GOODLUCKは出来の悪い航空ドラマ

最終回で使われたBG
 前にジェットでGO!はクソゲーだと書いたが、書いたようにこのゲームは購入して遊んでいる。実は同じ飛行機もののTBSのドラマ「GOODLUCK」も初回からビデオに収録しながら見ている。本日の最終回はそれなりにハッピーエンドだったのだが、少し気になる事が有った。
 それは着陸のシーンでコーパイが高度をコールアウトする場面でJALが監修したPSのゲーム「ジェットでGO!」のコールアウトが流れているのだ。着陸時の高度をコーパイの真似して「サーティ、ツェンチィ」とコールする音声がジェットでGO!そのものなのだ。
ここの項目の説明が不足していたようなので、加筆しておきます。
電波高度計の読み上げが音声合成なのは各飛行機に装備されている機材に依存するが、ほとんどの旅客機では装備されている。コーパイがコールアウトするのは電波高度計で測定できないより高い所から高度計を見てコールする。
 今、手元に手順書が無いので、正確ではないが、手順としては、1)高度1000フィート(300m)あたりまではコーパイが高度計をコールアウトする。
2)滑走路が見えた段階で「ラナウエイ・インサイト」(滑走路目視確認)のコール(これは操縦している者が目視後コールアウトする)。
3)予め決めたデシジョンハイト(着陸決断高度)に達しても滑走路が目視できなければゴーアラウンド(着陸復航)を宣言して復航手順に入る。その前に滑走路が目視できればゴアヘッド(進入)を宣言する。
 ジェットでGoでは合成音声が「ラナウエイ・インサイト、サーティ、ツエンティ」と続くが、ラナウエイ・インサイトは電波高度計から発せられる音声では無く、主たる操縦者(副操縦士の場合もある)から発せられなくてはいけない。このジェットでGoの間違いをそのまま何のチェックもせずにTBSがGoodluckで使っていることを説明が煩雑なので省略して
>着陸時の高度をコーパイの真似して「サーティ、ツェンチィ」とコールする音声がジェットでGO!そのものなのだ。
と書いたのが誤解の元だったらしい。と言うことで加筆しておきます。

 このドラマは全日空の全面的協賛で作成されているのだが、繰り返すが「ジェットでGO!」はTAITOがJALの協賛で作ったゲーム。このドラマ作成の過程で、TAITOはまだしも、JALがこんな使われ方を許すとも思えないのだが。
 ただ、残念なのは、このようなカットに気が付く人が少ないだろうなってこと。だから、「おかしいんじゃないの」って言う人も殆ど出ないだろう。ただ、このシーンを見て「ドラマてのはぁ」って感じるのは僕だけでは無いだろう。製作が外部プロダクションに流れて、その外注費との差額を寺銭として得ているのだろう。その寺銭は「しっかり商品(この場合はドラマそのもの)に責任を持っている」ってことだ。
goodluckを作ったプロダクションは、この責任を果たしていないと思う。

外部プロダクションって問題山積
 アメリカのイラク進攻によって深夜番組も枠を越えて連日「ニュース的な」番組が放映されている。それも深夜1時とか2時である。たまたま連休だったので深夜見ているとTBSの報道のレベルの低さが顕著だった。「1時間後に攻撃」ってフェーズを「1時に攻撃」と誤訳し、1時になったら「攻撃が始まった、始まった」と一人で騒いでいるのだ。それもスタジオの人間も含めて誤訳を信じて騒いでいる。普通現地時間で言う話しが日本時間の午前1時な訳無いじゃないか。
 思い出すとオウム真理教の時にもTBSは放映前にオウムに閲覧させたりしたのだ。この当事者のディレクターの素行については島田紳助が著書、「いつも心に紳助を」で書いている。どうしようも無いディレクターだったらしい。それが個人の問題なのか組織の問題なのかを考んがえてしまう。
今回のドラマでの「ジェットでGO!」の流用は内部監査の甘さの典型では無いかと思う。今後訴訟事件に発展するかどうかは当事者間の問題なのだが、一般視聴者としてはなんとも後味の悪い最終回であった。インターネットの時代に放送は奢っていたって自省を強く求められるのだ。「誰も知らない特ダネ」なんて放送は有り得ないのだ。そもそもネタ捜しにインタネを検索してるのは放送関係者だろう。そして、「自分だけが知っている企画」なんて売り込む。そもそも、放送が「電波で多数の家庭に情報を流す」ってことに奢ってしまったのだ。単に印刷されているビラの電子版でしか無いのに。
 もちろん今のインターネットに放送機能は無い。所詮、個のメディアなのだ。いわゆるマスメディアに対して僕はインタネを「世界レベルの井戸端会議」と位置づけたい。別な表現をすれば「それで喰ってる人間と、それで喰っていない人間の情報の価値観の差」なのだ。広く世の中を見ているか、それとも時間枠にはまる演劇をまとめ上げてるかの違いだろう。「いわゆる情報番組を演出する恐さ」ってのをNC9が始まった頃に考えておくべきだった。久米宏が問題なのは放送って無差別爆撃みたいに家庭に情報を届ける、それの真偽を問う知力が国民に有るか無いかなのだ。今の情報教育はまったくこの分野で白旗上げるのだろう。コロンブスがアメリカ大陸を発見した事実とイラク戦争の終結の時期予想は同じ世界歴なのだが、過去のことを暗記する世界史が延々と続いてきたのだ。未来を読む思考力を養う姿勢は学校の日本史、世界史ともまったく教えていない。歴史を暗記学問にしてしまったのは誰なのか、関係者の猛省を促したい。
 で、結局、「ジェットでGO!」を勝手に引用したのかなぁ、goodluckは。それとも、ジェットでGO!のコールアウトは実機のボイスなのだろうか。だとしたら、ボーイングの著作権はどうなるんだ(笑い)。

ドラマそのものは良く出来てる
 スタートでキムタクが視聴率を稼いで、その後に黒木瞳が視聴率を稼いで、最後はキムタクに戻るって感じの演出が良く出来ていたと思う。香田キャプテンの存在感も大きかった。でも、やはり主役はキムタクだろう。
 最終回直前の放送が民放始まって以来の最大の手法と言われた「次週の予告編無し」ってことで先週の放送が終わって、今回はSPとかで10時10分までドラマが延長されていた。残念ながら延長は10分で、とてもSPとは呼べない。
最終回にも有った場面だが、コーパイが客室に向かうためにコックピットを出ていく。この場合、国際線なのだから機長の香田キャプテンは酸素マスクを付けるのが規定では無いのか? なんて問題は追求しない。このドラマは「安全への配慮」ってマニュアルを沢山無視して作っているのだからしょうがない。
 僕は現役のキャプテンやコーパイがあのドラマをどう見たかを知りたい。実際にあんなドラマ見てる時間は無いってのが本音だろうが、出来が良いのか悪いのか聞きたい。
キムタクの前作「空から降る一億の星」はキムタクを見直した。すごく難しい役どころを演じている。キムタクに比べれば明石屋さんまは楽な役だったろう。そのドラマの後でのGOODLUCKであるが、もっとマニアックになって作って欲しかった。
 後半、黒木瞳の役どころも少なかった、もっと自分と香田との関係からキムタクと咲芝との関係をダブラセル演出も有っただろう。今回のエンディングでは「美人のCAの末路」って感じしか受けない。もっとも、それが黒木瞳のキャラだと言えばそれまでなのだが。「オジサン」には幸せの階段を登る黒木瞳ってのは役じゃないだろうとは思うのだけれど。
 僕の知る航空関係者はGOODLUCKが嫌いだと思う。まずドラマありきで電車でもバスでも良いのだが、たまたま飛行機を扱ったって程度に失望しているだろう。航空産業を支えているのは現場なのだ。それは機長、コーパイ、CAのコンビで1機飛ばしてるのだ。会社や営業は関係無い。人を乗せて大空を飛ぶドラマを毎日繰り返しているのだ。それが、最初に有って、そこにキムタクが絡んでくる。そんなドラマ作りが出来なかったのは残念だ。まして、ジェットでGOからのパクリはいただけない。(ボーイング社の著作権を犯しているってことかもしれないが)

ジェットでGO!はクソゲーだ

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2003.03.24 Mint