何が言いたいのかイミフメの菅直人総理の年頭会見

日本のリーダなはずだが
 総理大臣って役職は特別国家公務員の最高位なんだが、実は東京大学の総長よりも報酬が低いこともある。ま、日本人は金の話をすると「えげつない」と言う建前なので、これはどうでも良いが、基本的に日本の総理大臣の給与は世界のトップに比べて低いのは事実だ。
 しかし、日本国は既に社会主義に近い平等社会で企業のトップと平社員の給与の平均差は7倍程度になっている。アメリカ社会では考えられない「平等」な社会だ。
 でも日本の社会では地位に求められる責任を重んじてきた。給金の額で計るのでは無く地位が人間性に反映する、これまた西欧社会には無い独特の価値観が存在する。これは縄文時代まで遡って日本人がリーダを選ぶ最大の基準であった。資本本位経済社会が始まっても日本の文化はリーダが果す役割は株主優先の経済行為では無く公器としての社会的責任を果たす行為だ。だから、企業活動にはCMと一線を介した「メセナ」なんて言葉が流行したこともあった。
 残念ながら日本で最大の企業は日本国政府である。信じられない高額な借金を担ってもまだ存在出来る企業は「超優良企業」と呼ぶしか無いのだから。
 その日本で一番大きな企業の経営者が菅直人総理なのだ。
 本来の律令制度は民から税金を集め社会を住みやすく「祭る」ことだ。現在の日本では内閣が行政権を握っているので、税収を住みやすい社会を作るために運用しなければならない。つまり、投資効果が最大になる政策を起こさなければならない。単に税金をバラマクのでは無く、社会の繁栄のための投資に回す政策が必要なのだ。
それには知恵が居るし、未来を見通す洞察力もいる。一番必要なのは実現に向けて説得し、納得させて引っ張るリーダーシップだ。しかし、菅直人総理は財を集めて国家を運営するリーダとして、少し見識に欠けるのではないか。いや、「菅直人」の名前にも係わらず「感」が鈍いのではないか。

日本国の経営はイデオロギーに依存しない
 有る意味で自民党政権は楽だったと思う。それは世界の社会情勢の中で自らの立ち位置の表明だけが外交であった時代の政権だから。つまり、東西冷戦は自民党にとっては政治のプラットフォームが用意され、それに対処する政策を講じていれば良かったのだ。
 1990年にベルリンの壁が崩壊してから以降、自民党の凋落は世界がよりどころとしていた東西冷戦前提政策が崩壊し、その立ち位置を失ったことによる。もっとも、それが政権交代に至るまで20年を要した。たぶん、日本の政治制度には即応性って意味で何処か欠陥があるのだろう。
 世界情勢は東西冷戦の時代を経て新たな世界観が必要になってきた。そもそも地球温暖化対策で会議を重ねる背景には東西冷戦終結後の各国の共通課題を模索するが故に設定されただけでは無いのか。
 その世界情勢に日本がいかように対処するのか。つまり外交が最大の政治課題であり、福祉や消費税問題は既存の課題である。だから、そんなものにリーダが関与する必要は無い。仕組みの構築を誰かに任せれば良い。
 日本のリーダには歴史観が求められる。もちろん、これからの世界情勢の中で日本が担う役割への対処も大切だ。しかるに菅直人総理は年頭の挨拶で自らの政党に内在する「小沢問題」に終始している。世界観も歴史観も無い政局論議が日本の総理大臣の年頭所感では国民は何もメッセージ性を感じない。
 わずかにTPP加入に触れているが、そのための国内経済構造の変革は意識に無いようだ。日本の農業をどのように変革するのかのビジョンが無いままのTPP参加は先の日本経済の構造改革が北欧的な高福祉社会であり国際競争力育成にはほど遠い老人社会の形成で国際感覚皆無の意識しか菅直人総理には無い証左だ。

日本丸は一人で漂流する幽霊船
 政権交代が日本を駄目にしたとは思わない。日本の政治制度は政権交代が可能な制度なのだと実証実験したようなものだ。ただ、自民党からも意見が出てるが、現在の政治制度の根幹である日本国憲法が60年を経て世界の情勢に対応できるのかがはなはだ疑問だ。
 ま、イデオロギー的に「占領軍から押しつけられた憲法」と言うつもりはないが、日本の憲法が日本が国際的な責務を担う経済大国に育つ見識が無い時代に制定された占領国による憲法であったのは歴史上の事実だ。
 この憲法が政治を政治屋の飯の種にしてきたと言っても過言では無いだろう。つまり、国際的に半人前でも憲法の印籠をかざせば国際的に認知されていた。だから、自分で考えなくてアメリカの意向を反映する国家で良かった。だから、経済大国の責務は放棄され続けた。
 ここに来て国家とは経済行為の象徴では無く、国際問題の解決を図る一員となった。国内的には旧来の経済政策優先の機運がまだ残るが、中国の経済台頭を見ると日本はアジア全体で国家として国際間の調整を担う政策を求められる。それだけの経済力は付いたのだから。
 しかし、菅直人総理の念頭の挨拶を聞くにつけ、国内問題、それも民主党内の政党問題に終始し世界の中での日本の果たす役割には言及しない。TPPについても何処まで理解してるのかはなはだ疑問だ。
 アメリカが敷いた路線を走って入れば良かった時代では無い。その認識が菅直人総理に無い。既にアメリカは日本のために線路を敷いてはくれない。これからは日本が自らの進む方向を定め、自ら線路を敷かなければならない。
 たぶん、多くの民主党の議員は政権交代を自民党の権力を奪取すると勘違いしているのだろう。実際は時代にそぐわなくなった自民党の政策が制度疲労を起こし自民党が政権から滑り落ちたのだ。たまたま、その空いた所に民主党が滑り込んだに過ぎない。
 自民党が行ってきた事を繰り返しては同じ運命を辿る。
 憲法をどうするのか。そこが民主党の政策の原点でなければならない。

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2011.01.07 Mint