反日デモ>中国のデモにメッセージが無い

反日デモでの彼らの主張が不明
 デモは目的があって、いわゆるデモンストレーションだから示威行動な訳だ。とすると、そこには訴えたい「お題」が必須である。「お題」の無いデモは単なる集団散歩と呼んで良いだろう。集団暴動でも呼び方は自由だが。テレビで見る限り、この「お題」が見えてこない。単なる反日デモなのだ。具体的な要求も無く、ただ、石を投げたりsonyの看板切り裂いたりしている。ある意味「お題」は反日なのだ。理由は無い、ただ反日のための反日なのだ。
 歴史的な背景から日本に侵略を受けた体験から発するのなら理解できるが、日本も知らない、過去の歴史も知らない、そんな若者(小学生っぽいのも石投げてる)がデモ的な暴徒と化している。どうも、真意が伝わらない、彼らは何に対して怒っているのか解らない。そんなまか不思議な中国の反日デモである。
 中国政府の声明も不可解で、まるで「国がやらせてるんだろう」って聞いてもいないのに「国は関与していない」と声明を出す。国が黙認を少し越えて、インタネを国が利用して若者を扇動しているのだろう。間違いない。
 検閲も恐ろしいが、検閲の逆である国家による世論操作もこれまた恐ろしい話だ。日本で2chあたりに、国家的な意図を持って侵入(ま、誰でも書けるから「侵入」は無いか)し、アジテートしているようなもんだ。石を投げた奴を「英雄! 偉い」と褒めちぎり、有ること無いこと書き散らかして反日感情を植えつける。これって、昔本で読んだ「かんべ むさし」の「公共考査機構」みたいなものになる。中国では行っているのではないかと今回の不可思議な反日デモを見て考えてしまう。
 実際、2ch的な場所に常時出入りしてる人は情報の真偽よりも2ch的な場所での仲間意識が優先し、情報の真偽よりも情報によってどれだけ楽しめるかに重心が移っている。そのため、「石を投げると楽しいよ。公安も黙認だから」なんて情報で出かけて行って石を投げる。その体験談を書くと英雄扱いされる。そんな掲示板が中国に有るのだろうなぁ。
 日本国内のマスコミは「あれよあれよ」って動揺ぶりで現地の映像を放映しているが、その奥に見え隠れしてる中国政府の情報操作を的確に伝えて欲しい。ここ数日のマスコミ、特にテレビの扱いは画像を伝送するだけで取材が行われていない。ただ、写したものを流しているだけだ。その裏にあるものを嗅ぎ分けてこそジャーナリズムではないのか。

国内問題のガス抜きにか
 何処の国でも同じだろう。国内でゴタゴタしている時は国外に共通の敵を作って国内を団結させる。近くは明治時代の西郷隆盛の征韓論。古くは豊臣秀吉の朝鮮出兵(慶長の役)と、日本でも良く利用された。
 最近知ったアメリカの日本占領政策でも「軍人 役人 政治家が悪くて日本は戦争を始めた。国民一人一人は悪くない」って手法で占領政策を浸透させたふしがある。結局、共通の敵(悪者)の前では団結できるってことで、戦前の「軍人 役人 政治家」を悪者に仕立て、アメリカと日本国民個々人は仲間なのだって雰囲気を作って占領統治を行ったのだろう。
 その外国のメディアは事の真相を正確に伝えているようだ。英国の新聞では「中国政府容認の反日デモ」と書き、結局世論を扇動する政府は世論に負ける結果を招くと厳しく批判している。アメリカも大使館のガラスが割られるって事態に着目し治外法権のルールを守れない中国として関心を示している。
 貧富の差が広がっている中国で内政への批判を外部に向けさせる施策はギリギリの綱渡りだ。反日デモによる意思表示が世相を変えると解った国民は、より効率的に内政への批判もデモによって表明する。天安門広場事件での弾圧を再度繰り返すようでは政府は保たないだろう。結局現政権が崩れることになる。
 事件は違うが、北朝鮮のワールドカップ・サッカー・アジア予選で平壌の金日成スタジアムでの暴動は、北朝鮮国民にデモする意識を植えつけたのではないかと思う。今まで何でも将軍様の言うとおりだったのが、自分たちも自己主張出来るんだ、その自己主張で世界が自分たちに注目してくれる。そんな事実を知ったのではないか。スポーツの場での暴動で好ましくないと見る向きもあるが、国民が個人の感情を公の場で示す第一歩になったのではないか。

若者が反日デモで投石
 テレビに写っていたのは小学生だろう。石を投げることで周りから賞賛され得意げに振る舞っている。本人は日本が何処の国かも知らないだろう。そんな子どもの行為を周りの若者があおっているのはいかがなものだろうか。
 中国1国の話では無い。若者はこれからのアジア住民として人類を背負ってもらわなければならない。暴力で物事が進展する訳は無い。話し合いこそが物事を進展させる唯一の方策なのだ。暴力や戦争はその刺身のつまみたいなものだ。しっかり主張し賛同者を募る。方法はそれしか無い。国が容認してるからやっても良いなんて行動の原動力は何も生み出さない。
 中国と日本の過去の出来事を何時までも引きずって外交を行うのは国を運営する手法として当然のことだろう。有人宇宙船を打ち上げ、水爆すら所有していても「我々はODA援助はもう要りません」と中国から言ってくることは無いのだ。日本からODA減額を提示しても「過去の清算はまだ続く」と抗弁するのが外交だ。
 しかし、同じアジアに住む個人の意識としては、上下の隔たり無く共に発展を目指す方策を考えるのが先決だろう。今の主張の無い反日デモは二つの点で情報操作されている。
 ひとつは、日本の安保理での常任理事国入りだ。これは日本国内でもコンセンサスが得られていない。しかも国内問題である。中国でデモする以前に国内でまだまだ議論すべき議題で決定事項では無い。
 ふたつ目は教科書記載問題。これは国が検閲をして修正を強要したものでは無い。国境って島国の日本人が苦手な領土の概念を正しく伝えるために教科書に記載されているのだ。境界線のあやふやな場所でガス田調査を最初に行ったのは中国だ、竹島問題については日本と韓国の問題で、中国が両国に内政干渉すべき議題ではない。
 この2点が扇動的に誤って中国国内で伝えられてる感じがする。加えて小泉純一郎首相の靖国神社参拝をカードとして使ってくるが、これも内政干渉である。A級戦犯が奉られてると言うが、A級戦犯の烙印を押したのは戦勝国である連合国、中国はその一員であった。勝利した国が裁いた結果を負けた国の国民に押しつけるのは無理があるってのは、昨今のイラクやアフガニスタンを見たら自明だろう。
 戦勝国の奢りが日本国民の靖国神社参拝にまで口を挟むのは過去の歴史に拘りすぎだ。新しい建設的な日中関係を構築する若者達に百害あって一利無しだ。くだらん情報操作をやっていると、現政権にまで火は回るってことを熟慮してもらいたい。また、中国の若者は情報の真偽を見極める自己責任を担わなくてはいけない。

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2005.04.12 Mint