謎だらけの鳩山由紀夫総理の退陣へのプロセス

真実が解るには時間がかかる
 キーマンは小沢一郎民主党幹事長、輿石東参院議員会長、そして鳩山由紀夫総理の3人だろう。5/31に僅か10分ほどの会談を持ったが、その内容は「参議院選挙の情勢分析」とされている。そんな短時間で情勢分析が出来るはずもなく、この5/31日の会談で何かが動き始めたのだろう。
 この会談内容はマスコミもその真実を入手出来ていない。
 また、6/1日の会談では憮然として小沢一郎幹事長と輿石東参議院会長が去った後、、数10分を経て部屋を出た鳩山由紀夫総理は「続投ですか」のかけ声に左手の親指を立てていわゆる「ガッツポーズ」を取ったことも謎を大きくしている。
 ポイントは下記のように整理される。
1)5/31のあまりにも短い3者会談。
2)6/1の会談後の3者の様子の違い(謎の左手親指ガッツポーズ)
3)6/2の両院議員総会での辞任表明
 この辞任表明のスピーチ内容には注釈が必要だろう。自身の辞任表明に小沢一郎幹事長と小林千代美衆院議員の名前をあげて共にクリーンな民主党のために身を引いてくれと述べた点だ。道連れにする意味はなんだったのか、宇宙人の考えることは我々の常識を逸脱しているが、少なくともこれに先立つ5月29〜30日の韓国での日中韓サミットで済州島で一人になる時間があって退陣を決めたと田中慶秋衆院内閣委員長に漏らしている。マスコミに広まる直前まで続投だったが、逆転したは間違いだろう。
 その後の5月31日の会談だ。
 その内容は公式には「参議院選挙の情勢分析」だが、実態は冒頭に鳩山由紀夫総理から「私は辞めるから、小沢さんも身を引いて欲しい」との発言ではなかったのか。それに憮然として小沢一郎氏が席を立って短時間で決裂した会談だったのでは。

5月31日の会談後の流れてくる情報
 輿石東参議院会長が当初は「参議院選挙の情勢分析」と言っていたが、当の輿石氏が鳩山由紀夫総理の辞任会見後に「5月31日の会談は、辞める条件をあれこれ出されて、辞めるのか辞めないのか解らない内容だった」と話している。
 その条件はいくつか考えられるが、先の小沢一郎同時辞任が最有力だと思う。何故なら総理大臣辞任に伴い幹事長も自動的にポストを失うわけで、両院議員総会で名指しすることにより小沢一郎氏の民主党支配に対して「排除の論理」の発動である。とうてい小沢一郎氏が呑める話では無い。「黙って辞めろ」が小沢一郎氏の本音だろう。まさか、サミットを花道に辞めるなんて条件を出したのでは無いと思われるが、ま、宇宙人だからなぁ。
民主党の小沢一郎幹事長らとの会談後、「続投ですか」との記者からの問いかけに、左手の親指を立てる鳩山由紀夫総理=1日午後6時53分、国会内、河合博司撮影(朝日新聞より)
 続いて例の左手親指ガッツポーズの6月1日夕刻の会談である。このガッツポーズで鳩山由紀夫総理降ろしが顕在化したとの報道が多いが、実はこの3者会談で輿石東参議院会長が小沢一郎氏に鳩山由紀夫総理の退陣シナリオ(先に書いているが)が最適とし、条件を飲むように小沢一郎氏を説得したのではないか。表現を変えると小沢一郎氏を追い込んだのではないか。
 衆議院の不信任案に該当する参議院の問責決議案は民主党の数人の反逆で参議院で成立する公算が高い。また、成立しなければ民主党は鳩山由紀夫総理を信任したことになり、鳩山由紀夫総理の退陣の道筋が描けなくなる。そのまま参議院選挙に突入することになる。
 結局、政策より政局の選挙優先の小沢一郎氏はこのシナリオを呑まざるを得なかった。全てが思惑通りになった鳩山由紀夫総理は「続投ですか?」の記者団の問いかけに「思惑通りに事が進んだ」とのガッツポーズで応えたのではないか。この時点でも続投に見える記者に対して「騙し通した」とのガッツポーズかもしれない。
 サプライズであればあるほど鳩山由紀夫総理の辞任、そして小沢一郎氏への排除の論理発動は効果的だ。
 そして今回の辞任劇に関して、小沢一郎氏は今後の党内での影響力を考えて側近に情報操作をさせているのではないか。それが、両者の事実関係がかみ合わない所以だろう。これは時間とともに真実が明らかになるだろう。

「友愛」を貫いた鳩山由紀夫総理の勝ち
 政治と金が鳩山由紀夫内閣のアキレスケンであった。小沢一郎氏だけの問題なら良かったのだが、自らも火中の人になってしまった。総理大臣は自ら決断するしか辞める方法が無い。実は民主党の規約では両院議員総会に過半数が出席し、なおかつその過半数が罷免を要求すれば党の代表を代えることは出来る。しかし、党代表と総理大臣は別物で後者は国会承認を得ているので罷免は出来ない。辞任しか退陣の方策が無い。
 鳩山由紀夫総理は次回の衆議院選挙には出馬しない宣言まで行った。これは、後に残る者への影響力を発揮しない姿勢を貫いたものだ。もっとも、どれだけの人間が今後も鳩山由紀夫氏に付いていくかもこれまた未知数ではあるが。
 誰が次期総理大臣になろうとも、「排除の論理」が得意な鳩山由紀夫総理は民主党の今後を託せない人材を切っておこうと考えたのだろう。これは民主党を作るときに小沢一郎氏と会わない武村正義氏を切ったのと同じだ。
 それを「利害関係」と呼ぶのか「友愛」と呼ぶのか議論があるが、結局、理想を追い求めた結果陥った鳩山由紀夫本人に帰着する自作自演であり本人の資質によるっところが大きい今回の騒動であった。しかし最後に誰も出来なかった小沢一郎氏の首に鈴を付けるのは自分しか居ないとの結論に達したのは自利利他の精神といえる。
 総理大臣としては未熟であったかもしれないが、そもそも総理大臣の器では無く、経験が全てを支配する政治の世界で宇宙人は宇宙に帰ったってことだろう。
 ひょっとして左手親指のガッツポーズの時に「シュワッチ!」と心の中で叫んでいたのかもしれない。

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2010.06.04 Mint