだろうか。たとえば札幌の気象台はビルに囲まれている。そのために回りのビルの建築状況によって風の強弱が変化したってことは無いのだろうか。札幌気象台の見解をホームページで見ることがでkりうが、札幌にはヒートアイランド現象が確認されており、特にここ100年の冬期間の最低気温の上昇は都市生活によるものと言われている。
と、ここまで書いて再度アメダスデータ入手に必要なポイントが増えたので北見市の風速データーを入手して分析してみる。
北見市のデータでは顕著な特徴が出てこない。若干の右上がり傾向は読みとれる。大気の運動量が増えているかどうかは、更に検証を必要とする。
稚内市もここ25年間大差はない。
留萌市は若干増えている。
では、札幌市のこの傾向は何によって説明できるのだろうか。
若干の変化が読みとれる地域は平均風速が2m/s程度の地域、風速が5m/sの地域では差が顕著に現れない。これが僅か4個所のデータから読みとれる限界だ。札幌の状況を全世界に広げて風のエネルギーは2倍になっていると言うのは危険だ。若干の風速の増加が見られる程度が危なげのない結論だろうか。増加分が地球全体の大気のエネルギーの何パーセントなのか定量的は分析はアメダスデータだけではとても推測は無理だろう。
災害に対する備えが脆弱すぎないか
検証が必要だが観測史上最大の豪雨によりダムが決壊を防ぐために放水し、それが堤防決壊に繋がったのが新潟洪水の遠因でもある。治水とは上流のダムが川の水量をコントロール(治める)することによりなされる。自らの決壊を恐れて放水し下流の堤防を決壊させては本末転倒である。ダムが土砂により貯水能力が落ちていなかったのか、梅雨明け直前の大雨を想定して予め放水しておく運用はなされていたのか。そのあたりの検証が必要だ。
福井豪雨は福井市を流れる足羽川の堤防の決壊が被害を広げたが、写真で見る限り天井川で堤防によるその場しのぎの治水しか行われてこなかったように見える。
長野県の田中知事が洪水対策にはダムの建設では無くダムの浚渫と言っているのは、まさに治水には箱モノ建設では無く、維持管理が必要な事業なのだ。その対策を事前に行っておくことが洪水対策として必要になる。
無駄が多いと指摘された公共事業を縮小しながらも、地震津波対策と称して箱モノ工事は行われ続ける。治水に関しては東京で見て居ても解らない地域それぞれの現場と事情がある。いったん災害が起きると地方自治体は復旧に振り回される。国はせいぜい激甚災害法の適用を行うかどうかの陳情を裁くだけ。
自然災害の被害者は地域住民。であればこそ、地域の自治体は常日頃災害防止に必要な手を打っておかなければならない。