偽装に騙された過程に問題がある

活字崇拝の風潮
 この電子メールがフロッピーで届けられ、偽装されたヘッダー情報もなにもかもプリントされていたら「良く解らない。専門家に見てもらえ」となっただろう。これがなまじプリントアウトされて、一部を黒く塗りつぶしたものだったからこそ、さもありなんって認識になったのだろう。
 メールを受信した人間からプリントアウトを貰ったってのも有りそうな話で、ファイルで貰ったなんて言うと「何の事だか解らない」となるだろう。もっと言えば、そこまですると「偽装したのでは」と疑いが生じるだろう。
 紙に印刷され、明確な文字で示され、自分たちが理解できない所は消されて(丁寧にも)いるから信じたのだろう。そもそも、昔の爆弾男の楢崎氏が言ってるように「本物だった時の対応、偽物だった時の対応、双方をあわせ持ってこその資料の利用」ってのはうなずける。
 しかも「こんな怪文章が出てくるほど、疑惑が広まっている」程度の材料だったのに、決め付けて人格攻撃までしてしまっては引くに引けない状態に自ら追い込んだってことだろう。これは先の菅直人代表の「未納3兄弟」発言の教訓が生かされてないってことで、天に向かって唾を吐く状態そのものを再現したのだ。
 これは姉歯建築士の偽装と似た所がある。「こんな幼稚な偽装は誰でも気がつく」って偽装した本人が思っていても、意外とすんなり国会の場に出てしまったのだ。しかも、自民党は「ああ、あのプリントのことか」と「想定内」だったのだから、飛んで火に入る夏の虫ってことだろう。
 信じたのは裏の取りようが解らなかったって技術音痴以外に、紙になっていれば証拠能力が高いって自分自身信じてることだろう。エディター使えば簡単にファイルなんて作れるって事実すら知らないのだろうか。

個人情報保護法の疑問点
 週末潰してセキュリティ関係の講習と資格試験を受けてきたのだけれど、個人情報保護法に関する通商産業省のガイドラインの中に本人通知の手段が書かれている。その中に「電子メール」が可となっているのだ。
 どうだろう、明確な統計は知らないが電子メールは100%確実な伝達手段だろうか。前にヤフオクで落札したのだが、当人からの連絡がまったく無い。そのうちに評価欄を見ると返事が無い最低の落札者って書かれた。メールで問い合わせたが返事が無い。出展者のページをいろいろ探ると、無料のhotmailでヤフオクしてるらしい。実は僕の個人用の電子メールはbiglobeのspamフィルターを掛けているのでhotmailからは届かない。今は、小額だが有料の「迷惑メールフォルダー」を使っているので、こちらに流されたメールは解るが、当事は全部消えてしまうサービスだった。
 で、こっちも評価に「無料アカウントで商売するような奴からは買えない」と最低評価にして泥試合が始まるのだが、相手がISP発行の電子メールアカウントの変えて論争は収まった。自分を守るために無料のアカウントを使ったってんだから、許しがたい商売人だ。
 つまり、電子メールなんて届かない事が多いのですよ。最近も、necのサービスへの質問の返事が遅いので速く送ってくれとメールしたら、とっくに送ったとの返事。申し訳ないけど受領してないので再度送ってくれって言ったら「あ、送り忘れていました。失礼しました」って返事。
 電子メールは届かないこともある。まして、電子メールのアカウントには特に会社で支給のものは個人名、会社名が埋め込まれているので立派な個人情報の開示なのだ。そんな電子メールが本人の合意を得るための手段としてガイドラインでうたわれてるのはなんだかなぁって感じを受ける。
 本当に電子メールが確実に届く連絡手段だと思っているのなら、これも技術信仰の陥る社会現象なのだろう。電子メールは届かないときもある。ISPの品質次第なのだ。

危機管理が出来ない組織は生き残れない
 あとでまた書くが、「それなら許す!」って本をご存知だろうか。危機に瀕して謝るタイミングの話だ。雪印食品だって謝罪するタイミングを間違えなければ会社解散にまで行かなかった。昨今、防衛施設庁あたりの官製談合で役人が3人して頭を下げて「申しわけありませんでした」カシャ、カシャ、カシャ(カメラのシャッターの音)なんてのがあるが、正直、誰に謝っているのかとテレビを見て怒りを感じてしまう。
結局、謝るって仕事を勤めているだけなのだから。
 東横インの社長の「60km制限を67kmで走っただけ」ってのもひどいが、企業のトップに解りやすいのが何時、どのようにして謝るかの危機管理だろう。本来、危機管理は事象が起こる前に策定しておき、事象が起こったら対処するマニュアルで、日常の安全管理と対になって組織の危機を回避するものだが、ま、経営トップにとっては「何時、どのように謝るか」が一番わかりやすいだろう。
 先の年金問題でも、あまり人気の無い当時の福田康夫官房長官が「年金払ってなかったから幹事長辞める」って一言で去った。方や民主党の菅直人氏は女房まで引っ張り出して言い訳のテレビ行脚。「何時、どのようにして謝るか」の策定を見誤った典型だろう。そしてお遍路の旅にでる(あまり、関係無いか)。
 民主党には旧来の社会党的な足の引っ張り合いがまだ残っている。自民党的な「俺がカタつけてやる」みたいなハマコーが居ない。責任を被らなくて良いのなら避けて通りたい。鳩山由紀夫幹事長一任って決定もヒドイものだ。
 マーフィーの法則に「危機に面して落ち着いている人間は、既に事態を誰に預けるか決めた人間である」てのがある。まさに、これだろう。そして、鳩山由紀夫幹事長も「俺がカタつける」では無く、しぶしぶ、永田氏にあって、政治家の一つおぼえの病気療養とおまえが釈明せよってこれまた「振られた事態を誰に預けるか」で動いてしまった。
 まったく危機管理がたらいまわしされている組織が今の民主党だと全国に広報しているのを本人が気が付いていないのだ。

@堀江で、偽物なことは解っただろう
 技術論をしてもしょうがないのかもしれないが、「@堀江」を見た瞬間にこれは違うなと思った。普通は、あの時間なら「堀江@広島」とかだろう。そもそも、その時間の前後にテレビクルーによって追いまわされ、決定的瞬間映像は無いにしても、電子メールを送れる状況にあったとは考えにくい。
 偽装した人間、もしくは広報が間抜けなのは時間まで見えてるプリントアウトをマスコミに配ったことだろう。アリバイが成立するのだから。この時点で、偽電子メール確定だろう。
 一週間も迷走するような話では無い。「100%本物との確証」なんか電子メールには無いのだ。少なくともメールを転送したサーバーが解らなくては。前原代表の日曜日の発言も「どうやったら本物と証明できるか知らない」感じだ。そもそも、本物だったら何だと聞きたい。
 選挙コンサルタント料として3000万円払っても法律に違反しない。ホリエモンの選挙の収支報告書はまだ出ていないのだから。
 先に書いたように、組織に危機管理能力が無いとコンナンナッチャウって好例だろう。昔は、このような事態になると「顔洗って出直して来い」ってタンカ切ったものだがハマコーも居ない自民党はお上品な二世議員ばかりで、どこからもそんな声が聞こえてこない。

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