郵政民営化、国盗り物語に発展

小泉純一郎氏の国盗り物語
 マスコミへの格好の材料提供になりそうな永岡衆議院議員の自殺まで発生した郵政民営化騒動(ま、騒動って言葉を使おうと思うのだが)だが、国民にはNHKの大河ドラマを見るような関心しか無いのだろう。所詮、永田町の独り舞台で国民は無関心って実態が郵政民営化騒動の実態だろう。
マスコミはその本質を突いて視聴率を下げるよりは「永田町国盗り物語」で煽っておこうと、ま、何時ものマスコミの「面白可笑しく関心を集めて高視聴率」って路線を、これまた国民は斜めに見ながら煎餅食いながら大河ドラマを見るように楽しんでいるって、国の方針とか方向とかとはまったく違った茶番劇ってことが、事態の本質なんだろう。
 どう考えたって「スティルス作戦」とか「カメレオン作戦」とか、ま、三谷幸喜氏が書くドラマと大差無い「遊び感覚的な」政治ショーが、国家の大計とか日本の外交とかのスタンスを大きく離れて政治のバラエティ化にまで暴走してる。
 正直言って郵政民営化騒動によって政治不信は冗長される訳で、それに気が付かないで「郵政民営化騒動」で踊っている政治家は全員次の選挙で落選させるべきだろう。いわゆるバラドルならぬバラ議員(バラエティ議員。ま、桝添とか、新井とかだが)の出演ギャラの草刈場と化したテレビ政治番組「的な」番組だが、本当、まったく政治とは関係無い土俵に流れ込んでいる。
 正直、マスコミが馬鹿なのか国会議員が馬鹿なのか、全部まとめて国民が馬鹿なのか、郵政民営化法案騒動は政治問題では無くてシナリオの無い大河ドラマ以上では無く、新聞も政治欄で扱うよりはラテ欄(ラジヲ、テレビ番組欄)で扱う騒動だ。 

政治地図を塗り替える解散総選挙
 戦国時代はカードが沢山あって、政略結婚から偽装親戚、友好のために食料支援しながら兵力増強、はては裏切りと相手の大将の首をいかにして取るかで勢力地図が塗り替えられた。戦国時代が戦国と呼ばれるのは武力による相手の大将の首取りで勢力地図か塗り替えられた時代だからで、その前の時代は、いかに天皇を利用するかか天下を手に入れる方策だった。これは大化の改新でショウトク大使が天皇家を中心とした日本国家って政治制度を作ってから700年程続いた政治の仕組みであった。
これを氏血筋から武力(勢力)による天下奪取に変更したのが、乱暴な言い方だが戦国時代だったと言える。そして、大政奉還によって天皇中心の国家に戻り、いかに天皇を利用するかの過去帰りが近代日本の太平洋戦争敗戦までの勢力地図であった。
もっとも、自由民権運動みたいなものが国内で発生したのも事実だが、大化の改新に匹敵するようなドラスティックな勢力地図の仕組みの変更は大政奉還と先の太平洋戦争敗戦。これが、日本の歴史の中で政治勢力地図に及ぼした3大事件と呼べるだろう。あえて、鎌倉幕府も入れても良いが、所詮、天皇統治制度下での征夷大将軍争いってことで、戦国時代すら先の敗戦ほどドラスティックでは無かっただろう。
 今回の郵政民営化騒動で政局が動くとして、過去の日本の政治形態の変革と比べてどれほどのダイナミックなものかと言うと、せいぜい「国盗り物語」それも、足利幕府崩壊後の方向の見えない国盗り物語だろう。

進むも破滅、守るも破滅
 結局日本の政治形態は戦後60年基本は官僚支配政治だったのだろう。これは官僚に責任があると言うよりも政治家の責任だ。亡くなられた永岡衆議院議員も農水省の官僚出身だが、戦前の軍部独裁に懲りて日本の政治は行政主導では無くて立法主導でなければならないと考えた官僚は多く、政治の世界に進出していくことになる。
池田隼人、中曽根康人、岸信介、宮澤喜一、ま、枚挙にいとまが無い。しかも労働組合を集票母体にしたイデオロギー的対立しか無く、現在の流行語で言えば「競争原理」が働かず、結局、昔の土俵の官僚頼りの政治を蔓延させたのだ。
 その結果、最大の弊害、責任者をとる者の居ない政治が戦後60年連綿と続いてきた。官僚は責任を問われることもとる事もできない構造だが、悪政の責任を取りたくてもそれに代わる政党が現れない状況ではコップの中の嵐に収めるしかなく、政治も責任を取れない構造のまま好き勝手やってきた。
 責任者が居ない日本丸は財政の舵取りも破滅。結局、投げ出すのが最高の政治選択とまでなってしまった。その現状に鑑みて郵政民営化騒動の後に解散総選挙があるとしたら、その選挙は後世にどのように映る場面で、どのような選択が歴史的に最良なのかは、おのずと結論が導き出される。そこまで考えての小泉純一郎首相の「自民党をブッコワス」なのかどうか。

何故、小泉純一郎首相は強気?
 先の衆議院の郵政民営化法案採決で反対票(青票)を投じた自民党議員に対して「次の選挙では公認しない」とか、本当に行うかどうか疑わしが、これに対して郵政民営化反対票を投じた綿貫氏や亀井氏は「新党結成だ」といきまいているし、これにマスコミも乗った格好だが、実際、衆議院を解散するって小泉純一郎首相の真意は、自らが改革新党たることではないかと思う。また、その意味で真を問うのでなければ衆議院解散の大儀は無いだろう。ま、大儀無き解散ってこともあるが。
 自民党を変えるのか、小泉新党として君臨したいのか、そして野党に下野した政党が何の権力を持つのか。このあたりの考察が既に結論を得ていなければ衆議院解散は無いだろう。
 不思議なのは「倒閣行為だ」とまで言える妙に強気の行動だ。ま、変人だから行動に論理性は無いのかもしれないので、的を外すかもしれないが、やはり人間には強気を支える状況判断があるだろう。郵政民営化法案が通るのが前提で、通らないって空想に近い仮定の話しなら何でも言えるって姿勢としたら小泉純一郎首相の状況判断は甘い。
 郵政民営化法案を参議院で通すための戦術としてのみ「衆議院解散」を標榜しているのなら、実際に法案が参議院で可決されない場合に上げた握りこぶしをすんなり下げるわけにはいかないだろう。「あっさり衆議院解散をあきらめました」ってサプライズでは内閣不信任案による内閣総辞職か衆議院解散になるのだから。
 このあたり、金曜日に結果が出てみなければ表面には出てこないが、民主党も含めた政界再編製の匂いが強気の小泉純一郎首相から感じる。すでに手を打ってあるって自信が無ければ、馬鹿じゃないのだからあそこまで強気にはなれないだろう。(いや、単純馬鹿なのだって意見も拝聴に値するのだが)

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2005.08.03 Mint