コンピュータに何をさせるべきか

コンピュータ・ビジネスとは
 「ビジネス特許」って考え方がアメリカにある。あえて世界にと言わないのは、120年程前に「工業特許」を明文化したアメリカかがまたやってくれたなぁって感想を持つから。
発明家「エジソン」のサクセスストーリーは、工業特許を取得してビジネス(金儲け)として成り立った最初の人間ってことだろう。太平洋戦争が終わってアメリカの洗脳教育の中で「エジソン」は、その最もアメリカ的なるものとして利用されてきた。「発明王エジソン」なんてのは、日本でしか通用しないキャッチコピーなのだが、我々は十分過ぎるくらい常識として洗脳されてしまった。
 実は僕も小学校の時代に小樽にある「日赤図書館」で閲覧した図書で、たしか小学館の子供向けの偉人伝の本でエジソンを読んでいた。
 でも、アメリカってのは多民族国家で、法律ってのはスポーツのルールみたいなもので、「テコンドー」を「世界標準」にするか「マラソン」を世界標準にするか、日本の「おかみ思想」と同じように、多民族国家でも結局ジャジメントを政府に求める。少しだけ違うのは日本の「おかみ思想」は天の声であり、アメリカの「政府」は民の声であることかもしれない。そもそも、いわゆるスポーツのルールの普遍性を経済活動にも当てはめて間違いは無いのだろうか。デファクトスタンダードと言いながら、実は「アメリカ・スタンダード」なのだ。つまり、アメリカの国益に叶うスタンダードを暗に陽にアメリカは世界に向けて「強引に」広めている。この点を読み違えてはいけない。
前に書いた事を訂正するようだが、大人になって感じる「偉人伝」には言いたい事が出てくる。それは、宿命なのかもしないが「人間って、生きている個体の行状だ」ってこと。
朝日新聞の「20世紀の偉人」のトップは「野口英世」だった。誕生日が同じなので昔からフォローしているけど、僕は人間としての野口英世にはNoなんですよね。偉人は奇人であった。そして、死して伝記を残す。そんな時代は過ぎたと思う。
 情報化が進むってことは、今のNHKの「プロジェクト・X」のように、「生き証人に聞く」ってことが可能になっている。何故ならば、我々はドキュメント(資料)で概枠を掴み、その当事者にフォローしてもらえる時代に生きているのだから。
 野口英世の時代は「偉人は後世か作るもの」の時代だったと思う。しかして、現代は「偉人は情報の洪水の中から発掘するもの」になっていると思う。それこそ、「プロジェクト・X」の主題歌で中島みゆきが唄う所の「人は空ばかり見ている」、「教えてよ、地上の星達を」となるのである。そして、時代はそこに生きた人々によって作られたって基本的な事が、実は今のように情報が氾濫する時代になって、初めて実感できるようになったのだろう。
 で、実はパソコンだITだと言ってるけど、ここ20年のパソコンを中心にした、いわゆる情報化の原点はゼロックスのパロアルト研究所の研究成果を受けて、この普及に費やされたと思う。1989年にwindows3.0を経験した身としては、1995年のwindows95で一つの完成を見たと思う。
 で、これはパロアルト研究所の研究が普及したってことだろう。
ここで、今一度原点に戻って、コンピュータは何をする「道具か」を考えてみると、
1)ソロバンの機能
2)コントローラの機能
3)メディアの機能
と整理される。

誰でも気が付く、ソロバンの機能
 これは言うまでも無いだろう。メモリー(蓄積、複写)機能を持った機械はビジネスを劇的に変化させた。あえて「ビジネスの道具」と言い替えても良いだろう。日本では「ワードプロセッサー機能」である。これがオフィスを劇的に変えた。今ではワープロで打たれた文章が資料であり、手書き資料なんかは消えてしまった。加えてビジカルクのような表計算、これもビジネスに受け入れられた。
 ここまでは初期のパソコン利用で、使われるパソコンもいわゆるスタンドアローンで利用されていた。
 1995年を境に、これがネットワーク端末の機能を有してくる。
話しが前後するが、3)メディアの機能がネットワークと接続することによって開花された。現在のITはここに集中している。
 がしかし、実は次に来るのが「2)コントローラの機能」なのである。アメリカが必ずしもリーダでは無いが、実際に、託児所で職場から託児所の様子をライブカメラで見る事が出来る託児所が評判が良いと言う。女性の(女性に限らないが)職場進出で、昼間空き家になっている自宅をコントロールするビジネスが今後出てくると思われる。
寒冷地では特に冬の暖房なのだが、帰宅時間に合わせて石油ストーブに点火するとか、もっと切実な話しとしては一人暮らしの女性が帰宅する時に事前に灯が付いているとか、そんなコントロールを今なら「iモード」で出来るサービスがこれから普及するだろう。
アメリカの住宅街では、タイマーを利用して無人で無いことをアピールするために、不在でも夜は照明を点灯するセキュリティ管理がなされている。これを、そのまま日本に持って来れないが、携帯電話を利用して駅の改札口から自宅の電灯をつけることが出来れば、若いOLには安心を与えるサービスとなる。「灯の点いた自宅に帰る」これが帰宅の基本であった時代背景を考えると、この分野のニーズは高い。

コントローラの機能
 「専業主婦」攻撃がトレンドらしい。昔から言われている事だが女性の社会進出を妨げているのは女性である。「女の敵は女」これは的を射ている名言だと思う。「女の敵は男」と思っている典型が田島陽子女史であり、メディアで希少価値として遊ばれている。遊ばれている行状が、益々女性の社会進出を妨げている事に気が付かない様子は、言い替えれば「女性の社会進出を妨げる地雷、田島陽子」と言えるし、それを演じている本人が「承知の事」ならば、まさに「女性の敵」であろう。
 女子大で非常勤講師をして見えてきた事がある。それは「女の敵は女」は本当に名言だと思ったこと。
 「パソコン家電」って考え方がある。いかにパソコンを売るかって中で、せめて、家庭電化製品のようなマーケットを形成して販売したいって売る側の論理だが、ある意味で的を射ている。それは、電化製品は「普及」によってマーケットを形成してきた歴史があるから。松下電気が「真似した電気」と呼ばれるのは、普及の原動力を発揮する販売店網をしっかり形成している「流通の松下」だからこそ出来ることがあるから。
歴史に学ぼう。電気炊飯器、電気洗濯機、電子レンジ、電気冷蔵庫、電気食器洗い器、これらの普及で日本には「家電メーカ」が育ったのではないか。一方アメリカでは軍需とアポロ計画でハンググライダーくらいしか普及していない。
 日本の「非軍需」政策は戦後50年に何を残したかと言うと「普及」による産業。一方、軍需中心のアメリカでは「先端技術」による産業。つまり、大きな意味で経済行為である「産業」は、パトロンにより形成する結果が大きく違う。日本はパトロンを「一般消費者」に求め、普及こそが「勝利の方程式」な経済活動を続けていた。典型的な例が、ソニーのベータとビクターのVHSの戦いであろう。軍需中心のパトロン世界ではベータが良いに決まっている。でも、普及の経済ではベーターは負けた。
 馬鹿みたいな国産日の丸特攻隊のJUSTモデムが退廃し、NTTなんて郵政省の片棒担ぎなんて思っていたら、iモードが出てきた。今iモードの携帯電話を作成しているのは、日本電気、富士通、三菱、松下の4社である。それぞれの型番にN、F、D、Pの記号が使われている。ま、携帯電話の功罪はここに書いたが、この4社の共通項を考える人は少ない。
 かつての「98帝国」のNECが加盟している事がミソである。

実は、TRONが「日の丸特攻隊」の成果
 先に書いたように日本には「おかみパトロン」の産業と「普及パトロン」の産業が混在している。特に「おかみパトロン」の産業では失敗例が多い。これは情報流通の宿命で、「普及パトロン」の敗者には誰も見向きもしないので、たまたま、「おかみパトロン」が目立つだけなのだ。
 で、短期的ではあるが成功した「普及パトロン」のiモードだが、この根幹技術はTRONにある。1大学教授の提唱した標準を世界標準にする力は「おかみパトロン」には無い。それは日本発の技術が世界標準で負けた歴史を見れば明かだろう。「おかみパトロン」は日本国内では絶大な威厳を持つが世界に出たときに弱小と言うより、誰も見向きもしない。典型的例が「ハイビジョン」であろう。国民の税金を投入してNHKに研究させた「ハイビジョン」は、あっと言う間に「BSデジタル」に衣替えした。その間に投入された税金は「1官僚の裁量の範囲」を明らかに越えている「税金をドブに捨てた」背任行為である。でも、マスコミは誰もこの点を追求しない。
 TRONが生んだ成果はネットワーク系機能としてiモードに生きている。故に前述のメーカーが共通仕様でiモード機器を作成できている。ここで大事なことはiモードに何をさせるかって企画。
 その答はズバリ、家電コントロールである。

ネットワークはコントロールで爆発的に普及する
 女性の社会進出が可能になったのは家事労働の劇的軽減があると思う。その部分を女性が担っていた社会とは「女性は家事をやるべし」って思想に裏打ちされていた社会なのだが、その「呪縛」を振り切って先駆的女性が社会進出を果たせたのは、やはり「女性の家事労働からの解放」を担ったテクノロジーとして電化製品の功績を挙げざるを得ない。
文化と言うのは形成に時間がかかり、残された最後の牙城「子育て」を過ぎた女性への攻撃が先の「専業主婦」論争なのかもしれない。たしかに、反論する「専業主婦」は「子育て」のキーワードしか持たない。昔のように「家事」を盾に反論できない。しかも攻撃側は「家事」を持ち出す。これでは平行線であり、はたから見ていると「女の敵は女」としか見えない。
 更なる「家事軽減」の要素をコンピュータ・ネットワークはビジネス・チャンスとして持っている。すごく心情的な話しだが、働く主婦が辛い事の一つに「灯のともっていない家に帰る」がある。主婦に限ったことでは無い。「ホーム」ってのは自分の帰宅を待っている存在である。そこが真っ暗では寂しい。目の前でiモードのボタンを押せば、電気がともる。そんな機能は「普及」する。都会のOLの多くはタイマーで電気がつくアパートを望んでいる。不在の証をしたくない。セキュリティの基本は不在が名言される消灯を避けることなのだから。

Back
2000.10.27 Mint