中国の知っている靖国神社は戦時中の様子のみ

日本人は忘れた戦中の靖国神社
 歴史にイフ(if)は無いと言うのは、その時の当事者であった場合の判断と、事象が起こったはるか後になって全体像の情報を知って考える場合では価値判断が全然違うから。実は、中国の靖国神社参拝強行反対に中国の考える靖国神社像と日本が考える靖国神社像に抱いている歴史観の違いがある。
 また、中国では反日感情を保つために戦中の日本しか見せてこない偏狭な教育も存在する。これは韓国にも言えるが、両国では戦中の日本が教えられ、歴史のページが止まっている。だから日本からのODAや円借款について国民のほとんどは知らない。
 中国や韓国で報道されている靖国神社は白黒フィルムの戦時中のもので、兵士が軍服で集合し、出陣式を連日行っている様子を収録している。たしかに、戦時中に「靖国で会おう」と誓ったのは戦地へ出向く出陣式の時に誓ったものが戦場で出ているのである。だが、今の日本人と言うか戦争が終わってから日本では靖国神社の出陣式の様子はフィルム放映されることは無かった。1964年の東京オリンピックに被せて国立競技場での雨の学徒出陣くらいしか当時のフィルムが放映されることは無い。
 戦争に出発する場所であり、戦争で戦死したら還ってくる場所であった当時の靖国神社だけが中国、韓国で報道されてる。加えて、併設されている遊就館の最近の傾向は「軍事博物館」としての軍事賛美傾向にあり、ここのホームページの「歴史観」は戦後の憲法の精神に必ずしも添っていない。このあたりは日本国民の責任として暴走する遊就館は恥ずかしい存在である。
 このような背景を指して外交の舞台で国と国が感情論を戦わすわけには行かない。論理的で条件闘争を引き出すのが外交なのだから。唯一、中国は戦時中のまま、現在の靖国神社があると意図的に情報操作をしていることを認識する必要がある。

何時行っても批判されるだから適切に今日だ
 マスコミってのは小泉純一郎首相の広報機関でしか無いのか。「人生いろいろ、会社もいろいろ」あたりはジョークで済まされても、あまりにも屁理屈が過ぎる「何時行っても批判されるから、適切に判断した」ってのを受け入れてしまうマスコミは信用でき無い。どう考えても論理的では無い、論理的で無いと言う事は説明責任を果たしていないってことだ。
 小泉純一郎首相に説明責任を果たさせる、国民が納得できる説明を引き出す、それがマスコミの使命ではないのか。「はぁ、そうですか」で引き下がってはジャーナリズムのカケラモ感じられない。
 ま、小泉純一郎首相は論理的と言うより直感的判断を行う直情型の性格だた、それにしても「何時行っても批判されるから、適切に判断した」は説明になってない。『最も批判が強い日を選ばれたのは何故か』くらいの二の矢が放てないのだろうか。
もはや、マスコミは国民を小ばかにしてる小泉純一郎首相って状況に適切に対処していない。

遊就館の感覚は諸外国に受け入れられない
 日本人は黒船が来ないと自ら変わることは無いとよく言われるが、今の遊就館を見ると我々日本人から見ても戦争賛美に見える。これが同じ靖国神社の敷地の中にあるのだから、総合的に見て靖国神社は戦争神社ってイメージが抜けないだろう。
 この遊就館の思想の中に先の大戦でのアメリカの非道って面を広報しようって意図が感じられる。別にやっても良いのだが、公的に日本は東京裁判を受入れ、ポツダム宣言を受入たのだから、思想信条は自由だが、公式見解はあくまで順守しないと「日本人は嘘つき」となってしまう。
 現在の遊就館の行動を軌道修正しないと、アメリカからの黒船問題にもなりかねない。先の歴史観に戻るのだけれど、日本は自国の防衛のためにアメリカと戦争をしたって歴史観は間違ってないと思う。しかし、先に書いたように歴史には(if)は無いのと同様に事実を曲げることは出来ないが、やはり、現在から俯瞰した歴史観も公式な場では必要だろう。
 日韓併合は韓国が望んだとか、創始改名は当時の韓国人は日本人の名前が欲しかったって歴史観はそれで良い、ただ、公式な場で口にするのは下品だろう。人格が疑われる暴言になる。公人である意識ってのは、昔の武士が武士道に準じたように自らの地位に相応しい行動を律するって意識だ。
 公人が暴言を吐くのは、自覚が無いのと、基本的に人間が下品だからとしか思えない。

世界で一番地位が高い公人
 話は逸れるが、先の日本経済新聞の捏造記事だが、昭和天皇がA級戦犯の特定の数人には国民に対する戦争責任(昭和天皇の戦争責任は別にして)がある人間と認識していたようだ。そのためA級戦犯が靖国神社に合祀された段階で自分は「公人なのだから」靖国神社参拝は出来ないと自らを律した風がある。
 世界には天皇と匹敵する地位はローマ法王しか無く、エリザベス女王ですら天皇を上座にいただく。アメリカの大統領も天皇がアメリカ訪問をする場合は自ら空港に白ネクタイで出迎える。何故、天皇が諸外国から高い地位で迎えられるか。それは世界に例を見ない125代続いた王家の子孫だからだ。
 先の太平洋戦争の戦争責任が有るかもしれない、が、諸外国では天皇は尊敬にあたいする高い地位を得ている。それは、昭和の10年戦争だけで覆るものでは無い。
 また、それゆえに昭和天皇は非常に公人としての言動に自分を律していた面がある。政治的な影響が出る話はいっさいしないし、外務省の最高の外交官として要請があれば何処にでも脚を運んだ。もっとも帝王学をもって育てられたのだから当然と言えば当然なのだが。かたや、切った張ったで政治家になった人間と人間の質が違うのだろう。せめて、小泉純一郎首相に千分の1でも公人の自覚があれば「何時行っても批判される、適切に今日を選びました」なんて発言は出来ないだろう。
 靖国神社も昭和の10年だけで判断する中国、韓国は狭い歴史観に立脚してる。それを正さないと両国の外交は始まらない。もっとも、安倍晋三氏にそれが出来るとは思えない。逆に、野党を旨く使って外交修復を進める度量が無ければ、何時までも双方違う歴史のページを開いたままになるだろう。

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2006.08.22 Mint